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政策づくりプラットフォーム立ち上げに至るまでと、軽い未来想像

最近issuesの記事を2つ書いた。1個目は大胆な打ち手をどれだけ打てるかという話。2つ目は数名〜十数名規模で、会社内で顧客インサイトが回る仕組みについて。

今日はそもそもissuesをやっている理由でもあるどういう会社にしたいかというところについて。

源流にあったのはデザインの役割

公共とデザインのスライドより

もはや今は自分は"デザイナー"という感じではないが、もともとはデザインの会社で働いたり、スタートアップのデザインやプロトタイプ制作の仕事をしていた。

そこからissuesを立ち上げる過程でも、どういうところをデザインの成果とするのか?という問いを持ち続けながらやっていた。

たしかに設計するのは楽しいが、これをすることで社会にどういう意味があるのか。そのアウトカムこそがデザインの成果なのではないか。そういうことを考えてしまう性質だったから。

どれだけお金をもらえても意味があると思えない仕事だと、受けることができなかった。上に貼ったスライドは、2007年のCooper-Hewitt, National Design Museumによる展示「Design for the Other 90%」のもの。

いまの時代、説明するまでもなく、タイトルだけでおおよその意味を類推し
てもらえるだろう。

Design for 10%を目指してやったことは限りなく小さかった

学生の時にクライアントワークをやっていて、卒業後もそういう仕事を組織に属してやる選択肢もあったが、上記のような感覚を持っていたこと。それに加え、自分はビジュアルデザインやルックアンドフィールに強いこだわりがなく、大枠の体験やビジネス設計などとの間に興味があったので、スタートアップのような粗く検証しビジネスモデル自体から作っていく方向性を志向した。

同世代で起業していた人も多かったので、その人たちで共感度が高そうな人を手伝うことからはじめた。あまり残っている会社がないのが残念だが、地域で犬を預け合えるコミュニティを作っている会社とか。社会インパクトやドメインというよりは起業家が社会レベルから考えているみたいなタイプだったので、わりと話があって一緒にやるみたいなのもあった。

ただクライアント仕事で生計を立てるとすると、そういう仕事だけではやっていけなかったので、普通にほとんどは別に10%に当たるものではなかったと思う。

だから勝手に社会課題に向かってプロジェクトを作るコミュニティや、企業に事業やPR案などを持ち込むコミュニティなどもやっていた。

自分ひとりの会社で、それなりの売上もあったが、業務委託で頼む人も多かったので手元には微々たるものしか残らず。コミュニティもノリで始めたので、経済メディアでバズって人が増えたりしたり、今思えば行政やエンタープライズの人をつないでもらったりもしたが、全く形にできなかった。

社会課題のアジェンダ化がない状態でやったことがダメだったなと思い、社会問題専門メディアの立ち上げを手伝ったりもしたが、とくにメディアを事業としてのばせたり、自分の活動への接続に動くわけでもなく、一緒に住んでいた起業家の友だちに毎日「ちゃんとやれよ」みたいな言葉をかけられても食う仕事以上のことは特に動かずに、鬱のような状態になっていた。

志みたいなものはあったが、実力が伴っていなかったのと、チームも自分と業務委託のメンバーだけで、いってみれば遊びに近い形だった。これではうまくいくはずがない。またクライアントワークをしていて、教科書通りにやらないことでうまくいかない会社も多く見てきた。

もっとバランスがいいチームで、まずは単一事業を軌道に乗せるところまでをやりたいと思った。欲張りなので、それを政策・法律・DAOなどのその時社会インフラになる可能性がある領域で探していた。

そのタイミングでissuesを立ち上げるメンバーのブログを見て声をかけた。

事業性と社会性を両立するビジネスをつくる

10/11の九州大学 社会包摂デザイン研究会「デモクラシー」用資料より

自分は一応スキルとしてはプロダクト設計や普通に伸ばすとかはできるなと思ってたので、一旦そこと社会課題をつなげて、解決のインフラになるような事業を作りたいと思った。

まだはじまったばかりだが、PMFといわれている段階にはたどり着けた。自分のなかでも、仮説検証や事業立ち上げでは一定自信を持てるくらいの仕事ができている。(具体の仕事の進め方については、冒頭の2つのリンクと、最後の動画を参照)

一定の手応えや、社会への価値として24以上の自治体で13以上の政策実現を行えていること。

意思決定の回路づくり、住民ニーズの吸い上げだけではなく、最近は対話機会の創出も自律的にプラットフォームのなかで起こり始めていることが挙げられる。

社会課題解決にインフラにはまだまだだが、全国でも使われ始めて一定軌道に乗り始めている。とはいえ、まだ事業や組織として、急成長を描かなければ会社はやっていけない。

これから1-2年はまた拡大をするためのチャレンジとなる。スタートアップは飛び降りながら飛行機をつくるようなもの、みたいなことを誰かが言っていたような気がするが、個人的には自動で資本市場からマイルストーンが引かれ、投資家の方とコミュニケーションをとって道を明確化していくことは、やりやすさの方が大きい。

その目標に向かって問いを立ててプロダクトやサービスをつくればいいのでシンプル。そういう感覚を過去1-2年で一連のプロセスを経験する上で持てるようになれた。投資家と事業家は役割を分担しているという感覚。

マルチステークホルダーによる、ルールメイキングプラットフォームになる可能性

10/11の九州大学 社会包摂デザイン研究会「デモクラシー」用資料より

前半で10%のためのデザインという内容を書いたが、自分の動機はそういった人々の課題も解決できる社会システムをつくること。

前提としてスケールをしなければインフラにならない、インパクトを残せないので、スタートアップのモデルでまずは規模を拡大していく方法をとっている。

いまは議員と住民をつなぐプラットフォームだが、今の事業の軸でいくならば、ゆくゆくはさまざまなステークホルダーが参加するプラットフォームになっていくと思う。

公共とデザインの資料より

上記の図にもあるが、多様な主体による活動やルールメイキングは、複雑化する社会において重要なのはいうまでもない。

そういったビジョン的な観点もだが、事業としてセグメントを拡張する上でも理にかなっているので、事業とビジョンが一致している状態に思える。

なので一旦、事業視点でも社会視点でも矛盾しないストーリーとして、また自分の探究や興味関心としても、この未来像をぼんやりとおいている。会社としてはあえてビジョンやミッションをふんわりさせてきたが、これからどこかで作ることになるだろう。

基本は資本市場と顧客ニーズを掛け合わせて編んでいく仕事で、あくまでその上で社会課題に接続していくと流れ。数年後にはどうなっているかはわからないが、こういう事業をやる大きな意味の一つには、こういったありうる・辿り着きうる社会像の想像にあると思う。

・・・

今日は、九州大学の社会包摂研究で話すスライドを作っていて、とりあえず頭の中を出していく、プロセス発散的なアプローチじゃないとできないなと思いnoteを書いた。issuesの会社としての意義などについて書こうとしたが、結果自分のこれまでの過去・現在・未来について書いていた。

採用候補者向けに作成した動画でも、この記事のような内容を話しています。一緒に働ける人を募集しているので、ご気軽に連絡をください。


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