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今のAIができない、3つのこと

2022年8月23日にStable Diffusionがリリースされてからというもの、この半年間は画像生成AIやChatGPTなどの大規模言語モデルの信じられないほどAIに関する技術的革新がありました。それはここ十数年であったスマホの浸透と同じぐらいの技術的なショックであったと思います。

特に今週の2023年3月15日にあったChatGPTのGPT-4のリリースは知的生産労働とは何かを考えさせられる意味で、非常に象徴的な出来事でした。

GPT-4は一般的な人よりも専門知識が豊富であり、事柄の分析やアイディア出し、コード作成など多様な知的生産労働をテキスト上ですべてやってくれるAIです。しかも値段は千文字近い回答をもらってもAPIで10円かかりません。これによって今まで文章やコードをアウトプットで出してきた知的生産労働者は何をしていくべきなのかわからなくなったという人もいたのではないでしょうか。

しかし今のAI、哲学者のジョン・サールが言う所の意思を持たない「弱いAI」にはまだまだできないことがあるとことを改めて認識する必要があると思います。

以下は、今のAIにできない、3つのことです。

1. 責任を取ることができない

一つ目は、「責任を取ることができない」ということです。
今後、画像生成AIは一流のイラストレーターや画家や写真家が生み出す画像を数秒間で大量に生成するようになるでしょうし、大規模言語モデルは一流のプログラマーのコードや設計論を瞬時に提案するようになるでしょう。しかし例えば出力した画像に卍(マンジ)のような過去の戦争を想起させるものが載っていたり、また、その受け取り手のトラウマをえぐるようなシンボルがあったりした際に、そこから生じる損害に対してAIはなんの責任を持ちませんし保証もしません。コードやテキストに関しても同様です。どこまでが出てきたアウトプットの影響範囲なのかを見極め(フレーム問題という)、その作品が持つ価値を見出したり、リスクを見出したりして、実施にコントロールするということは人にしかできません。

2. 意志を持って自律的に社会に奉仕できない

二つ目は、「意志を持って自律的に社会に奉仕できない」ということです。
そもそもAIが駆動するためのコンピューターリソースの費用を払っているのは人です。AIが自律的に仕事をしてお金を稼ぎ、そのお金で自分を動かし自分の意思で社会に貢献していく、というそのような状態は、まだ今の弱いAIでは実現されていません。またこのように意思を持ったAIを世に生み出す場合には、そのAIに人権を発生させなくてはいけないという事態に発生する可能性があります。これは、ゲーム「Detroit: Become Human」というゲームの中で描かれていますが、そのようなAIの創造にそもそも人類が踏み込むかは、今の人類がまだ検討しきれていないことであると考えています。

3. 身体性を伴うコミュニケーションが取れない

最後は、「身体性を伴うコミュニケーションが取れない」ということです。
よくAIはラーメンのレビューができない、という話をしたりもしますが、人間の五感や身体性を駆使させるコミュニケーションは人間にしかできないものです。家族や恋人を抱きしめる、近くで息遣いを感じる、まなざしを送る、涙を流す、そういったことは身体を持つ人にしかできないことです。遠い将来、人にかなり近いインターフェースをもったAIが誕生する可能性がありますが、生物は原子レベルで最適化されたたんぱく質により構成された高度な機械ですので、まだまだそこに到達するには時間がかかると考えられます。

以上、今のAIにできないことは

  1. 責任を取ることができない

  2. 意志を持って自律的に社会に奉仕できない

  3. 身体性を伴うコミュニケーションが取れない

という3つになります。逆に言うとこれらは人がやるべきこと、ということになります。

我々がすべきこと

そしてこれを踏まえて我々が何をすべきかというと、AIを徹底的に活用するべき、という考えを筆者は持っています。

AIを活用して、人として社会にたくさんの価値を発揮していことでより良い社会を作っていくことができますし、社会に所属する多くの人がその恩恵を受けることができます。もちろん、電子機械を拒否する人のようにテクノロジーを拒否して生きていくことも、今の福祉が充実した社会では可能ではあるとは思います。しかし多くの人にとってはAIを自分のため、社会のために働かせ、その恩恵を享受し、社会で困っている様々な人たちにその生産性から得られる価値を還元していけるのが理想かなと思います。

また、今回このAIの躍進により、自分の仕事が変わってしまうことに不安を感じている人も多くいると思っています。しかし不安に思いAIを拒否するのではなく、AIができないということしっかり理解し、その上でAIを活用してこれまでよりも高い生産性で価値を出し続けていけることが重要だと考え、自らが変わっていくことにチャレンジすることが、今多くの人に求められているのだと思います。こんな短期間での技術躍進は過去人類が体験したことのないことではありますが、自身はこれからより「変わることにチャレンジする気持ち」を大切にしたいなと思っています。

補足:
この文書はChuanhuChatGPTでAPI経由でGPT-4モデルに校正してもらいました。また、扉絵はNovelAIで「(((best quality))), ((ultra-detailed)), (((masterpiece))), finely detail, highres, watercolor style, ((((((((girl using computer))))))))」というプロンプトで出力した画像を利用しています。

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