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サインコサインのCCC vol.2|会社と社員のパーパスのつながりを探るインナーブランディングの裏側 【#イベントレポート】

こんにちは。株式会社サインコサインの川口です。株式会社サインコサインは「自分の言葉で語るとき、人はいい声で話す。」という理念のもとで、当事者主導のブランディング活動に貢献すべく、ブランドアイデンティティの共創やインナーブランディングを支援しています。

先日2024年3月6日(水)にサインコサインのアトリエにて、Case of Co-Creation with SIGNCOSIGN(以下、サインコサインのCCC) vol.2を開催いたしました。サインコサインのCCCはファシリテーション型の共創プロセスの裏側をシェアするイベントシリーズです!

第二回目となる今回のテーマは、会社と社員のパーパスのつながりを探るインナーブランディングの裏側 〜 サインコサインのCCC vol.002 。

今回は、株式会社クオカード(以下、クオカード)の経営企画部にてパーパスに関するプロジェクトを推進している小林美智子さん(以下、小林さん)をお招きし、クオカードのパーパスと社員のパーパスのつながりが生まれるまでのプロセスを振り返りました!

登壇者


小林 美智子 氏
株式会社クオカード
経営企画部 経営企画課長

加来 幸樹 
株式会社サインコサイン
代表取締役 / CO-CREATOR


今回のイベントで振り返るワークショップのテーマは「会社と社員のパーパスのつながりを探るためのワークショップ」

クオカードで働く社員様向けに、全8回かけてひとりひとりの個人パーパスを言語化するワークショップを行いました。

本プロジェクトの目的は、クオカードではたらくひとりひとりが、自分自身のパーパスを発見することで、会社のパーパスへの想いを深めること。そして、その重なりやつながりから、自分が会社で実現したいことを共有することです。

今日のトークテーマ


はじめに、自己紹介としてスマホで贈れるデジタルギフト「QUOカードPay」をご紹介いただいた小林さん。この日は参加者全員に、一人200円分のQUOカードPayを特別にプレゼントしていただきました!(ありがとうございます!)


クオカードが”パーパス”を大事にする背景


クオカードは2017年末に親会社が変わり、2019年3月にはQUOカードPayをローンチしました。それもあってか、ここ数年は会社の雰囲気の変化を感じていたのだそうです。

小林さん:「オープンでフラットなコミュニケーションをはじめとする組織風土改革を推進したり、SlackやSalesforceなど業務の質を上げるクラウドサービスを導入したりすることで、会社がとてもいい方向に進んでいると感じていました。このいい流れを一時的なものにしないためにはどうしたらいいだろうと経営企画部内で議論していたんです。そんな時にたまたまパーパスという概念を知り、これが今、当社には必要だと思い、社内で会社のパーパス作りのプロジェクトを開始しました。プロジェクトメンバーを募った際には、なんと全社員200人中20名もの方が手を挙げてくれたんです」

加来:「なんと、素晴らしい温度感ですね」

小林さん:「プロジェクトの進捗は随時社内のSlackで報告していきました。大変でしたが、納得のいくまで議論を重ねた結果、クオカードならではのパーパスを作り上げることができました」

< クオカードのパーパスが見られるページ >

加来:「そこから今回の個人パーパス作りに至ったそもそもの課題感はどんなものがあったのですか?」

小林さん:「会社のパーパスを作り始める時点から、次のステップとして、個人パーパス作りを行うことは決めていました。会社のパーパスを浸透させるには、作るだけでは不十分で、腹落ちする仕掛けが大事だと思っていました。個人のパーパスを作ることで会社のパーパスと重なる思いを考えてもらえたらいいなと」

加来:「小林さんのおっしゃる通り、企業と個人、それぞれのパーパスがあることで、互いのパートナーシップを深めることに繋がりますね。誰しもが世界でたった一人、自分にしかないパーパスがあります。仕事観でも人生観でも、人によって思いがあるからこそ、そのちがいをまず知って、肯定しあうことが大事。そこで互いの良さを引き出すことが、いい関係性に繋がるのではないかな、と僕は考えています

真剣に聞いてくださっていた参加者の皆さん

小林さん:「そうですね。あと、個人のパーパスはその人の内面に関わることなので、身近な社内の人間が引き出すよりは、プロの方に第三者的な視点でその人らしさを引き出すことをお願いしたいと思いまして、それでサインコサインにお願いしました」

加来:「それはとても光栄です。ありがとうございます」


「言幹(ことみき)」を探り、
言葉をつくるワークショップの流れ


それでは本題ですが、クオカードの皆さんに体験いただいたプログラムの内容をご紹介します。

今回のワークショップの前には、事前課題として加来から社員の皆さんに、「自分らしさ」をなるべく多くの周りの人に聞いて書き出して来てくださいというお願いをしていました。

それでは早速、あなたの自分らしさ、パーパスを言葉にしてみましょう!

・・といわれても、正直なところ難しいですよね。まずは言葉をつくる前に、言葉(葉)の手前にある、自分の中の中心の幹のような部分=言幹(ことみき)を見つける重要性を加来から説明します。



加来:「言葉という漢字は「葉っぱ」という文字で成り立っています。葉っぱは何もないところには生まれない。葉っぱ(言葉)の手前にある中心のブレない幹(自分にとってブレないもの)、これがパーパスなんです。まずはここを見つけていきます」

まずワークの初めは、「あなたは何者か?」という題に、あらゆる視点や言い方を用いながら10通りの回答を考えてみます。

次に、”今までで一番記憶に残っている上司の目線”で自分の長所と短所を言ってみます。
そして「あなたが人生で大切にしたいことは?」を出していく流れで進行していきます。

ワークショップで参加者が使用したワークシート

また、未来への理想や掲げる覚悟は一度では言葉で出しにくいので、Pinterestを用いながら自分が惹かれるものの画像を選びます。そしてイメージからのヒントを探しながら、”自分が肯定したいこと”を決めていき、少しずつ言葉にしていきます。

そして、言葉の調理をおこないます。言葉づくりを例えるなら料理で、言葉は食材。これをどうするか、調理方法によって印象に残るものにますます変化していきます。

自分のパーパスが無事に出来上がったら、会社のパーパスをPinterestのイメージ画像で
探し、ピンとくるキーワードやコンセプトを見つけていきます。



そして、先ほど作った自分のパーパスと、会社のパーパスとの重なりを発見し、それぞれが実現したい世界を考え、皆さんの前で全員に発表いただきました。

発表の様子

このワークショップのポイントは、”パーパスとなる言葉づくりができればいい”という訳ではなく、言葉のアウトプットに至るまでの一連のプロセスです。

それを当事者として経験することで、自分がどんな人で、どんなことに価値を置いて自分らしい人生を生きていきたいのかを振り返り、自分や他者との対話に繋げるということがとても重要です。


パーパスづくりの成功のポイント


クオカード社内のラウンジにて行われた、25名ずつ全8回のワークショップの様子

ワークショップ全体を通して、嬉しいことにクオカードの社員の多くの方からいい反応をたくさんいただいたという小林さん。成功の要因はなんだったのでしょうか?

小林さん:「大きな成功のポイントはリアル開催のワークショップだったからだと思います。オンラインで自身のことを話すのはなかなかハードルが高いですよね。だからこそ和気あいあいと話が弾んだというか・・その姿を見て、本当にやってよかった!と感じました」

加来:「企画者として小林さんが工夫されたことはありますか?」

小林さん:「当日のグループ分けにこだわりました。例えば業務で多少関わっているけど、深く接することのないメンバー同士をグルーピングしたり、年齢、性別、部署をバラバラにして、多くの人が交わるようにしたりしました」

加来:「実施するにあたって、不安はなかったですか?」

小林さん:「ありました。例えば、年配の方にはあまり積極的に参加していただけないのではと心配もあったのですが、年の功でうまく場をまとめて下さったり、どの社員も積極的に取り組んでくれました。あとは自身のパーパスとなるとプライベートなものに寄ってしまいがち、逆に経営陣は会社のパーパスに寄りすぎることもあるので、そこはメッセージの出し方を試行錯誤しました」

さらに、ワークショップ実施後は、社内で使っている人事システム「カオナビ」の個人ページに、一覧でそれぞれのパーパスを見られるようにしたのだそうです!

個人パーパスと自社で成し遂げたいことが互いに確認できます。素敵ですね!


小林さん:「マネージャーが、部下との1on1や目標設定面談を行う際に、パーパスの存在を頼りに部下を支援するといったところに取り込めたらと考えています。パーパスを意識しながら自分の行動を変えたり、上司から声がけをしていくというのが良さそうです」


Q&Aコーナー

質問タイムではこんな質問をいただきました。

質問者Aさん:「会社と個人、それぞれのパーパスをつくる取り組みは素晴らしいと感じますが、企業の場合も個人の場合も、パーパスを言語化したことによって実際にどんな成果や効果が得られたのかを測るのは難しいかと思います。そこに対して、経営企画部としての小林さんの不安はありませんでしたか?」

小林さん:「そうですね。当社の社長が日頃から、数字だけでは測れないところで組織として強くなれているかにも、数字で測れることと同じくらい重きをおいていることもあり、パーパスをつくるということに対してすぐ理解してくれたのは大きかったです」

加来:「会社のパーパスや理念を更新するときは会社の中で大きな動きがあるタイミングや課題を抱えている時が多いので、そのタイミングで自分たちがどうありたいのか、方向性を揃えていきたいというのはありますよね」

例:加来にとっての会社と個人のパーパスのつながりをもとにした今ここで実現したいこと


そして、トークセッション後の懇親会では、サインコサインのイベントに初めて来た、パーパスに個人的に関心がある、会社で取り入れたいといった多種多様な方々で大変盛り上がりました!

最後に

今回のクオカードの取り組みについて社内からの感想を小林さんに伺うと、数々の反響があったのだそうです。

「自分の軸がわかって、仕事をする上での判断軸が定まった」という言葉や、採用シーンでは面接官としてパーパスを候補者に伝えることができた、悩んだ時にパーパスに立ち返ることができたというエピソード、以前よりも自信をもって社内で発言できている様子も見られるということでした。

小林さん、沢山の有益なお話ありがとうございました!

これだけ変化が多く、正解のない時代の中では、どのように判断してどんな仕事をして働いて生きていくかを考えるための自らの羅針盤が必要になってきます。

個の良さを生かして働くことの意義や、それが会社にとっての大きな力になるということが、このパーパス作りによって強く実感できそう!と個人的にも感じました。

次回以降も、サインコサインとしてワークショップを振り返るイベントやパーパスに関するイベントを開催していきますので、お楽しみに!

取材・執筆・写真:川口ゆり


・サインコサインの会社紹介スライド

・これまでのサインコサインのCCC

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