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なぜ、主体的な学びを追求するのか?

私立学校にとって、難関大学への合格実績が学校経営上の大きなテーマであることは間違いありません。そのために、知識習得型の学力を身につけさせ、模擬試験での偏差値を向上させていくということは、教育に求められている成果のひとつでしょう。
 
一方で、
大学受験の合格実績を上げることだけが学校教育の目的なのだろうか?
探究的な学びを促進することは知識習得型の学力向上にはつながらないのだろうか?
大学入試における問題も変化するなかで、従来型の教育だけで対応は十分なのだろうか?
様々な取り組みに着手することで逆に知識習得型の学びが疎かになりはしないだろうか?
 
こういった疑問や葛藤が学校現場に渦巻いていることと思います。
これは非常に悩ましい問題であり、様々な意見や立場があることと思います。
 
しかしながら、急速に変化する社会、これからもいっそう変化していくであろうことが想定される社会に出ていく子どもたちの未来に思いを馳せる時、この問題はどうしても乗り越えていかなければならない問題であるということを強く感じます。
 
子どもたち一人ひとりが「ウェルビーイング」を実現していくためには、生涯を通じて学び続ける力を身につけさせていくことが必須です。
学びは人を成長させます。
それは、大人も子どもも変わりません。
学ぶことは英語や数学や国語といった教科の学習に限られるものではなく、人はあらゆる場面で学んでいます。
大切なことは、学びとはどういったものなのかということに対する理解を深め、学ぶ力を身につけるということです。
教科の学習は学校を卒業した後なくなるかもしれませんが、「学び」そのものが終わりを迎えることはありません。
 
しかしながら、多くの人が大学を、専門学校を、高校を卒業した段階で「学び」は終わると捉えてはいないでしょうか。
 
学ぶこと、成長すること、一人ひとりがそれぞれのウェルビーイングを実現するために必要な「学ぶ力を身につけること」は、自らのより良い人生を切り拓くために不可欠な、生きる術の大切なひとつです。
そして学びの成果は、学んだ結果にだけ表れるものではなく、学ぶプロセスにおいても得られるものでもあるはずです。
 
いま、果たして私たちはその術、その力を十分に生徒たちに身につけさせられるような教育を実現できているでしょうか。
私たちは、おそらく多くの学校で実現できていると信じています。
しかしながら、それを「意図を持って取り組めているのかどうか」という点においてふり返ると、必ずしもできているとは言い難い、という学校もあるのではないかと思います。
 
私たちは、学ぶためのスキルを獲得し、その結果学びに対する前向きな態度を涵養し、最終的に知識習得型の学力も向上していくというプロセス全体こそ、学校教育において身につけさせるべき力であると捉えています。
そのように学校教育を捉え直した時、「学ぶ力を身につけること」に意図的に取り組むための補助線となるものが、自己調整学習理論です。
 
主体的学びを科学する研究会では、自己調整学習理論を理論的バックボーンとして「どのようにすれば生徒の学ぶ力を育み主体的な学びを実現できるのか」をテーマに実践的に研究に取り組んでいます。
 
教育は目に見える成果がすぐに表れるというものではなく、いつその成果が花を開くかは分からない、忍耐力を要する営みです。
これは、主体的学びを科学する研究会における実践においても同様で、必ずしもすべての実践においてめざましい成果がすぐに表れているわけではありません。
しかし、その「試行錯誤」にこそ、意味があると私たちは考えています。
 
次回、自己調整学習理論をご紹介したうえで、研究会に参画いただいている先生方のご実践を随時紹介していきたいと思います。
ぜひ、このnoteを通して私たちの「試行錯誤」にお付き合いください!!

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