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相手の気持ちとの間に架ける「橋」

 先日、トップ直属の秘書担当役員と二人で話をする機会がありました。
 その時、人事のことについても話が出たのですが、役員との会話で印象に残ったのは「頭のいい奴はいっぱいいるんだ。でも、胆力のある人間、相手の気持ちを考えて行動する奴は、これが大事なんだけど、少ないんだよなあ。」というコメントでした。

 たしかに、うちの会社は一流企業ではないですが、そこそこの企業ブランドを有しており、比較的、業務の幅が広いので、多少、適性があっていなくても、自分から出ていくことがない限り、今のところ、どこかしらで役割を果たすことはできます。

 また、学歴や資格で見る限り、私立御三家の高校出身で国立トップレベルの大学を卒業している人や、会計士、司法試験合格者、一流大学の専門職大学院を修了している、そうした人も少なくありません。
 
 ただ、そうしたピカピカの経歴を持つ人たちが、中で活躍できているかといえば、組織の中枢から外れ、現場にあって、対人折衝ではない、後方部門にいることが少なくありません。

 おそらく、人事としては、ピカピカの経歴から、人材不足の中、少しでもこうした経歴の人を活かしたいと考えているようで、時々、中枢とはいえないまでも、そこにも行くための足掛かりとなるような部門に、配置したりしているようですが、逆に自分の経歴が足かせになり、周囲とのコミュニケーションがうまくいかず、また遠いところに戻される、そのうち、とりあえず害を及ぼさないところで最低限の役割だけやってもらう、というところで、人事的にあきらめの境地に至るようです。

 たまに、そうしたピカピカだけど残念、という人と話す機会があるのですが、本人は、処遇に不満であり、現状うまく行っていない原因は自分のような人材を登用しないからであり、自分にはしっかりした理論があるので、それを経営の中枢で活かしたいと考えています。
 
 ただ、周囲は、特に優秀な上司であれば、自分の思いをわかってくれるはずだ、という前提にあって、仮に自分の考えを実現するためには、相手の立場に立ち、どのようなアプローチでそうした考えを伝え、「落とす」ことができるのか、相手の気持ちとの間に「橋」を架ける気持ちがないんですよね。

 僕は、一応、経営の中枢に近いところを歩んでいることから、そうした人からすると、「自分をわかってくれる優秀な上司」という印象を持たれるらしく、話を聞く機会が多いのですが、その場で否定はしないものの、「橋」の話はします。相手は、「まったくおっしゃる通りですね」とか頷きまくるわけですが、おそらくわかっていない。

 なので、人事から、そうした人を提示されても、「うちは理論とか資料作りがうまいとかいうより、「橋」を渡せる人がいいかな」と、やんわりと断っています。

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