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メンタル休暇時の復帰戦略を2000字で振り返る

 前の職場で一緒に仕事をしていた人が、精神的に追い詰められてメンタルを理由とする休暇に入ったことを聞きました。

 この人は部門の序列ではナンバー2の位置にあり、僕がトップであった3月までは、特命の業務を担当してもらっていましたが、4月からは最大、部門の業務の半分を仕切ってもらおうと考えていました。

 ただ、業務分担は、部門トップの仕切る専管領域、ナンバー2の仕切る専管領域、そしてナンバー2に基本、仕切ってもらうことを想定しているけれど、状況によっては部門トップが仕切ることも可能な共管領域の3つにわけており、
このうち共管領域は4月以降の過酷な状況の中、ナンバー2が担う余裕がなく、トップが取り込んで、ただそこの実質的な仕切りは、トップの参謀役についている別な幹部が担うという、少し変則的な業務運営になっているようです。

 昨年度もかなり流動的というか、どんどん新たなプロジェクトが持ち込まれて、僕自身も途中で計画休暇を取らないと持たない感じでしたので、組織的にはどこか一角が崩れてもその穴をふさぐような、バックアップを意識した指揮命令系統にしておいたのですが、早くも功を奏したという感じです。
 
 さて、メンタル休暇に入ったナンバー2の幹部は、5月末には戻りたいという意向を示しているようです。
 
 ただ、僕の経験上、1ヵ月ちょっとで復帰することは、ほぼ不可能だと思っています。

 自分の中で何かがぶっ壊れる前に予防的に休むのであれば、昨年度の僕のように、2週間休めば戻れると思いますが、おそらく、過重な精神的負担に耐えかねて、一度ぶっ壊れた、大地の底が抜けた状態にあると思いますので、現在はどん底に落ちて気を失った状況から目覚め、自分の置かれた状況を認識し、責任感が発動している状況にあると思います。

 これがだいたいぶっ壊れてから1~2週間目で、そこでは自分が立場を投げ出したことへの自責の念から、早く戻りたい、戻れなければすぐに首を挿げ替えてくれというモードになり、じっさい、前の職場の担当役員に聞いたところ、今まさに、そんな状況みたいです。

 冷静さを欠いている状態で、後から考えると何だったんだろうと、僕自身も後に思い出して冷や汗が出ますので、ここは極端な行動に走ることは抑えつつ、要望はスルーします。

 この混乱のトンネルを抜けると、「放念」の世界にようやく出ることができます。そこで抱えていた立場上の責任を手放し、ゆっくり休もうという気持ちになることです。

 ここからが本当に休める期間ですが、実は戦略なく休むのは、復帰の時の精神的なハードルの高さを考えると、危ういです。

 一番やってはいけないのは、最初に決めた短期での復帰目標にこだわり続けることで、おそらくその復帰目標は、業務の継続性を視野に入れているので、戻れば激戦地であり、浦島太郎状態で、かつ、激戦地を一人逃れた自責の念を再燃させてしまうので、いたたまれなくなり、再び休むようになる、あるいは休みがちになるのが、目に見えています。ここを失敗して、本調子に戻ることなく、メンタル休暇の泥沼にはまって抜けられなくなっている人を、僕は何人も見てきました。

 まずは業務の繁忙期を見極めたうえで、一旦落ち着くタイミングでの復帰、ここを第一目標に、復帰までのロードマップを描きます。

 ただ、手放して休みの深淵にある状態から、いきなりウォーミングアップなしで本番というわけにはいかないので、朝早く誰もいないオフィスに顔を出すとか、土日に来てみるとか、そのへんの場慣れの復帰準備期間が、1ヵ月弱は必要です。

 こうしたもろもろの要素を勘案すると、ぶっ壊れてから4ヵ月後の復帰が理想で、業務が落ち着くタイミングとの関係で早めざるを得ない場合は、3ヵ月、いずれも最後の1ヵ月弱はウォーミングアップ期間なので、実質、心おきなく休めるのは1カ月半から2カ月半といったところでしょうか。

 当然ながら、不眠や食欲不振といった状態にあれば、そちらの改善も大事ですから、いろいろ勘案して、最大半年のスパンの中で、タイミングや体調との関係で、調整することになるのだと思います。

 あとは、休暇期間中のメンターも複数持っておいたほうがいいですね。いずれも同じ職場でない人が望ましいですが、できれば気心知れた知り合いの方がよく、そのうち一人は、カウンセリング経験のある人が望ましく、もう一人は復帰する職場とのつなぎ役ができる人が望ましい。

 このへん、条件的に厳しいかもしれませんが、僕の場合はこの組み合わせでメンターとなる人をみつけられて、二人それぞれと、定期的に対話することで、回復軌道に乗せることができました。

 メンタル休暇の復帰には、一定の予見力や戦略的思考が要求され、心をかけてもらえる人の存在がカギになるので、ある意味、それまでの自分が試される局面ともいえるかもしれません。

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