彼女のことが信じられない

最近の彼女さんとのゴタゴタの話。
長くて回りくどくてごめんなさい。

存在意義

10歳まで自分の周りの人間に勉強で負けたことがなかった。
周りの人に褒められて甘やかされて育ったと思う。
学習塾に入れられて、自分が井の中の蛙だと知った。
初めて負けを知った。
だけど、"負け方を知らない"から、そこから這い上がれなかった。
以来、僕は勉強ができなくなった。
進学校になんとか入れてもずっと底辺。
そして進学校では成績がすべての基準。
それ自体は、自分が勉強をしてないだけなので、辛くはなかった。
ちょうど同時期、アニメやゲームの面白さに取り付かれて、
オタクになって、誰にも負けない知識をつけた。
けれど、今と違って当時のオタクは気持ち悪いだけの存在。
当時の彼女に、オタクを全否定された。
それ以来、僕は存在意義を失った。
人に誇れることなんて1つも無かった。
人に褒められるようなことは何も努力できない、クズみたいな人間。
残ったのは、ただ、ゲームが好きってことだけ。
少しずつ世間がゲームに対して好意的になってきて、
少しずつ、自分を理解してくれる人が増えていった。
けれど、それは小さな世界。
この小さな世界で、友人達と暮らせればいいと思っていた。


目と目が合う

僕が彼女さんに見つかってしまったのはそんな時。
こういう言い方をするのは、彼女さんが僕達の出会いをそういう風に言うから。
「私が見つけてあげなかったら危なかった。」とか
「他の人に見つかる前で良かった。」とか
危険な珍獣扱いされる。
まぁ、実際似たようなものだと思う。

はじめて彼女さんと対面した時、僕は彼女さんの目を見て喋れなかった。
自分に自信が無くて、彼女さんが眩しすぎて、単純に彼女さんの見た目が可愛くて照れてたのももちろん。
だけど、だんだん彼女さんの目を見て喋れるようになった。
お互いのことを好きだというのが分かってから、
「僕なんかでも彼女さんのことを見てもいいんだ」と思えるようになったから。
自分で言うのもなんだけど、彼女さんが僕のことを好きなのが伝わっていた。彼女さんが伝えるのが上手だったから。
彼女さんの目を見られるようになった。

彼女さんと一緒に過ごすようになって、数ヶ月経った頃に
彼女さんから言われた。
「彼氏ちゃんは、相手がどうでもいい人なら目を見れるんやね。」
言い方に少し語弊があるけれど、
例えばお店の人とかとは目を合わせてコミュニケーションを取るのに、
友人達とは全く目を合わせない、合わせるふりをして相手が見てない時に相手を見てる、と。
彼女さんは僕の癖をよく見つけてくれる。
この癖を見つけてもらった時、自分のことながら「なるほど」と思ってしまった。
目を合わせると自分に中身がないのが見透かされそうで、近しい人ほど目を合わせていない。
「私とは目を合わせられるけど、大丈夫?」
って聞かれて、素直に「大丈夫」と返せた。
彼女さんには色々なことを喋りすぎて、全部知ってもらってるから。
その上で、彼女さんが好きなことを知ってるから。
僕は彼女さんを信頼できてる、って自信を持てた。


理解ができない

けれども、ずっと分からないことが1つだけ。
彼女さんは、僕の何がそんなに好きなのか?
「優しい」とか「放っておけない」とか「一番の理解者」とか。
そういう風に言ってくれるけど、
多分そんなの僕以上の人がいるだろう、と思ってしまう。
10代までの間に叩き潰された僕の自己肯定感。
そして、実際に自分は中身がない人間なので、
「彼女さんが僕を好き」なのは信じられたけど、
「何で好き」なのかは少しも分からなかった。
僕なんかのどこが好きなのか、彼女さんが信じられなかった。
彼女さんは、
「別に分かってもらえんでもいいし、何なら本当に彼氏ちゃんのことダマしてるかもしれんよ?」
って言って笑ってくれて、ただただずっと一緒にいてくれた。

僕が彼女さんのことを好きな理由、いっぱいあるけれど
今、1つ挙げるなら、
「僕の人生に可能性を与えてくれるところ。」
30年近い人生の中でたったの2年弱で、
人生初体験のことを彼女さんにいっぱい経験させてもらった。
「僕みたいな人間でも色々なことをして楽しんでいいんだ」と
彼女さんに教えてもらった。
何よりも、
彼女さんもどちらかというと僕と近い考え方を持ってて、
長年オタクをやり過ぎて、一般的な女子みたいなことをしてこなかったのに、僕と一緒になってから、積極的に僕を引っ張り出してくれていた。
無理して・・・って言うと彼女さんに失礼だけど、
本当は無理して、僕のことを引っ張ってくれる。
だから彼女さんのことが好きだし、尊敬してるし、感謝しかない。
僕が彼女さんに捨てられるようなことがあっても、
彼女さんに捨てられるなら仕方ないと思うし、それでも一生感謝し続けられる。彼女さんには幸せになって欲しいから、彼女さんの選択を尊重できる。
そして、そう思えば思うほど、僕は彼女さんに何を与えられてるんだろう、って思ってしまう。


別れるという選択肢

3月の中頃に、彼女さんとの同棲を解消した。
彼女さんのことが好き過ぎて、好き過ぎて依存しているんじゃないかと思って離れた。
離れた初日の夜、寝れずにいた僕の中に、
彼女さんと別れるという選択肢が初めて浮かんだ。
彼女さんが好き過ぎて、でも僕はそれに見合ったお返しが彼女さんに出来ていなくて、だったら、彼女さんの将来を考えたら別れた方がいいと思った。
あまりにも無責任な選択肢だけど、彼女さんのことを考えたら自分がどう思われようが構わないと思った。
結果として、その選択肢は一瞬で消えた。
何故かって「別れる勇気が無かったから」。
別れるって思ったら、急に怖くなって、無理だって思ってしまった。
彼女さんのことを考えてるって思ってる癖に、自分のわがままで、別れる選択肢が取れなかった。
やっぱり、僕は彼女さんに依存しているんじゃないかと思って、また寝れなくなった。


「馴れ初め」

彼女さんと離れている間に、「馴れ初め」を書き始めた。
これを書き切るのに、今までで一番時間がかかった。
基本的に僕は、書きたいと思ったことは、その日に書き出す。
長くても2~3時間くらいしかかからない。
けれど、馴れ初めを書き始めた時、細かいニュアンスが気になったり、
そもそもの自分達の今の状況だったりが邪魔して、ずっと公開できずにいた。
毎日ちょっとずつ接続詞を変えたり、全部消してはまた書き直したり。
もう書かなくていいや、と思ったけど、下書きに残った「馴れ初め その1」というタイトルを見る度に、書かなきゃって思ったり。
結局書き終わるまでに、彼女さんと元の状態に戻った。
彼女さんには、「馴れ初め」を書いていることも、別れるという選択肢がよぎったことも黙ったまま、何も無かったかのように元に戻った。


彼女さんに「note書かないの?」って聞かれた。
数週間空けたものをもう一度自分の力で再開するのは難しい。
そもそもこうやってnoteを書き始めたのは、
自分の心の整理・言語化、そして記録のため、
どんだけ辛い人生でも、彼女さんみたいな人がこの世にはいて、幸せになれるって、他の人にも気付いて欲しかった、っていうのが理由。
そして一番モチベーションになったのは、
僕がtwitterで定期に彼女さんのことをツイートしてたのを見た彼女さんに、
「彼氏ちゃんの心の闇が見られて面白い」「時々病んでて好き」
って言われたこと。
読んでくださってる方がいるのは重々承知していてとても感謝しているけれど、
僕としては、彼女さんが面白いって言ってくれればそれだけでいい。
そんな彼女さんに「書かないの?」って聞かれたら、書くしかなかった。
少しずつnoteを再開したけど、毎回毎回「馴れ初め」が目についた。
消すに消せず、書くに書けず。
ついに彼女さんに相談した。

「『馴れ初め』を書こうと思っとるんやけど、書いてていつもより細かいところが気になる。」
「彼氏ちゃんが、それだけ丁寧に大事に書きたい、ってことやろ。書かんと意味ないよ。」

別に作家じゃないんだから、って笑いながら、それでもやっぱり書こうと思った。
「馴れ初め その1」を書きながら、
彼女さんとあの時はこうだった、とか
昔の会話の履歴とか見返した。
何とか及第点のものが書けて、やっと公開できた。
そして、その2もすぐに書き終わった。
彼女さんは「綺麗に書きすぎだよー」って言うけど、
僕の中では、あれくらい美しい出来事だった。

目が見られなくなった

翌日、僕は彼女さんの目が見られなくなっていた。
最初は何でか分からなかった。
彼女さんの目を見て喋ろうとしても、すぐに目を逸らしてしまう。
彼女さんもすぐにその異変に気づいた。
「何?どうした?」
「何か心配事あるなら相談して?」
自分がまた悩んでいるんじゃないかと思ってくれた彼女さんの優しさ。
何度か彼女さんの目を見ようとして、やっと何故かわかってきた。
この人めっちゃ僕のこと好きだ、って思えたから、
照れ過ぎて彼女さんの目が見れなくなっていた。
一度離れたり、「馴れ初め」を書く過程で色々振り返ったりしたことで、彼女さんが僕を好きな理由が何となく理解できたんだと思う。
我ながら恥ずかしいけど、「確かに僕が彼女さんの一番の理解者かもしれない。」と思えるようになった。
そう思えるようになったが故に、今度は照れ過ぎて、彼女さんの目が見れなくなった。
彼女さんの視線から、彼女さんの好意がずっと飛んできてるような感覚。
このことを彼女さんに言ったら
「馬鹿やろ。」って笑われたけど。
とにかく最近は彼女さんの目をみて喋ってると
すぐに顔が赤くなるってからかわれる。

かくしごと

そこまで彼女さんの愛を感じてしまうようになって、
「別れるという選択肢を一瞬でも考えたこと」を隠しているのが辛くなった。
昨晩、彼女さんにやっと話せた。
「実はあの時に、別れようと思って、結局出来なかった。」

「どうでもいい。」って言われるとか、
「勝手過ぎるでしょ」ってたしなめられるか、
だと思った。
けど、彼女さんはそれを聞いて、最初に「ごめんね。」って謝って来た。
僕より背の高い彼女さんに、上から優しく抱きしめられた。
何だろう、慰められるのかな、って思ったら、

多分、私が逃がさんと思う。
「私は彼氏ちゃんと一緒に過ごしたいし、
彼氏ちゃんに『一緒にいて良かった』って言わせたいんよ。」
「だから、ごめんけど、私に一生付き合ってもらうけんね。」
「生半可な言い訳じゃ逃がさんから。」
「告白してきた責任取ってもらうし。」
「…ちょっと重過ぎ?(笑)」

「逃がさない。」が彼女さんなりのユーモアなのは伝わったし、重いなんて微塵も思わなかったし、
何なら彼女さんが本当にそこまで思ってくれててもいいかな、とは思った。
そこまで言わないと伝わらないって思われてるのかもしれない。

そんなこと言われたもんだから、
なおさら彼女さんの目が見れなくて、
今日もずっと照れてた。
とにかく今は彼女さんが好き過ぎて仕方ない。
そんな自分が許せるし、
彼女さんが好きな自分に少しだけ自信が持てる。
何か十数年間僕の中から消えてた存在意義が戻って来たような気がした。

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