短歌連作「最初の晩餐」

雰囲気で買い物をした助手席でアーティチョークのレシピを探す

ロマネスコ スワロフスキーに見えてきて躊躇いながら包丁入れる

インスタに私は不在 この世界バーニャカウダで溢れているな

泡立ちがより美しい方を君に シャンパーニュ越し揺れている笑み

魔法などいらぬ手のひらから散らすアクアパッツァに刻みパセリを

見慣れない君の荷物に囲まれてブルスケッタのトマトがひかる

カルパッチョを咀嚼する君「

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短歌「祭り」連作

遠花火書架のかげにて怯えけり 享楽的な人らを妬み

喧騒も終わりを予感させるから 未来を話そう口約束でも

幻想は微塵も現に現れず アスファルトには無秩序があり

決められた長方形を流転する僕らの末路みたいな緋色

短歌連作「湘南が遠くなっていく」(共作)

Twitterを通じてやり取りをさせていただいている小俵鱚太さんと一緒に短歌の連作を作りました。

Twitterでは上記のように6月に公開していたのですが、noteにも残しておきたいと思います。後書きなども含めたPDF版は★こちら★からどうぞ。
※当然、掲載に関しては小俵さん了承済です。念のため…。

◆小俵鱚太 ◇エノモトユミ
※最後の一首は上の句◆、下の句◇

   ◆

呑むだけでひとり過

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トモダチ

友達が全くもっていないんだ定義の上でいうならばだが

何を以て友達と言う親友と言う該当はない

この間「友達になれて良かった」と言われてピンと来なかったほど

相方を随分前に失ってそれで定義がなくなったんだ

それからも僕は散々失った定義なんかはズタボロなほど

amazarashi「ヨクト」の歌を知ってるかい僕は人間の最小単位だ

心友だの親友だのと言葉ヅラで縛られることが無くて楽です

これか

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短歌連作「新宿で惑う」

南口で伊勢丹までの道筋を聞かれた私が迷ってしまう

紀伊国屋書店二階の窓側の温くて座れなかった椅子たち

ドコモタワーは観光地ではないことを英語で伝えられぬ夕暮れ

伊勢丹はマルに「伊」だからマルイだと笑った君は今どこですか

二丁目のラブホ帰りのひとたちと並んで食べた牛丼のシミ

独りきり過ごした予備校跡地にはボルダリングのカラフルな壁

多すぎる人が溺れる交差点 偶然君に巡り会いたい

新宿は

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お別れでした

シンユウでトモダチだから我慢して疵付くことがタダシイらしい

喧嘩にもならないでしょうズレている事にあなたは気づかなかった

連絡が来るたび何故か憂鬱で疲れ果ててて蝕まれてる

苦しくて距離を置いたら冷静になってしまった
友だちじゃない

買い物も進路も全部カガイシャを見つけて君はいつもヒガイシャ

太鼓持ちしちゃった私判決は有罪だって君からメール

再会を望んでいない(サヨナラも言わなかったの)

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梅雨寒も今日までです

もう既に余生ですから出来るだけ控えめに出す二酸化炭素

上等な靴じゃ何処にも行けません幸せなんて幻だから

左から順に剥がれる鱗雲マーメイドより先に消えちゃう

なんの日か知らないけれど休みです三つ折りにした薄い座布団

なにもかもブチリと切れて再びを望めない夜眠れない朝

「梅雨寒も今日まです」と予報士の撫でる画面に梅雨前線

#短歌 #tanka #短歌連作

【短歌三首】「旅する日本語2019」全部のテーマを使って三首に読みました

和煦(わく)の中途(みち)立つ君の顔(かんばせ)の心細(うらぐわ)しきを胸に収める 

涼み客六月柿(ろくがつがき)を齧りゆき麗らかに万福となりゆく 

心安(うらやす)に追懐(ついかい)しゆく致景(ちけい)には大童(おおわらわ)なる君がいました

短歌連作「君は不完全」

背を向けているのに君の不躾な冷たい足にからまれる夜

聞きたくもない出来事を聞きながらなるべく温い言葉で返す

追い焚きのボタンを探すこともなく冷えるに任せ僕らは氷る

二度寝して浅い夢見る 太陽は照らすどころか雲に隠れる

眼を入れて髪を伸ばして顔を描く 完全体になってゆく君

玄関でギロチン台の音がした 電車は遅延しているらしい

※短歌連作サークル「あみもの」第十一号を改敲