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炎の魔神みぎてくんキットバッシュ 3.「みぎてくん、これで勝負ね」

3.「みぎてくん、これで勝負ね」

 さてそれから数日の間は、コージたちは平和な大学生活を送っていた。毎朝講座に通って、実験をしたり、論文を読んだり書いたり、セルティ先生やロスマルク先生のお守りをしたりという感じである。
 コージの研究は「魔神族の魔法学的生態」というやつなので、相棒の魔神との生活そのものが研究テーマである。といってもただ魔神のお守りをしていれば済むという気楽な研究のはずはない。もちろん観察や調査の結果をまとめるみたいな研究らしい仕事もあるのだが、一番の作業は魔神のマネージャー業務である。
 バビロンの街では唯一の魔神族であるみぎての場合、それだけでタレントである。大学では彼の強大な精霊力を利用した魔法実験とか、高温での作業とかの協力依頼で引っ張りだこだし、最近は街の名物ということで、テレビやらミニコミ誌からもお呼びがかかる。おかげでコージの講座やバビロン大学そのものが有名になるので、断るわけにもいかないのだが、その交通整理がけっこう大変なのである。

「コージ、みぎてくん、今夜はうちに来るの?」

 夕方ごろになってディレルがひょっこりコージたちの実験室に顔を出した。どうやら今日の実験が一段落して様子を見に来たらしい。

「あ、うん、そのつもり。っていうかこいつはその気満々」
「えー?コージだって途中でショップ寄って、色買い足すとかいってたじゃねぇか」

 日曜日にスペースソルジャー対戦入門セットを買ったコージたちは、翌日から少しずつ組立やペイントを始めたのは当然である。
 とはいえもちろん忙しい院生の身では、趣味にじっくり打ち込むようなまとまった時間がそんなにあるはずはない。学部生みたいに部活をエンジョイとかそういうのはとても無理というものである。
 ところがこのフィギュアペイントというやつは、コージのような忙しい人間にとっては都合が良い。なにせちょっとした合間で少しだけ塗り進めるというのが普通なのである。まあ時間をかけてやると、目がいたくなってしまうというのもあるので、少しずつというのが良いというのもある。

 が、わざわざディレルの家に行くというのは、ちょっと理由がある。合同ペイント会…というと大袈裟だが、三人で机を囲んでペイントしよう企画というやつである。まあコージたちにとっては持っていないカラーを使わせてもらうという極悪企画も混ざっているのだが、これは公然の秘密である。

 実はペイントというものは(絵の具もそうなのだが)混ぜればいろいろな色が作れるのは間違いないのだが、これには致命的な欠点がある。後でもう一度同じ色を使いたくなっても、二度とそっくりな色は作れないことが多いのである。一体限りのフィギュアなら同じ色を使うことがなくてもなんとかなるのだが、今回の軍団みたいなフィギュアの場合、それぞれのキャラが微妙に色が違うというのは何だか格好悪い。
 となると出来るだけいろいろなペイントを入手したほうが良いのだが、当然それなりのお金がかかる。この点で入門セットしか買っていないコージたちにとっては、ディレルが持っている他の色はとてもありがたいわけである。
 ということで、ここ数日は講座から引けたあと、晩飯を食ってディレルの家へ行くというパターンである。さらにディレルの実家というのは下町のお風呂屋さんなので、ついでにお風呂にはいるという完璧なコースなのである。

「じゃあ僕もお店行きますよ。接着剤とか買うつもりだし」
「じゃ、晩飯も一緒に食おうぜ。俺さま腹も減ったし」
「いいですねー、じゃあちょっと早いけど引き上げますか」

 みぎての誘いにディレルはにこにこ笑いながら賛成する。今回のディレルはいつにもまして付き合いが良い。もともとコージたちの大親友といっても良いこのトリトン族だが、今回は特に積極的な気がする。どうやら今まで黙っていた趣味に、コージたちが興味を持っていることが嬉しいのだろう。これはコージ的にも納得できる。ともかく新しい共通の趣味が出来たのはとても良いことなのである。
 ということで、コージたち三人は講座を早々にあとにしたのだが…

*     *     *

 コージたちは大学前の定食屋で晩飯を済ませたあと、急ぎ例のホビーショップへ向かった。ホビーショップは平日の場合、夜九時まで開いているのだが、それでもあまり余裕があるとは言えない。さらにそのあとディレルの銭湯へ行くとしたら、かなり大急ぎでないと厳しいわけである。
 三人は早歩きでバビロンの下町を抜けて、ホビーショップのあるすごろく通りに入る。この辺りは昔からの商店街だが、飲み屋街ではないので、もうけっこう店は閉店ぎみである。夜のバビロンはむしろテレビ局とかがある中心街のほうが賑やかである。

「こりゃ急がないとまずいな」
「ぼ、ぼくはこれ以上早くは歩けませんよ」

 海洋種族であるトリトン族のディレルは、コージたちに比べてどうしても歩くのは遅い。彼にしてみればけっこう全力なのだが、どうしてもコージたちの競歩モードより遅れてしまう。この辺は種族の差なのでしかたがない。
 なんとか八時前にお店についた一行をちょっと驚いた表情で出迎える店長さんである。

「まだ開いてますよ、そんな必死にならなくても」
「あ、よかった。急いだかいがあったな」
「これで…しまってたら…ゼイゼイ…」

 もはや青息吐息のディレルだが、まあ間に合ったのだからよしとすべきだろう。
 さて三人は今回の目的のものを買うために、商品棚を物色する。コージは新しい色を2本ほど、ディレルは組立用の接着剤である。

「あれっ?この白とこっちの白はどこが違うんだろう?」
「見た目ほとんどかわんねぇよな…」
「あ、これはですね、隠蔽力が違うんです。こっちは薄いので、下地の色が透けて見えるんですよ」

 隠蔽力と聞くと何だか難しそうな用語だが、どうやら下地がどれくらい透けて見えるかという尺度らしい。隠蔽力があるペイントは薄く塗っただけで下地が隠れるので良いのだが、代わりに軽くのせて色味を微調整をするとか、そういうことはできない。要は使い分けなのである。
 どの色を買うか悩むコージの横で、魔神の方はどうやら筆を物色しているようである。

「うーん、やっぱり筆はちょっと良いやつのほうがいいんだろうなぁ」
「まあそうですけどね。ペイントセットについてきた筆はどうなんですか?」
「あ、あれはまあまあいけてる。でもコージと共用だと不便なんだよな」

 今回の作戦はコージとみぎてで入門セットをシェアしているのだが、これにはひとつだけ欠点がある。フィギュアは分ければいいのだが、付属品はそうもいかないのである。塗料はともかく筆が困る。一本の筆を二人がシェアするのはさすがにきつい。

「百円ショップの筆とそんなに違うのかな」
「うーん、どうなんでしょ。人によっては百円ショップの安い筆を、使い捨てで使っているって聞きますけど」
「それも手だよなあ、ここにある筆、けっこう高いし」

 魔神が手にしている筆は、一本千二百円くらいする、けっこう良さそうな筆である。が、筆みたいなものは消耗品だという噂もあるので、千二百円筆一本買うより、百円ショップの筆を1ダース買って、使い捨てにする方がいい、という可能性は十分にある。この辺になると多少はコージ達より経験豊富なディレルにも確たることはわからない。
 ところがその時、コージたちの背中側から聞きなれたあきれ声が飛んできたのである。

「もー!あんたたちそんなこと言ってるからダメなのよ!筆はいいの買わないと後で泣くわよ!」

 コージたちはビックリして後ろを振り替える。そこにはツインノ三つ編み髪の、大きな丸眼鏡をかけた、そばかす女子が立っていた。

「ポ、ポリーニ!?」
「なぜここに?!」

 まさかプラモデル屋に彼女が登場するとは全く思っていなかった三人は、それこそ恐怖の大王を目の当たりにしたかのような表情になって、その場に凍りついたのである。

絵 武器鍛冶帽子

*     *     *

 ポリーニはディレルと同じくコージたちの講座の同輩で、数少ない女子である。最近はかなり状況も改善されたとはいえ、魔法工学部のような理系の学部では、相対的に女子の人数が少ない。つまりポリーニは講座では貴重なレディースなので、敬愛される権利は十分にある。
 実のところポリーニは見た目もけっこうかわいいほうである。普段は理系女子のアーキタイプ丸出しの外見…お化粧っ気丸で無しで、洗いざらしのTシャツとジーンズとか、コンタクトでなく眼鏡愛用だとか、そういう問題点を考慮しても、コージの価値基準ではまあまあの部類にはいる。一部の眼鏡っ娘ファンなら萌えまくるようなタイプといっても良い。
 ところが実際には、コージやみぎてにとっては、彼女は敬愛というよりも恐怖の存在といった方が正しいのである。理由はただひとつ…発明である。

 コージたちの在籍するバビロン大学魔法工学部というのは、名前の通り魔法を利用したさまざまな材料や技術を研究する学部である。魔法力利用の高効率エンジンとか、魔法素材の開発とかから、精霊界の研究まで多岐にわたる(もっともコージのような魔神の研究は、魔法工学部の範囲かというとちょっと異論もあるのだが…)。
 当然ながらポリーニの研究もこのジャンルに当てはまる。「新規魔法素材の応用」といえばとても難しそうに聞こえるが、要するに発明とか、実用新案というやつである。ところがこの発明というやつがコージたちにとっては恐怖なのである。
 当然のことながらひとつの発明品ができるまでには、無数の失敗作がある。一つ一つテストをくりかえして、ようやくものになるものがひとつ完成するわけである。ところがこのテストだが…同じ講座仲間のコージたちは当然のごとく参加しなければならないのである。女子の少ない理系の学部では、男子に拒否権はない。
 だいたいポリーニの発明品はとんでもないものが多く、「空飛ぶ防災テント」だの「クーラー内蔵背広」だの、役に立つのかたたないのか微妙な上に、けっこうな大トラブルが起きることが多い。「空飛ぶ防災テント」などは台風のなかふわふわと飛行して回収に大騒ぎだったし、「クーラー内蔵背広」は排熱量が多すぎて近くの人が熱中症になりそうな事態になったほどである。こういうヤバイ段階で実験に付き合わされるコージたちにとっては、ポリーニは「災厄」に等しい。いや、人間界に不馴れな炎の魔神であるみぎてにとっては、現時点では彼女はまさに「人間界最大の災厄」なのである。

 とはいえ、今回フィギュア屋さんでばったり出くわすのは、コージたちにとっては全く想定外である。決して美少女十八禁フィギュアを物色していたところを見つかったわけではないのだが、三人とも真っ赤になって動揺してしまう。

「ぽ、ポリーニ!なぜここに!」
「ど、どうしようみぎてくん」
「俺さま逃げたい」

 あまりの動揺に三人はしどろもどろの混乱状態である。そんな彼らを見てポリーニはにやにや笑う。

「おかしいと思ったわ。ここ二日講座を引けるのが早いし、三人で絶対なにか始めたってすぐわかるわよ。あとをつけて正解だったわ!」
「え、まあ…でも…」
「わざわざ尾行したんだ…」
「あたしだってこんな面白そうなこと見逃すわけないじゃない!一声かけなさいよ!」
「ええっ!?ポリーニこういうの興味あるの!?」

 ポリーニの発言にコージたちはビックリである。コージたちの「秘密の遊び」をわざわざ尾行してまでチェックしてきたと言うのも大概驚きだが、まさか彼女がこんなミニチュアゲームに興味を示すなど、男子三人には全く想像つかなかったのである。
 ところがポリーニは呆れたように言う。

「何言ってるのよ!ミニチュアって男の子だけのものじゃないわよ。ドールハウスとか女子は大好きよ」
「でもこのゲームって、ウォーゲームですよ…」
「素敵じゃない、ムキムキのソルジャーが大きな銃を抱えて戦場を駆けるのよ。尊いっ、尊すぎるわ!」
「…ま、まあそれはそういうものかも…」

 筋肉萌えのオタク系女子であるポリーニである。こういうジャンルも大好物らしい。「尊い」(今風の萌え表現らしい)とまで言われると、もはやコージたちは同意するしかない。
 ところか次のポリーニの一言は、コージたちを唸らせる説得力があった。

「あ、そうだわみぎてくん!さっきの筆の話だけど」
「あ、うん。ポリーニ」
「その二千円のやつにしなさいよ。百円ショップの筆なんか全然ダメ」
「…そんなに違うのか?」
「当然よ!腰が全然違うわ。スーパードールのまつげだってそれなら描けるわよ!あたし使ってるから保証するわ!」
「まつげ!?」
「スーパードール?」

 スーパードールというのは最近出回っている、美青年系のドールらしい。コージたちには全く縁の無い代物なのだが、かなりリアルで、特に瞳がすごい精巧に作られているので、テレビでも話題になっている。が、そういうのをポリーニが持っているとは、付き合いの長いコージも全く知らなかったのだが…
 とはいえ、このスーパードールのまつげを描くことができるほど、細かい作業ができるなら、それだけで優秀な筆であると言うことは間違い無さそうである。たぶん女子の化粧品…アイライナーとかそういうのと同じなのだろう(コージの推定だが)。
 しかしここまでポリーニが絶賛されてしまうと、ここで嫌だとはとても言えるものではない。彼女の超圧力に押しきられる形で、みぎてだけでなくコージやディレルまで、この高級筆を買うはめになってしまったのである。

*     *     *

 もともと閉店寸前に駆け込んだということもあって、コージたちは買うものだけ買うと店をあとにすることになる。さすがに女子であるポリーニも一緒なので、今からディレルの家へ行ってお風呂というわけにはいかない。
 そういうわけで、四人は近くのファミレスに行って雑談をすることにしたのである。

「もー、ひどいわねぇ!だからあんたたちデリカシーが無いとか言われるのよ」
「ごめんごめん、まさかポリーニがこういうの好きとか思わなかったし…」

 今回の企画に声をかけてもらえなかったということで、ポリーニはまだまだむくれ顔である。まあ今回に関してはコージたちには弁論の余地がない。女子だから興味がないだろうという勝手な思い込みで声をかけなかったのだから、ひどいと言われてもしかたがない。ともあれここは彼女も加えてペイント大会とかゲームとかを開催するしか手がないだろう。

「ポリーニもセットを買ったんだから、入門セットで今度ペイント見せびらかし会とか、ミニバトルとかやろうぜ!」

 みぎては機嫌良く声を掛ける。まあ下手に過去のチョンボをごちゃごちゃいうより、イベントを楽しんだ方がいいという考え方である。実際コージたちも日曜日に買ったばかりなので、ペイントの方はともかくゲームの方はほとんどキャリアの差はない。
 ところがこれは微妙にヤバイ発言だったのである。

「うふふ」

 ポリーニは得たりと言わんばかりの笑みを浮かべる。彼女の眼鏡の奥がキラリと光ったのを見た瞬間、コージたちは凍りつく。それまでの「ごめんなさいムード」がいっぺんに吹っ飛んでしまうほどの(コージたちにとっては)恐ろしい笑みである。

「受けてたつわ。みぎてくん。」
「…受けて立つってさ…」
「コージ、どうしよう…」
「まあいつものことですよね…」

 どう見てもあの表情は気軽な作品自慢会という意味ではないのがわかる。ポリーニの頭のなかには確実に豪華コンテストか宿命の対決あたりの光景が浮かんでいるのは間違いない。まさか軽い気持ちで言ったペイント見せびらかし会企画が、こんな風に誤変換されてしまうとは思いもよらなかった魔神であるが、コージに言わせれば「またやらかした」という気分である。この手の勝負事に燃えまくるのはポリーニのいつものパターンだからである。

「なに怯えてるのよあんたたち!いいじゃない、フィギュアペイント大会って!燃えてくるわ!」
「だからみんな初心者だって…」
「当たり前じゃないの。プロペインターとあたしたちじゃ勝負にならないわよ。内輪の勝負に決まっているじゃない」

 「内輪勝負」というポリーニの宣言にほっとするみぎてとコージである。が、ディレルはそんな観測が甘すぎるということをすでに察知していた。

「ポリーニ、まさかと思うけどフィギュアに発明品仕込むとか考えてませんか?目からビームが出るフィギュアとか…」
「当然じゃないの!あたしのフィギュアがペイントだけなんて、視聴者の皆さんに申し訳がたたないわ!見てなさい、すごい発明品仕込んであっと言わせてやるわよ」
「やっぱり…」
「視聴者の皆さんって、だれさ?」

 ポリーニの脳内ですごい勢いで発明品装備フィギュアの着想が出来上がりつつあるのは明らかである。もはや発明内蔵フィギュアコンテストを止めることは誰にもできそうにない。
 まあしかし四人だけの見せびらかし会(発明品付き)程度なら、多少コージたちがビックリさせられる程度で済むはずである。ここはおとなしく彼女の危険なフィギュアを鑑賞するしか道はなさそうである。
 さてここでディレルはおもむろにポリーニに(プラモ先輩らしく)ちょっと説明をいれる。

「ところでポリーニ、プラモデルとかの組み立てってやったことあります?ドールみたいに出来上がっている訳じゃないですよ」
「知ってるわよ。さっきお店で一応見たわ。接着剤も買ってあるわよ」
「ちょっとここで見てみます?ざっくりだけどコツとか説明しますよ」

 心配性のディレルは、プラモ初のポリーニに一応簡単な説明をしておこうというつもりらしい。コージの予想ではポリーニだって、プラモデルがどういうものかくらいは知っていると思うので、そこまでは必要ないような気もしているのだが…まあランナーからパーツをきれいにはずすコツとかは、ちょっと聞いておいても良い話かもしれない。

「大丈夫よ!でも念のため聞いておくわ。」
「まあ余計なお世話かもしれないけど、ちょっとしたところで仕上がり違いますから」

 お人好しのディレルの老婆心にポリーニはちょっとあきれたような表情を見せる…が、本音は悪い気はしていない。お節介なのはディレルの良いところであるのは彼女だって良くわかっているのである。
 ポリーニは自信満々の表情で買ったばかりの箱を取り出して、中からランナーを取り出そうとする。ところがその時だった…

 箱が入っている袋に同梱されていたらしいチラシが一枚、コージたちの目の前に舞い降りる。そこにはこんな一言が書いてあったのである。

「ホビーショップ・工業惑星 第一回ペイントコンテスト初心者部門…ゲーム会も開催…」

 彼らをそそのかすように、ショップの店長さんは、ショップ主催のペイントコンテスト&初心者ゲーム会のチラシを同梱していたのである。当然店長さんはコージたちのこんな騒ぎを知っているわけはない。が、この瞬間、このチラシはまるで焚き火にナフサか、なにか第一種可燃物を放り込んだような効果を引き起こしてしまったのである。

「みぎてくん、これで勝負ね。あ、コージたちも当然参加よね!」
「…マジ?」
「ポリーニ、まさかこれに?!」

 間違いなくポリーニは、発明品仕込みのフィギュアをペイントコンテストに仕込んで出品する気まんまんなのである。いや、たとえそうでなくても絶対なにかヤバいイベントが発生する…
 猛烈に不吉な予感で一杯になったコージたちだが、突然燃え上がってしまったポリーニの情熱を押さえるすべは全くなかったのはいうまでもない。

(4.「ツブヤキッターで話題になってると報告が」へつづく)

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