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【災害時】トランスジェンダー・ノンバイナリーにとって重要なこと

令和6年能登半島地震が発生し、TGNB(トランスジェンダー・ノンバイナリー)など、様々なジェンダーの被災者の方について想いながら、書きます。

「災害」時に気を付けるべきこと。

  • ホルモン療法中の"ホル切れ"

  • ホルモン療法中の方のリスク

  • トイレ

  • 造腟術後の外陰部腟ケア

  • 月経

【ホル切れ🟰ホルモン不足】

ホルモン療法中の方が
定期的にホルモン療法をできなくなると、更年期のような症状(疲れやすい、イライラする、悲しくなる、体がほてるなど)が起きることがあります。

そのような症状を全く感じない方もいらっしゃるかと思いますが...

塗り薬の常備薬がある方は、それを使用してください。
・女性ホルモン薬:ル・エストロジェル、ディビゲルなど
・男性ホルモン薬:LUNAテストステロンオイル、1UPフォーミュラなど
*揮発性の薬(すぐに蒸発する薬)が多いので、ホルモン薬を塗った後に手を洗わなくても、相手にホルモンが影響してしまう可能性は少ないです。
*塗り薬は常備薬としておすすめです。
 飲水いらない。特別な器具(注射針など)がいらない。ゴミがでない。ホルモン量を調整しやすい。かさばらない。



【ホルモン療法中のリスク】

男性・女性ホルモン療法の作用と副作用

↑の副作用は、ホルモン療法中のリスクですが、
一番覚えておいてほしいことは、血栓症です。
女性ホルモン療法中の方は、特に血栓症ハイリスク者になります。
男性ホルモン療法中の方の血栓症データは限られていますが、
多血症に伴って血栓症が起きやすい可能性について述べている論文もあります。
ホルモン療法中の被災者の方は、血栓症に関して十分注意をお願いいたします。血栓予防をお願いします。

【肺血栓塞栓症リスク】


被災者は、肺血栓塞栓症が非常に起きやすいと言われています。

↓NHK webサイトから抜粋しました。
避難中、窮屈な体勢でじっとしていると、足に血栓ができます。それが肺の血管に詰まる(肺血栓塞栓症)と呼吸困難となり、最悪の場合は命を落とします。

女性ホルモン療法中の方は特に、血栓ハイリスク者なので、この危険があります。しっかり対策をしましょう。

【血栓対策】
①足をうごかす。ふくらはぎをもむ。持っていれば、着圧靴下(弾性ストッキング)を履く。
②こまめに水分補給をする。

【トイレ】

トイレを我慢する方が非常に多いです。

膀胱炎になる可能性。
トイレに行きたくない→水分を控える→血が濃くなる→血栓症のリスク
トイレ我慢は、このようなリスクがあります。

トイレ問題は、解決が難しい方もいらっしゃるかと思いますが、水をこまめにとり、排泄はおこないましょう。
便秘に伴い、腹痛が生じることも心配です。

自分が使用しやすいトイレの場所の確認など、早めに探してみてください。
事前準備としては、簡易トイレやエピテーゼなどの準備を検討してみてください。

【造腟術後の外陰部腟ケア】

ジェンダーを理由に入浴問題があり、「清潔ケアがなかなか行えない」という方もいらっしゃるかと思います。
しかし、造腟術後の外陰部腟ケアは非常に重要です。

身体ふきシートで拭く、ペットボトルなどの水で洗うだけでもよいので行ってください。

【外陰部ケア】
陰核や小陰唇の溝の部分に垢がたまりやすいので、そこを洗いましょう。

外陰部イラスト 性教育いらすとより

【腟ケア(術後半年以上経過しており、安定している方)】
陰茎陰嚢皮膚反転法外陰部に加えて腟内までよく洗うこと
S字結腸法、PPV法(腹膜法)は、どうしてもできなければ、外陰部と腟入口を洗うだけでもOK.

*ダイレーターは、どの手術方法でも継続することを薦めます。
*避難場所にダイレーターを持参できなかった方は、清潔な指で腟内マッサージをしてください。
指で毎日マッサージするだけで、腟内が狭窄せず維持できる可能性があります。

【月経】

子宮卵巣があるTGNBの方は、月経問題があります。男性ホルモン療法中でも、月経が生じる可能性があります。

「男性ホルモン療法中で見た目が男性なので、"ナプキンください"とスタッフに言いづらい」
「男性として埋没して暮らしているので、同じ被災者の友人にもナプキンが欲しいなんて言えない」

「そもそも、生理用品が欲しいだなんて、言いたくない」
「トイレに行きづらいので、同じ生理用品をずっとつけ続けている」
「生理中、タンポンを1週間入れたままでもよいと思っている」

なかなか生理用品の入手が難しい方も多いかと思います。
しかし、月経時に同じ生理用品をずっとつけ続けることは、リスクがあります。

月経時の長時間タンポン使用により、毒素性ショック症候群という病気が生じる可能性があります。死に至ることもあります。

不衛生な生理用品の継続使用は、感染症をひきおこす可能性があるので、注意が必要です。

2024年元旦。
被災者の方に向けての必要な情報をまとめました。
言葉足らずなところがあったらすみません。
誰かの力になれたら….幸いです。

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