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不安と悩みの総量規制

 日々、嫌なこと、辛いこと、苦しいことが重なり、さらに目の前に更なる苦難が待ち受けていると、そうした出来事から逃げたい、という気持ちが投網のように心の中に広がる一方で、もう少し自分に精神的な強さがあれば楽になるのではないか、とか、今からでもそうした強さを身につけなければと、千々に心が乱れるようになります。
 とはいえ、心口各異の努力により、他人の目を欺くことはできても、自己暗示により自分の心に思いこませようとしても、それは、木に金を接着するようなもので、すぐに強がりの外面は剝がれてしまいます。無理に思いこませて、悪路難路を進めば、無理をさせられた心は暴走し、程なくしてスタミナを使い果たして動力を停止する、3年半前の二の舞を招きかねません。
 自分でも、忘れたふりをしており、余裕のない周囲の人たちは、もう大丈夫だろうと信じていますが、過去に負った心の傷は、一度折れた厚紙のように、心は接ぎ木をすることで支えられており、接ぎ木が外れれば再び折れてしまうリスクを抱えています。
 また、全ての苦難を一掃できるような走者一掃のクリーンヒットを夢想はしても、狙って打つことは簡単ではなく、仮に打ったとしてもRPGのように悪の魔王を倒したら、いきなり平穏極まりない世界がやってくる、といったようなことは起こらず、また新しい問題がやってきて、クリアしたところに積み上がっていくだけです。
 次々と襲い掛かってくる問題、悩みや苦しみの種は、一つ一つ、解決していき、積み残している問題の種火は炎上しないように保管し、不安と悩みの総量規制をしながら、自分のメンタルも適度にケアしていく、睡眠や食事、休養はしっかりとり、気持ちを他に向ける時間も作る、そうすることで、自分が持続可能な状況を保持しつつ、未来の自分に対する幸せな感情をプレゼントするような種まきを、地道に積み重ね、一日一日を大事に生きてきたいと思います。

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