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隣の芝生は青い

 先日、あるIT企業経営者の講演を聞く機会がありました。この人は、多額の借金を背負って社会人スタートせざるを得なくなり、普通のサラリーマンはおろか、医者や弁護士になっても、とても返せない額の借金を背負ったことで、経営者になって成功し、稼いで返すしかないと考えたそうです。
 一方で、現状において競争の激しい分野で成功するだけの資金力もスキルもないので、将来性はありながら、今はまだまだ参入者の少ないIT業界に入り、そこでまず基本的なスキルを身につけ、それを元手に事業を手掛けていく、途中で幾たびも失敗はあったようですが、今は事業が軌道に乗り、楽しそうに仕事をしているといった感じでした。
 この人がIT業界を志した、1990年代は、ワープロ専用機がまだまだ幅を利かせ、パソコンの処理速度は遅く、ノートパソコンは非常に高価で、ネット環境に至っては、1990年代後半でも、外出先では公衆電話でモジュラーケーブルをつないでテレフォンカード使いながら何とかメールを送受信できる、そんな環境でしたし、ソフトバンクに入った友人が「情報化社会のインフラを握る」と語っても、そんな新興企業が、全国津々浦々に張り巡らせたインフラを握るNTTにどうやって対抗するのかと、夢物語のように聞いていたのを思い出します。
 20数年後になってみると、あの当時にIT企業を目指した若者は先見の明があったと羨ましく思いますし、先の経営者の楽しそうに語る姿を見ると、自分もそういう選択をできればよかったと思うこともありますが、おそらく、僕などは想像を絶するストレスフルな環境を、乗り越えてきたに違いなく、そういう強靭さがあるからこそ、今のその人があるのだと思います。実際、僕の友人も、その後、ソフトバンクで幹部なったような話を聞きませんので、そうした創業期のストレスフルな環境には、順応できなかったのかもしれません。
 今は過去の選択を悔やむのではなく、現在の自分が取り得る最良の未来を創るために、自身のレジリエンスを高めつつ、過去の自分の積み上げた財産を整理し、強みに転じるためのアクティブリスト作り、リストに基づく人とのご縁の拡大に持てる力を集約したいと思います。

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