見出し画像

日々の雑感71【オシムさんを偲び、その言葉を振り返る②「チームへの哲学と考え方」】

前回はこちら。昨日からJFAで追悼展が始まったようですね。来週、東京に入ったタイミングで短い時間でも参じたいと思います。

今日もオシムさんの言葉(フレーズ)を文章にしてはじめます。

☆チームとは?

私の場合、哲学はチームをこの手で作ることだ。人工的にチームを築くこと、選手を買い集めて即席チームを作ることではない。選手と仕事をして、彼らを成長させることだ。

練習で繰り返されることは、試合でも必ず起こる。それを知ることで、彼らがどういうプレーをするか、また何が実際に起こるかを知ることが出来る。料理で素材を熟成させるように、肉をすぐ調理せずにマリネするように、選手にも時間を与える必要がある。選手自身に考えさせる。自分で考えない人間は他人を頼るからだ。

一緒に練習し、食事をする。そこに美しさが生まれる。チームが一つになっていき、そこから生まれた連帯感は、勝利への保証になる。たった一人の上にすべてを構築することは出来ない。優れたチームはそれをよくわかっている。結束さえしていれば、それだけで危険なチームになれる。

*まさに一緒の中に自分がいるかどうか。遠く離れた会議室の中から一緒のつもりは通用しないのです。もし会議室から離れられないならば、この一緒の誰かを優先し、その為に自分ができる最大限のことを公私惜しみなく実行することでしょう。

☆地方創生における僕のオシムスタイルな考え方

地方創生の問題点は、オシムさんとは逆に、お金がないのに一人で何でもできるようなスーパーエースを買い集めて即席チームを作ろうとする考え方にこそ、失敗の端を発していることが多いと言えます。

読売巨人10連覇!みたいな時代を生きてきた方々の悪影響でしょうか? 日本ではサッカーにおけるレアルマドリーや野球におけるニューヨークヤンキースといったお金をこれでもかけたドリームチームこそ至宝!という価値観の方が少なからずいます。その考え方の結果としての劣化コピー、粗悪模倣による自己満足が・・とも見えるわけです。

*地方企業が地方行政と同じ考え方から失敗するあるあるはこちら。諏訪に移住し起業された友人・橋本さんのこちらがおススメ。

2:26 ①時代に合った求人を出せていない
3:44 ②有料媒体の利用失敗でトラウマ
4:32 ③担当者が会社の魅力を語れない
7:38 ④フェラーリ80万円問題
9:50 ⑤社内で採用コストがおりない
11:02 ⑥ショボい代理店に騙されている

まさに、
 
変化のためだけの変化ならば何の意味もない。何かを変えたいということを示すためだけに変革をしても、それは変革とは言わない。

というオシムさんの言葉通りです。加えてそもそもなんですが、地方自治体は大前提で予算がない。それどころか、その少ない予算のお財布は国(総務省)に握られていて決定権もない。金銭的自由が利かないわけです。

オシムさんは「街の2番よりも村の1番」という言い方で、小さくとも地域を象徴し、地域から愛されるクラブを育んでいく。そのことをずっと選んでこられましたし、その小さなクラブが世界的なクラブを相手に一歩も引かない戦いを見せて、勇気を示し、多くの人々の心を打ったことも数多くありました。

僕自身もこうしたオシムスタイルを地域の中で踏襲していますし、僕が住むこの伊那というエリアは、まずまずその芽が育ってきているのではないかと思います。確かに数的には商店街も閉じていくお店の方が多いです。けれど、その街には毎年のように新店舗や自営業として活動する若い世代も生まれています。特に女性が挑戦し、持続するケースが増えていることは特徴的でしょう。飲食やサービスにはきついこの2年以上でしたが、地域の人々に応援され、その関係性。まさに連帯感から生き残っているところがほとんどです。

また最近、うちの娘(仮)のような子達が自分達を「チルドレンズ」と自称してくれていることはうれしかったことの一つです。オシムさんの影響を受けたサッカー選手たちがそう呼ばれているように、僕自身もようやくそういう未来の世代を育むところまで来れたのかなと思っています。

そんなわけで、未だに「東京の大きな会社とか大きな大学と組むのが正義!」という行政の考え方も多い状況ではありますが、自分の周りからでも、少しずつよりよい変化を生み出していきたいと思うわけです。 

☆チームの大切なまとめ

自分の能力をよく理解して、その能力を最大限に活用する。個人主義とはそういうことだ。日本にかけているのは、チームを勝利に導ける個人主義者だ。

オシムさんがこう語っている最後のピース。オシムさんは日本代表では「中田英寿のような選手」と話されてもいましたが、私たち。特に多様性を標榜するコミュニティや組織ほど、こうした「個」の融合を拒絶し、自分たちと同じようなカラーの人物ばかりという状況になっています。

こういう存在とどのような距離感で、どのような関係性によって、お互いを成長させていけるのかということは、常に意識していく必要があるでしょう。その為にも、

嫉妬が革命を妨げる。創造的な人間には、邪魔することなく仕事をさせるべきだ。

というオシムさんの言葉もまた心に刻んでおく必要があります。同調圧力に関しては様々な研究や論もあるので、それをわかったうえで行動にうつすことです。

例えばあるコミュニティで、リーダーがよいと思った人物や考え方はルールを曲げてでも入れ込まれたりしますが、リーダーの仲間が推薦する人物や知識、考え方に対しては、リーダーがルールを盾にして拒絶したりしている風景をちょいちょい見かけたりします。

こうしたコミュニティでは、リーダーとその従者、あるいは同じカラーの人ばかりが集まってしまうので成長しません。時には、そのリーダーの横柄さから、地域にいる周囲の人々と距離が離れていってしまうようなケースもあるでしょう。

オープンであること。そのオープンである中でもディシプリン(規律)を保つことのバランスは難しくもありますが、失敗しながらでも向上させていく必要があるものです。




この記事が参加している募集

ありがとうございます。頂きましたサポートは、この地域の10代、20代への未来投資をしていく一助として使わせて頂きます。良かったら、この街にもいつか遊びに来てください。