今日は曇りの中でも、ほんとに降りそうな曇り空。
ぼくが小学生の頃、こんな天気に意気揚々と洗濯機を回すのがうちの母。
うちの母は、一応主婦なので流石に雨の日に洗濯するようなことはしないけど、なぜか危険な曇り空の時はよく博打を打った。

うちの母は天気予報がそんなに好きじゃなかった。
「わからないから、おもしろいじゃん」母は主婦にしてはリスキーすぎる思想の持ち主で、朝は天気予報を見たくないがために、録画した「ラブジェネレーション」や「PRIDE」といったドラマが流れていた。

だから、我が家では午前7時からテレビ画面を、めざましくんやズームインではなく、キムタクや松たか子が独占していた。そのおかげで、ぼくは朝に情報番組を見ないがために北島康介の「超きもちぃ〜」という流行語を2ヶ月くらい遅れて知った。

当時、学校でみんなが”気持ちい”ばっかり言ってて、こいつら狂ってんのか？とずっと思ってたっけ。

中学校を過ぎた頃、我が家では朝の洗濯は当番制になった。
兄弟で洗濯当番を回した。
ぼくら兄弟は幼少期から、母の洗濯する後ろ姿を見て育ったので
曇りの日は全員博打を打った。おかげで、体操服が必要な日にドラゴンズの川上憲伸のユニホームを着ざるおえないこともあった。背番号は「11」。

母に聞いたことがあった気がする。
なんで今日干すの？って。
母は「そこに洗濯物があるから」って登山家みたいなこと言ってたような。たぶん、いや、割と本音な気がする。

あれから10年以上たつのかな。
ぼくは今日傘を持たずに外を出た。
この天気で降らなければ、それを見抜いた天才だって自己肯定感を高められる。降られたら、なんでこんなバカなことしてんだという猛烈な後悔に襲われるという博打。ぼくは結局母を見て育った子なんだね。

母さんは今日も不利な勝負してんのかな？