魔女といえばあなたは何を思い浮かべますか？
ディ〇ニーや映画などの定番な悪役でしょうか。
または、魔法を使い、変身したり、いたずらをするような女の子向けヒーローでしょうか。
それとも、現実に行われていた「魔女狩り」「魔女裁判」でしょうか…

鬼や悪魔と同じく、アニメや映画で定番のキャラクターのように、世界中に知れ渡っていますが本当に魔女、魔法なんて実在していたのか…
実在はしていなかったとして、では何がそのような形容として表現されたのでしょうか。
これもまた、不思議だと思います。

魔女の定義

• とんがり帽子

• 長く尖った鼻

• 老婆で長寿

• 黒装束

• 空飛ぶホウキ

• 大きなお鍋・釜

• 魔法・薬

現代ではこのようなイメージでしょうか。
このイメージの始まりは、やはり童話やおとぎ話などからかと思われます。
しかし18世紀以前は全然違うイメージだったことでしょう。

魔女宗（ウィッカ・ウィッチクラフト）という団体があります。その中でも魔女の正装、正しい姿は全裸であるとされていたそうです。
西洋絵画の世界でも、主に魔女が描かれる場合のほとんどが全裸であるため、そのように一部の界隈や時代により見た目も異なるようです。

絵画の世界で女性の裸は風紀を乱すとされ、特にキリスト教では禁止されていました。ルネサンス時代が訪れ神などの「人じゃない存在」であれば裸がOKとなったために、一つの口上として「魔女」としていたのかもしれません。

魔女狩り

そして「魔女狩り」が盛んだった時代、下層民の多くが魔女と告発されていました。そのころの魔女のイメージはきっと、一見はただの人の姿をしていて汚れた服、正体を隠している存在。

という、なにかとこじ付け偽りの姿を暴くという名目だけで、勝手なイメージをどんどん作り上げていった時代が続きました。

その印、証とされた箇所に神聖に作られたとされる、聖剣、聖槍などを突き立て、痛がるのであれば魔女確定。石を足につなぎ水に体が浮かべば魔女。といった尋問という実質処刑も行われていました。

ヨーロッパ各国での魔女狩りも有名ですが、アメリカでも「魔女裁判」が開かれていました。有名なのはその名も
「セイラム魔女裁判」
詳細は下記Wikipedia引用にて

都合・体裁のいい処刑

嫌な隣人、親戚などの私怨、浮気や不倫の復讐、怨念などにも魔女告発が利用され、相次いで処刑されいたとされる話はよく聞きますが、それだけではなかったはずです。

14世紀初頭の魔女狩りは、昔からの先住民、呪術師「シャーマン」の存在が邪魔だったのではと思われます。
国家が設立し、植民地化、領土拡大など、多くの原住民、先住民を支配するのに、地方、辺境地で一番に影響力があり周囲を牛耳っていたのはやはり各部族の「シャーマン」とされている人物なのも世界共通です。

かれらを悪魔的な印象を植え付け、討伐という正義の鉄槌と駆逐し、自分たちの領土、支配権を広げたのは想像の範疇だと思います。

魔女狩りの舞台としてセットのようにでてくるのが

「ペスト」

現にペスト流行時期の14世紀と、魔女狩りが盛んな時期は一致します。

ペスト対策として、感染の拡大防止や対策の一環と、もしかすると誰もが分からずに恐れていて、全て「呪い」としていたかもしれません。

『原因は大気中の有害物質にあり、それが鼻や口や、そして皮膚の毛穴から体内に侵入する』

パリの医学会、研究者のあいだではこのような認識でいたようですが、その存在はまだ「有害物質」

そう認識されたのはオランダの織物業者レーウェンフック（1632–1723年）が顕微鏡で「細菌」を見つけたのがその始まりと言われています。
それまではずっとこの事実を多くの人がバカにしていました。学者でさえも。

魔女狩り、ペストが盛んだったのはこの発見と常識が認知される300年も前の時代です。
その菌であれ有害物質であれ、当時の世間、世論が認識できたでしょうか。そして事細かに説明をしたとしても、みなが把握、理解できたでしょうか。

魔女の迷信にこういった話があります。

これは接触感染のことを示唆しているのではないでしょうか。
国であれ個人であれ、なんだか分からない「呪い」から身を守るために「魔女」という設定を利用しシャーマンを駆逐してきたように、また感染者を駆逐する体のいい大義名分だったのではないでしょうか。

いつの時代でも、権力者は高みの見物を決め込んでいれば安心安全なのですから。

魔女の起源

言葉や存在の定義づけたのはドイツ語であるHexe(ヘクセ)13-14世紀から使われ始めたそうです。
この語源は「生垣を越える」「生垣の上の女」生垣や垣根は村と森の境界、それはこの世とあの世の境とみなされていました。

数々の映画でも、村、町の先にある「森」や「林」この先に行ってはいけないと親が子に説明をしたり、意味深な描写が多いのもこのためだと思います。このような文化がない日本人などの感覚では、一瞬では分からない描写ですね。

各童話にて、魔女＝女性、というイメージですが、このへクセと呼ばれていた時代の当初は7割が男性でした。

魔女という「言葉」について簡単に言うと、元々はこのへクセでした。その後シェイクスピアの「マクベス」にて、英語に「witch（ウィッチ）」と訳し、それを森鴎外が日本語にて「魔女」とされました。

「生垣の上の女」の部分にて、女性の印象を含めたのでしょう。それがいつの間にか定着してしまった。なので元々は男女共に魔女＝ヘクセなのです。

魔女の定番である「薬」
あらゆる薬を使い、様々な魔術を駆使する設定が各物語でも定着しています。その薬とは呪術師＝呪術医からではないかと考察します。

各地のシャーマンは今現在でも、アフリカやアマゾンの奥地では神格視されており村人の多くが病や祈願、祈祷、魔除け、などの相談をシャーマンにしています。

先進国であるアメリカや日本など西洋医学ドクターが未開発地へ派遣されることも数々ありますが、受け入れられないことが多いそうです。
それだけその地域に根好き、築き上げられた存在であり薬学でもあります。

多くの薬草を使い分け、なかには一種の「麻薬」を用意ることも多々あり、それらの用途が「魔法」「魔術」と認識したのでしょう。現にシャーマン自身もなんらかの病気などを「呪い」「憑依」という表現にて使用しています。

シャーマンになるには何十年という歳月のいわゆる「修行」という習わしもあります。
ほとんどが「薬学知識」みたいなもののようですが、現地周辺に自然と育つ植物を使用しているため、中には数年～数十年たたないと収穫ができない植物の皮や樹液などの場所、取得方法、調合といった習慣というべき知識が必要なためもあるでしょう。

それらは代々引き継がれた先人たちの知恵の集大成です。それらの習得に歳月をかけるというのもあり、ほとんどのシャーマンは高齢で長老や預言者、神託者という立場だったでしょう。

彼らが使う薬草、医術、儀式が魔術であり、彼らの影響力やリーダーとしての役割が、政府、侵略側にとっては邪魔だったのです。

最後に

支配、政治利用、そして権力の保持、惰性、個人的私怨など
いったい何人の罪なき人が処刑や惨殺、迫害を受けたことでしょう。

そういった人間の、人間らしい悪の部分をまさに象徴としての「魔女」というのであれば、少しネームバリューが弱い気がするのは私だけでしょうか。

「リヴァイアサン」「マモン」なんなら「サタン」
といった、もっと高位で邪悪な悪魔でも、引けを取らない気が私は致します…