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我が子を褒められたときの葛藤

カラオケに子供を連れていった。
本題に関係あるので、少しふれるが、私にとってカラオケは歌うところではない。私は音痴なのだ。


自分の劣等感とよく似た形の娘


そこは、人目を気にせずボドゲを広げられる場所であり、ワード人狼など持ち物のいらないミニゲームを突発的にやるのにも適しており、人の集まる場所には大抵ある便利な場所だ。人目をはばからずオタクが雑談することもできるし、ドリンクバーだってある。雑談メインでも、うまい人が「ちょっと歌うねー」っていうのを聞くのは大好きだ。歌詞も目と耳から入ってくるから、心の栄養になる。
今日はそういうストレスのないほうのカラオケだった。楽しかった。

うちの子は歌うのが好きだ。家でも大きな声で歌う。カラオケでもそう。
いつも見ているアニメの主題歌をいれ、「三番まであったのしらなかった!」と興奮していた。二回、同じのを入れた。しかも連続で。マナーとかない自由空間。
もっと歌いたいからと、メドレーなんていれるから完全に知らない曲も出てきた。
そんな時はマイクで「正直に言います。わかりません!」っておちゃらけて爆笑していた。楽しそうでなにより。
ブンバボン一緒にうたってくれた友人たち。こういうノリ大好きで、それならって私も踊ってあげられる。ありがとう。
知ってる曲では、マイクが必要ないくらいの声で叫んで、耳を塞ぐ必要すらありそうだった。
叫んでいるときは、音程なんてない。デスメタルかな。とっとこハム太郎のはずなんだけどな。

私も、自分の歌が下手だと気づく前は、大きな声で歌っていた。学校の先生は声が大きいだけで褒めてくれたから。
歌を評価されるのが苦手になる、最初の一歩は母だった。
母は音大を出たひとだ。だからこそ、なんだと思う。音程のずれもリズム感のずれも、きちんと指摘してくれた。
母がこれを読むわけではないが、私の良心がとがめるのでフォローもする。
努力すれば実力が向上するのを実感させてくれたのも母だ。私は教育大学なんていったから「音楽のテスト」というものが大きくなってもついてまわった。それらを苦手分野ながらギリ合格できたのも、夏休みに実家で母の元、特訓したからである。

今の娘たちと同じように、大きな声で歌うのだけは大好きだった子供時代の私。
だけど的確なダメ出しにさらされるうち、私の歌は大声でさらしてはいけないものなんだと思うようになった。
思春期も重なったから、本当はそれだけが理由じゃなかったかもしれないが、それからは合唱のときも小声になった。

私が子供の歌をきいて、たとえ下手だと思ったとしても、何も言う権利などない。自分が超下手なのに。
それに歌を好きなままのほうが、きっと人生楽しいと思うから。
好きでいたほうが、これからうまくなる可能性も断然増えると思うから。
なにぶん夫婦そろってカラオケで歌う欲がないものだから、カラオケに連れていってあげることは少ないが、せめてディスるのは我慢しようと思っている。絶対!
正しく指導することすらできないのに、肯定感をそぐのは悪だと思うからだ。

ここから本題

子供をディスといえば、日本には謙遜文化があるので、子供を誉められるとつい「そんなことないわよ〜」っていう親、よくいるんじゃないだろうか。
鼻持ちならないやつと思われないための処世術かもしれないし、自分の親がやってたから当然のようにそうなるのかもしれないし、子供と自分の一体感がありすぎて自分のことのように謙遜しちゃうのかもしれない。
ただこれって、子供の自己肯定感をそぐ行動なんじゃないか? という問題意識は実は前からあって、「そう、最近できるようになったんだよ! 嬉しい!」とか、近況報告的な感じで返すようにしている。
このあたり、とくに話し合ったわけでもないのに、夫のほうが素直な切り返しがうまいので、私は密かに尊敬している。偉い。

こないだ、教育関係の講師をしている友達とお話したときに、彼女からこの話が出た。私の問題意識、あながち間違ってなかったらしい。
しかし、私の手持ちの切り返しのカードは「素直に近況報告する」のみだったので、私のほうも子供を誉める気持ちをもってないと、とっさに出てこない。
例えば、うちの子の歌をきいて「こんなん、ジャイアンじゃんw」と内心思いつつも、かろうじて悪くいうのを我慢してるのに、心優しい友達(とても歌がうまい人だ!)が「すずちゃん、歌、とってもうまいね!」と、本心だよって口調で言ってくれる……今日のようなケースである。
わからん、もしかしたら下手くその私には気づけないような素晴らしい才能を見いだしてもらってるのかもしれない! でも違う気がする!

さぁ、こんな時どうするか!

それをこないだ、講師のお友達が教えてくれた。
だから私は、その新しいカードをきった。

ちょっと無理していたかもしれない。自然に言えていただろうか。
私は今後、新しいカード「自分ディス」も活用して、子供の誉められを意識的に肯定していこうと思う。練習あるのみ。

追伸
友人のみなさまにおかれましては、子供ディスを控えたくらいで私のことを鼻持ちならないやつと思うような人はいないと信じてるのですが、子供を誉めあう輪もじわじわ広げていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。(私も本音で誉めるよ!)

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