見出し画像

ゼロ・ウェイストのまち徳島県・上勝町で出会ったダヨネさん

画像1

2014年12月に行った徳島県上勝町のこと。
料理のツマになる「葉っぱビジネス」でも有名ですが、私が興味を持ったのは世界初の量り売りの百貨店「上勝百貨店」のこと。
 →上勝百貨店の記事はこちら

画像8

残念ながら、上勝百貨店は一時閉店しており、今はリニューアルオープンしているようですが、ゼロ・ウェイストの取り組みを見てきました。

ゴミや無駄を出さないということ

画像2

ゼロ・ウェイスト政策の基本は、ゴミをリサイクルするだけじゃなく、そもそもゴミを出さないようにしようというもの。
町中のゴミは「日比ヶ谷ゴミステーション」に自分たちで持ってきます。
この町にはゴミ収集車がありません。

画像3

そう、この町にはゴミ収集車が走っていないのです。
ゴミを極力出さないこと、リサイクルに回す前に使えるものはとことん使うことを心がけています。

ゴミステーションでは、細かく34種類に分別します。
工具も置いてあって、自分たちで綺麗に分けていきます。

画像4

画像5

まだ使えるものはくるくるショップへ

画像6

町の人が「不要になったけど、まだ使える物」を持ち込み、持ち帰る人がいれば誰でも(町外の人でも)持って帰れるような場所になっています。
お宝探しのようで面白いです。
「持ち込み」と「持ち帰り」はこの表に品目と重さを記載すればOK!

画像7

究極の循環型の社会を目指しています。

もともとこの上勝町も他の地域と同様、ゴミ処理施設が設置されていたそうです。
しかし、そのことにより、貴重な資源を無駄にし、環境を汚染していることに気づき、未来の子供たちに豊かな自然を残そうと、従来のシステムを見直そうと立ち上がった人たちの動きによりはじまった運動のようです。
上勝町の取り組みがきっかけになって、循環型の社会が日本中に広まっていってほしいです。

上勝町の山の中にものすごいアーティストがいました

画像9

せっかく上勝町に来たのであれば会っていってほしいと言われてお会いしたのがこの方。山の中に一人で暮らしています。
笑顔が素敵なとてもやさしい方です。
名前は中村ダヨネさんこと、中村おさむさんです。
「だよね〜」が口ぐせでネパールに住んでいた頃のあだ名のようです。

世界中を旅して、辿り着いた上勝町

画像10

ダヨネさんは自分らしい生き方を求めて世界中を旅して、最後に辿り着いたのがここ上勝町。
もともと牛舎だったという建物を借りて、自分で改装して暮らしています。

1階が土間の炊事場と居間に作業部屋、2階には寝室兼、書斎があります。
dayone03

画像11

画像13

ダヨネさんの暮らしはシンプルで、とても豊か

画像14

家の電気は最低限の電球のみ、水道は近くの沢から引いています。
燃料はすべて薪を使っています。
薪は用途によって細いものと太いものを綺麗に保存しています。
炊事場にはたくさんの保存食が綺麗に並べられています。

画像14

野菜は自分でつくり、自分ひとりで作ることができないお米や肉や魚のみ買っています。
生ゴミや、排泄物は畑に戻して堆肥にしています。
まさに循環型の暮らしを実践しています。

画像15

画像17

自分のリズムで楽しむ暮らし。
ダヨネさんのすごいところは、頑張ってこの生活をしているわけではなく、楽しんでやっているところ。
自給自足の生活をしたいわけではなく、自然の中で、自分のリズムで自分の食べたいものを食べ、好きなことにゆっくり時間を使っています。

2階の寝室には、ギャラリーのようにたくさんのダヨネさんの作品であふれています。
趣味で始めたという塗り絵や切り絵の数々は、製本して作品集にしています。

画像17

画像18

そして驚くのはこの版画。
ネパールの民族衣装の模様を復刻して版画で作ったものがこれです。
仏教の経典を刷るために伝わったという版画の技術を、ネパールに滞在中に現地の師匠から教わったようです。
文字一つ一つには彫り方がきまっており、師匠から受け継がれていきます。
その細かさ、美しさにただただ驚くばかりです。

画像19

これが師匠に教わったときのダヨネさんのノート(日記)です。
刀の作り方から削り方まで細かく書かれています。

自然とともに過ごす暮らしはまるでアーティスト


「この作品つくるのにどれくらいの時間がかかったのですか?」と聞くと、
「時間なんてわからないよ。好きな時に好きなだけ時間かけてゆっくり作ったんだよね〜。」とのこと。

なるほど、ダヨネさんは自分の生き方をしっかり生きているアーティストでした。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?