あいまいな過去 8 引きこもりの日々を綴って

「誰にも言わない。だから安心して話をして」

不登校になった僕は、病院に連れて行かれた。 

何故、病院に行くのか
僕には解らなかった。

病院で治す事なのか
病院で治る事なのか

…僕は病気なのか

そこは、大学病院の精神科
先生は何冊も本を出している専門家
そんな、人。

僕は先生に少しだけ
誰にも話していない話をした。
  
話しても無駄だと思う話を
先生にだけ、先生しか聞かないから話した。
  
話して楽になりたかったのか
先生を試したのか
なぜ話したのかは憶えていない。

ただ、何となく先生の話を信じてみる気になったんだと思う。
この人は大丈夫かな、なんて。

その後、話した事と同じ事が
親の口から出てきた。

僕がこう思っているんじゃないか、と。

これは、偶然の一致だったのかもしれない
ただ、当時の僕はそうは思えなかった
そう思う余裕も無かった。

先生はその後も最初と同じ調子で接してきた。

僕は失望し、さめていた。

やはり、こんなものか、と

先生は、薬を勧めてきた
僕は飲む気は無かった
薬で治る事とは思えなかった。

そもそも治るってなに

薬で状況が改善しても
それが事の本質の解決になるとは思えなかった。

先生は入院も勧めてくる 
入院は嫌だった
これも、根本的な解決になるとは思えなかった。

なにより、友達と合えなくなる事を恐れた。
友達が離れて行ってしまう、それが怖かった。

熊本市で、ひきこもり自助グループ「かこかり」の運営をしています。 居場所作り活動中。