見出し画像

もっさもっさ森

 海派か山派かという論争がある。もし恐い人に「海派か山派か答えろ、答えないと泣かす」と言われたら、「山派です」と泣きながら叫ぶだろう。こういう風に、一度で二つの欲求を満たすサービス精神をいつでも大切にしたいものだ(下の記事もなんだか似たような出だしだ)。

 関東こっちに出てきてから、高尾山にはしばしば登っている。かなりメジャーな観光スポットである。しかし、高尾山は手軽な反面、少し物足りない。そんな人におすすめのコースが陣馬山から高尾山へ抜ける縦走ルートである。以下、ある日の大まかな時間配分である。

 7:30 陣馬高原下
 8:50 陣馬山々頂
 9:40 明王峠
 10:45 景信山
 11:45 小仏城山
 12:50 高尾山々頂

 ペースとしてはのんびりだったと思う。このあと高尾山のふもとで昼食ひるげを頂く。まんじゅうを食べるもよし、蕎麦屋に入るもよし、土産屋もたくさんあってなかなか楽しい。

 そしてゴールは温泉である。京王線高尾山口駅に温泉があるのだ。これがあるからこそ陣馬山から高尾山に向かうのであって、その逆ではない。

 できるだけ午前中のうちに登って下りるを済ましてしまうのがミソである。陽が沈んだあとの山は恐怖でしかない。なので、始発かそれに近い電車に乗って陣馬山へ向かう。最初の陣馬山の山頂まで登るのが最もきつい。一度濃霧だったことがあって、文字通り五里霧中といった感じだった。そこから浮き沈みはあるものの、基本的に高尾山まで下っていくので、気分的には楽である。

 高尾山以外にもいくつか山は登っているが、香川県は小豆島の寒霞渓かんかけいも楽しい。こちらは日本三大奇景に数えられ、紅葉の景色に訪れるのがおすすめである。変わった形の岩を様々なものに見立てあって、それらを鑑賞しながら歩くのだ。

 山登りのコツを語るほどそれに精通しているわけではないが、無理をしても仕方がないし、誰かと競っているわけでもないので、やはり自分のペースで歩くのが一番だと思う。体温調節しやすいような服装で臨む、水分は喉が渇く前に摂る、トイレは行けるときに行っておく。このあたりのことは登山で気を付けたいことだが、最後のは日常でも大事なことである。

 なんでもかんでも人生にたとえてしまうところが人間の可愛らしいところだが、山登り、それもまた人生の縮図である。自分の足で登らなければ進めないし、いつの間にか下ってしまっているものである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?