おばあちゃんのみず
満ち満ちて深夜上下するばあちゃんのほの温かき胸郭のゆめ
三弦をぶっちぎっては三味線が有線放送かき消していく
ほうにょうをうながされても おばあちゃんあたしさっき漏らしてしまった
喘鳴は最後の息を吐き出したヤマタノオロチの絶命の時
だれだってしんでゆくよ止まるまで動き続ける心臓の音
夕焼けは違う土地にも訪れて夕焼けの癖になんて色だよ
ししむらはわずかに傾きこぼれだす水をどこまで保てるだろう
ばあちゃんが元来た道を帰ってく 明日には花が枯れているだろう
「まああかん って言っとった」という妹の言葉につられてそうだと思う
キューリのヘタくるくるやってるばあちゃんのまじないが咲かす夏の鉄線
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