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【読書の時間】人を豊かにする経済とは?

題名:田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」
著者:渡邉格

▶︎この本を選んだ理由

会社でおすすめ本として紹介されていた一冊。
パン屋と経済どんな関係性で書かれているのかが気になって手にした。

▶︎感想

私にとっては、とても面白い本だった。
それは、私が今とても興味を持っている「発酵」の話が中心だったからだ。
読書はインプットをする場だと認識していた私にとって、
久々に読書が癒しの時間という感覚を味わうことができた。

本の内容としては、
岡山の田舎で天然酵母菌を使ったパン屋を営む著者のこれまでの経緯が描かれている。(本書では岡山県に移住したところで終わっているが、その後鳥取県に移転した模様。)

「人生どん底の著者を導いたのは、天然菌とマルクスだった。」
とのこと。


この本のキーワードは、

”利潤”

題名にある「腐る経済」とはどういうことなのか、
それには、利潤という言葉が強く関わっている。

腐る経済の前に
「腐らない経済」とは、
お金は時間が経っても土へと還らない。永遠に腐らないし、投資によって得られる利潤やお金の貸し借りによる利子によって、どこまでも増えていく。

この「腐らないお金」が、資本主義のおかしさを作り出している。

それに対して、「腐る経済」とは、
利潤ではなく、循環に焦点をあてている。

利益やお金儲けのための仕事ではなく、循環させ地域や関わる人が豊かになるようなパン屋になりたいという著者の思いを表している。

それが、天然菌と自然栽培の作物を使ったパンであったということ。

この思想に共感しつつも、自分自身の行動が伴っていないのが現実。
便利さを優先することもあるし、利益を求めることもある。

ただ、利潤を求めるのではなく、循環させ、関わる人を豊かにしたい、
その思いに共感し憧れる自分をまずは認めたい。

▶︎印象の残った一節

中でも印象の残った一節を3つ紹介します。

「職」(労働力)を安くするために「食」(商品)を安くする。それが、マルクスが解き明かした資本主義の構造なのだ。


安ければいい、消費者目線ではそう思いがちだが、その影では労働力が安く売られている。その背景も考慮して選ぶことも消費者の責任なんだろ。

「借菌しない」パンづくりとつながるのが、砂糖もバターも牛乳も卵も使わない「引き算のパンづくり」だ。


引き算することで本質が見えてくる。何事にも通ずること。少しずつでも本物がわかる人間になりたい。

「引き算」は、茶道や華道、短歌や俳句など、日本の伝統文化においても大切にされている精神。

自分が日本文化に惹かれる理由が少し見えてきた気がする。外から足していくのではなく、内なる力を高めていくということ。


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