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節分のお面と息子|エッセイ

この時期になると、夫が鬼の面を買ってくる。
今年は1つ大きいサイズのものになったので、息子にはぴったりだ。
毎年家にあるものなので、息子はもう全く鬼の面を怖がらない。鬼の角が猫の耳みたいと言う始末だ。息子には猫耳をつけたおじさんに見えているのかもしれない。可愛いねえと言っていたが…本当に?
去年は触ろうとしなかったのに、今年は触るどころかつけて妹を脅していた。なんて酷いことを…。トラウマになるかと心配していたが、すぐに立ち直って鬼の面をベタベタ触っていた。2人目は強い…。


脅すとあまりよくないかと思い、2歳過ぎまでは脅さない育児をしていた。
しかしどんなに丁寧に説得しても夜も昼も寝ないので、疲れた私はついに「そんなに寝ないなら鬼に電話するからね!」と言ってしまったことがある。
息子は「やめて!!!」といい、隠れるように布団を被ってしまった。

「ごめんね、鬼なんていないからね」
こうなるともう、親も情緒不安定だ。
息子も(この人は何言ってるんだ…)と思ったことだろう。
脅して寝てくれたら楽ではあるが、酷い罪悪感に襲われた。息子にも悪影響があるだろうし、もう鬼を使うのはやめることにした。
結果「鬼もお化けもいないよ、大丈夫」というスタンスになり、鬼の面を怖がらない3歳ができた。保育園に鬼が来ても泣かないらしい。
いいことだとは思うが、最後の手段がないのでまた育児の難易度が上がった気がする。

でも脅さないで育児をする自分は嫌いじゃないなと思う。
きっとこれからも限界を迎えて「鬼が来るよ!」って言うことはあるかもしれないけれど、その度にちゃんと謝ろう。
言う事聞いてくれたら親は楽だけど、子供は親の事情なんて知ったこっちゃないのだ。

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