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新人ライターや編集者に教えている「文章の読みやすさは“中継点”が大事」

今宵、本の深みへ。編プロのケーハクです。

この年末にかけ、年度末までに発売される書籍たちの原稿執筆に全力投球中のライターさんも多いのではないでしょうか?

私もそのひとり。

マジでやばい……お腹痛い……と、毎年同じような状況を繰り返している割に、無事に年を越している不思議さよ。

ということで、今年も現在進行形で取り組んでいる「年末原稿地獄」中に気づいた文章のコツをお伝えしたいと思います。

さて、今回のテーマは「読みやすい文章に整えるコツ」についてです。

私の場合はそうなのですが、書き進めていく上で、一気に終わりまで書くことはありません。ラストまでノンストップでうまい文章を書ける人って一部の天才にしかできないと思います(ですよね?)。

だいたい、ひとつのブロックとか、起承転結の段落の区切りとか、項目ごとに立ち止まって読み直すと思うんです。

そこで文章を整えながら確認しつつ、書き進めていくのが私のやり方。多くの方も同じような感じですよね?(書き進め方って意外と確認したことがないのでわからないものです)

で、そのときに無意識に注目しているのが、今回のテーマとなる「中継点」です。

文章を読みやすくするコツは以前の記事で「通りとリズム」の話をしたのですが、それも含めて、この「中継点」でのつなぎ方が、「整える」という作業に関しては、ほぼ100%の努力度が必要なほど大事なことだと個人的には思っています。

「中継点」とは、いろんな要素を含んでいますよね?

中継点で立ち止まるときに、なにに注目しているかというと、単に文章のつなぎだけを見ているわけではありません。

例えば……

前にも説明した「です、ます、ません、体言止め」のような文章のつなぎ方でつくる「通りとリズム」。読みやすさの基本ですね。

「また、しかし、ところが、さらに、したがって」といった接続詞のつなぎ。展開のつくり方や、構成ボリュームのバランスなどはこれで変わります(「また」とか「しかし」が結構無意識にかぶる)。

「〜といえます。〜といえます。」という文末表現のかぶりのチェック。また、「重要性〜重要性」のように前文で使っている熟語のかぶりなども修正します。

「長い! 短い!」といった文章の長さのチェック。主語が追えずにわからなくなるほど長い文は論外。文節を切ったり、つなぎ直したりします。

「この文いる?」のように文字数に制限があるので、できるだけコンパクトかつ的確に主題を伝えるために「書いてみたけど、ここまでは要らないかも」といった無駄表現のチェックをします(逆に不足も確認します)。

「伝わってる?」という感じで、客観的に読んで頭に入ってくるかを確認します。ちょっとお茶を飲むとか、入り込んだ状態から抜け出した精神状態をつくって読み直すのがおすすめ。

以上のようなことを中継点ではチェックしています。

こうして書き出してみると、大層な作業に見えますが、やるのは一瞬です。ずっと続けていると、大体感覚が染みついてくるので、慣れるとサクサク進められると思います。

書籍の原稿なので、一冊約10万字の文字数になるわけですが、書き進めていく上では、やはり中継点で「整える作業」が大半を占めている気がします。

うまい表現とか、言いまわしのようなものは、意外と作業的な手間はかからないというか、引き出しから取り出すだけなので、経験を積めば負荷は低いのかもしれません。

「人に伝える、伝わる」を意識した文章を書く場合、やっぱり中継点で「読みやすく整える」作業のほうが、非常に頭を使うし、負荷が高いのではないかと感じます。

私の場合は、編集者でもあるので、その辺はライターさんと感覚が多少異なるかもしれませんが(あくまで個人の見解です!)。

今回紹介したコツは、基本的なこと(大した話ではなくて恐縮)ばかり。でも、ちゃんと意識すると、驚くほど読みやすい文章が書けると思いますので、ぜひ参考にしてみてください。

文/編プロのケーハク

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