VIO脱毛(短歌も)

本日もボクシングジムに行き、黒パグのお尻を見つめながら帰ってきた。大切な穴なのに、尻尾がそれだけしかなくて大丈夫か?お座りした時に小石とか挟まらない?
犬は良い。大きければ大きいほどわくわくする。

お尻といえば、今日は久しぶりにVIO脱毛をしてきた。わたしの秘めたる花園には堅牢な守護者が3人くらいおり、約5年ほど何人たりとて花園への立ち入りを禁じている。多分3年目あたりで暇を持て余し始めた彼らは、反復横跳びでもしてその守備範囲を広げているのであろう。たまに真ん中と右の奴らがぶつかって、「お前の横飛びの線は一本奥だろうが」と喧嘩している。平和である。
時々は訪問者が顔をちらつかせるが、彼らの禍々しさに退散して行くのだ。お勤めご苦労。それでいいのか、26歳。

毛の主体性は本人にあり、脱毛するもしないもその人の意思にのみ決定権があると思う。誰かが強いて良いことではない。刃物メーカーの貝印が脇毛の自由を唱え、つい最近先輩がノースリーブ着ながら立派な脇毛を生やしていた時はときめいた。

それでもわたしは、脱毛に行くとものすごく興奮してしまう。しかも今日はVIOだ、この気持ちをなんと言おう。朝はお清めのようにシャワーを浴び、ごめんねと言いながら毛を剃る。花園なのにいまから不毛地帯となるのよ。ごめんね、えへへ。

施術はお尻から始まる。赤ちゃんの様にお尻を拭かれ、冷却された機械が当てられる(機械のことをクシャナと心の中で呼んでいる)。一通り毛根を焼き払ったら、次は表。淡々と事は進み、談笑を交えながらわたしの花園の外注手入れは済んでいく。

初対面同士の他人が他人の股を眺めいじくりまわす異様さが、脱毛所にはある。あっけらかんとさせて、股について話せる時間がそこだけに流れる。
脱毛の時間は心が忙しくて、文章にするのが難しい。


「どうされさますか?全部無くしますか?一部残しますか?」
「うーん、トライアングル下は残して、後は無くしてください。」
「では、残すところにお印しますね。一緒にご確認お願いします。」
自分の股を初対面のお姉さんと見つめる。

お尻に冷却剤挟まれたまま放置。

毛根達よ、怯えているか?

Iラインの毛はしぶといんですよ。40回くらい当てないと無くならないんです。

最近では介護のこともあってか、60代の方もいらっしゃるんですよ。節目節目でVIO問題は付き纏ってきますね。

私はもうツルツルですよ。

課長の頭を偲ぶ思いだ。

わたしのヴァギナ、ランキングで何位?

お尻がずっとぬるぬるしてる。焼き払われた毛根達の怒りだ...。


何度行ってもVIO脱毛は恥ずかしい。
ガウンが捲られて、紙ショーツも脱がされるときは思わず胸の前で両手を組んでしまう。
現在は機械が変わり痛みも減ったが、少し前までは泣くほど痛かった。毛を殺すってこういう事だよって教えられた。
多分地獄には脱毛ゾーンがあるだろう。永久羞恥激痛脱毛。絶対に配属されたくない。明日から一日一善だな。

施術が終わる頃には、一つの股をめぐり互いに健闘したお姉さんと緩やかな繋がりがあるように感じられる。見たでしょう、わたしの股を。見られたでしょう、私の股は。
だがお姉さんにとってはいくつもの股の一つに過ぎない。私が勝手に感じる紐帯を断ち切る様に、深くお辞儀をして見送ってくれた。

脱毛に関することについて、いつかちゃんと書き留めてみたい。だつもう...。
いくら毛がなくなったって、守護者が開門を許す予定は記してないのに。だつもう...。


中華屋で讃美歌流れ客たちは
一心不乱に麺を啜る

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