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現状の加除添削から離れる力

 これ、仕事するうえで、身につけることが非常に難しいと感じます。

 当たり前ですが、まずは前例のようなものがあれば、それをベースにものを考えます。ルーチンな仕事の場合は、前例を踏襲することが多くの人の合意を得やすいですし、ミスや手違いも起こりにくいような仕組みになっているからです。前例を知らずに仕事をしてしまうと、思わぬ反発を招く可能性もあるので、特に前任から仕事を引き継いだ場合は、前例をロクに理解せずに仕事をされるのは、上司や組織としても非常に困るわけです。
 ある意味、ここは「守破離」の「守」といえます。
 現実は、この「守」が徹底されていない場合も多く、これがいつまでたってもできない、自己流に仕事をする人は、よほど、天賦の営業センスやカリスマ性に恵まれているようなことがない限り、少なくとも会社組織の中でやっていくのは難しいように思います。

 次は、ある程度「守」はできたうえで、そこを状況の変化に応じてどう修正を加えていくかが求められます。事業環境は常に変化しており、人間関係も移ろいますし、似かよった事例であっても、まったく同一ということはありませんので、基本的な型に加除添削をほどこすことで、これまでの蓄積を生かしつつ、時代に即したものにアップデートして、結果的に相伝の型を長く使い続けることが可能になります。
 ここは、やや強引なあてはめかもしれませんが、「守破離」の「破」でしょうか。
 これも、意外と難しく、基本的な「型」の魂というか、肝というか、成り立たせている骨組みを理解していないと、親柱を傷つけてしまい、屋台骨を揺らがすことになりかねません。このへんは、カミソリに似たものがあり、使い手には基本の技術の習熟が求められ、ここに至る人も案外少ないように思います。

 とはいえ、こうした加除添削までは何とかたどり着くのですが、そこから離れて、材料をバラバラにして、組み立てなおす、そして、新しい展開、新たな事業環境に応じた、新しい「型」を作るための、プロトタイプを制作するというのは、非常に難易度が高いですね。
 直面している現実からすると、どう考えても、新しい「型」が必要となっている、これは頭では理解できても、これまでの「型」の加除添削で何とか乗り切ろうとする、というか、型を分解して新しい型をつくるなんて、誰かが設計図を用意してくれないととてもできない、そういう人がほとんどだと思います。
 ここは、「守破離」の「離」ですね。

 僕自身も、かつては、基本的な型ではどう加除添削しても乗り切れないと思っても、材料をバラバラにする勇気がありませんでした。どこかで、むしろ加除添削を繰り返して何とか現在の「型」を使って対応しようとするより、バラバラにして作り直したほうが早いと考え、それを何とかできるようになったのですが、これを後進に伝えようとすると、「守破」までは何とか教えられても、「離」は難しいと感じます。ここは、自分でもがいて習得するしかないのかもしれません。

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