見出し画像

街中で見る、川を上る魚の大群や野鳥の子育て。身近な命の営みの見つけ方 #05

早いもので、前回の記事公開からひと月が経ってしまいました。
あっというまですね。汗)
さて今回も前回の記事に引き続き、都市近郊にお住まいの方も楽しめる、身近な自然の見つけ方みたいなお話をしていきたいと思います。
今回初めてご覧いただく方は、前回の記事も是非合わせてご覧ください。

▼ 前回記事はコチラ ▼

■ サーモン・ランは北海道だけじゃない

以前、北海道の動物たちの写真を展示させていただいたときに好評だったこの写真。何の魚だかわかりますか?

答えは、サケの一種、カラフトマス。
夏の終わりに、北海道の知床半島で撮影したものです。

こちらは秋に撮影したシロザケ。お馴染みの鮭です。
この2種の魚は、産卵のために河川に大挙して押し寄せます。
彼等の魚影で川が染まる様は、北海道の自然の風物詩と言えるでしょう。

北海道で暮らす人には日常の風景かもしれません。
でも、東京でこんな写真を見てくださった人々はこう言います。
「やっぱり北海道はすごいですね」
「一度でいいから見てみたい」
…ええ、ええ。わかります。わかりますとも。
私だって、このサーモン・ラン(鮭の遡上)という劇的な命の営みに感動して、北海道へ足繁く通うようになったくらいですから。

本州にも鮭はいます。でもそれだけではなくて、
もっともっと身近な自然の中に、無数の命の営みが息づいています。
その中には、ひょっとするとあなたに、大きな劇的な何かをあなたに感じさせてくれるものがあるかもしれません。

この写真は、関東近郊の河川で撮影されたものです。電車で行けますよ。
いかがでしょうか?個人的には上の鮭の写真よりダイナミックでよく撮れたかなぁ…なんて思っているんですけど。笑)

季節は春。上の写真を見ていただければ、桜の花びらが流れる川の中を、無数の魚が上っていく姿が想像していただけると思います。
マルタウグイと呼ばれる魚で、普段は汽水域(海水と淡水の混ざったエリア)で生活しているとか。春になると産卵のために川を遡上します。マルタ・ランです。笑)季節は違えど、彼らを動かす力の源は、サケと同じですね。

釣り人の間では、春の風物詩として多摩川が有名です。
僕にとっては、釣りの対象魚としての存在以上に、ダイナミックな命の営みを見せてくれる、特級クラスな自然写真の被写体なんです。
もう一度言います。
東京近郊にお住まいの方、電車で行ける撮影スポットですよ。 :) 

■ 鳥の子育て。命の営みは、身近な場所にも必ずある

前回の記事で、あなたの近くにも必ず野生動物はいる、というお話をさせていただきましたが、動物がいるということは、そこに必ず命の営みがあります。遡上という魚たちの巨大な繁殖行動も、そのひとつなんですね。

しとしと雨のなかのツバメさん。
今の季節、空を飛び交う彼らを目にすることはありませんか?

こういうものを見かけたら要チェックですぞ…。
暫く待ってみましょう。…もうお分かりですね。

ごはんごはんごはん…!
という雛鳥の声が聞こえてきそう。(実際にぴーぴー鳴いてます)
そう、営巣というのもとても大切な命の営み。

とっても愛らしくて、ずっと見ていても飽きない被写体。
ちなみに、素早く飛んでくる親鳥もきっちり写し止めようとすると、非常に速いシャッタースピードと素早いAFが要求されるので、写真好きな方も楽しめます。笑) 1/1000な世界。

前回の記事で載せましたが、これも営巣写真。
実は最近、信号機に営巣するスズメを見つけて
なんとか信号の色と一緒に撮影できないか妄想中です。笑)

人工物(建物)だととても見つけやすい鳥の巣。駅なんかの目立つ場所にあることもあるので、是非探してみてくださいね。

これは道東の森で見たクマゲラの親子。
個人的には、都会のツバメやスズメも、こんな写真とあんまり差はないんです。背景が緑でも灰色でも、見つける楽しみは変わらない。
逆に北海道でスズメやツバメを丁寧に撮ることも、もちろんありますよ。

おまけにもう一つ。
これも都内で撮影した写真です。
枝の合間から覗く雛鳥が、なんとも言えない表情でした。

営巣の観察・撮影に注意したいこと
動物たちにとって子育ては、生涯において最も大切な営みのひとつ。
親鳥たちは営巣に大きなエネルギーを費やし、神経質になることも。
それは大自然の中でも、都会の中でも同じ。
人間が近づき過ぎると、そのストレスから親鳥が営巣を放棄してしまうこともあります。そうすれば、生まれたばかりの小さな命は死んでしまいます。
また、あまり一か所に張り付いて目立ってしまうと、他の人の通行の邪魔になってしまうことも。あまり近づき過ぎず、周りに迷惑にならないように、そっと観察・撮影したいなと思います。

今回の記事の最後にもう一つだけ。
今からの季節、これは是非チェックしてほしい!
(虫が苦手な方はごめんなさい!)

■ 最も身近な命の営み 蝉の羽化シーズンは間もなく

この美しさ! 写真好きな方、マクロレンズの出番です! :)
土の中で長い時間を過ごしてきた蝉が
いよいよというところで、とても美しい色を見せてくれます。

羽化は、彼等にとっては最も大切な命の営み。羽化したてのエメラルドグリーンの身体は柔らかく、アリなどに襲われて命を落とす蝉も少なくはありません。だから少しでも危険を減らすために、夜に羽化するんですね。私たち人間も決して触ってはいけません。それだけ危うい状態なんです。

美しく、命がけ。これもある意味サーモン・ランに近い儚さとひたむきさを感じさせてくれる『命の営み』なのではないでしょうか。

見つけ方はとても簡単。きっと皆さんの生活圏の中に蝉の羽化スポットはあるはずです。蝉は大人も幼虫も樹液を吸って生きているので、木があるところがポイントです。公園や桜並木など…セミの抜け殻を木の上に見つけたら、下に目線を落としてみてください。木の根元に丸い穴がポコポコ開いていたなら、きっとそれはセミの幼虫が出てきた後なんです。
季節は間もなく。シーズンインは、日中の派手なセミの鳴き声が教えてくれるので、ご心配なく。

公園の遊具で羽化してしまいました…。これほど身近で観察しやすい『命の営み』って、なかなか無いですよね。
ちょっとカメラの話をしますと、ストロボが無い場合、公園の街灯を頼りに長時間露光で撮影する、なんてやり方もありますよ。
※具体的な撮影法などはリクエストがあればまた後日に…。

虫が苦手な方もいるかもだけど、
よく見てみると、つぶらな瞳が愛らしいです…。

余談ですが、よく「いよいよ羽化、待ちに待った瞬間です」的なこと言われますが、もしかすると、蝉はぬくぬくずーっと幼虫で土の中にいた方が幸せなのかなって考えたりしてしまいます。
「羽化だりー、あぶねーし…」みたいな…。笑)鳥の巣立ちもそんな感じ?

暫くすると、私たちの見慣れた色に。
あのエメラルドグリーンは、一時しか見れない美しさなんですよね。

さて今回はこれくらいに…。最後までお読みいただき、有難うございました。今回紹介した「命の営み」はどれも魅力的でおススメです。特にツバメや蝉は今、これからの季節なので是非カメラ片手に覗いてみてくださいね。

次回からは、具体的な「身近な動物スポットの見つけ方」のお話や、反対に北海道でのダイナミックな動物撮影のお話などをしていけたらなと考えています。今後ともどうぞよろしくお願いします。


更新情報はツイッターで随時配信しています。
フォローしていただけると嬉しいです。
■ twitter @sinh11   ■ facebook
マガジン 自然写真家のnote
▼ 前記事 ▼
自宅から徒歩圏内で野生動物を撮る。身近な自然の楽しみ方

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

note.user.nickname || note.user.urlname

いただいたサポートは、旅費や機材など新しい撮影活動の資金とさせていただき、そこで得た経験を、またこちらで皆様にシェアしていきたいと思います。

ありがとうございます。更新がんばります!
42

Sinh

二神慎之介 / 東京/道東。写真撮り。映画『草原の椅子』から写真の途に。 現在は『森のヒグマ』を中心とする野生動物を被写体に活動中。 http://www.sinh11.com/

自然写真家のnote

ヒグマや漁師... 野生動物や自然に関って生きる人達を撮影する二神慎之介の思うこと、自然観、撮影活動について エッセイ形式で綴っていきます。
2つ のマガジンに含まれています
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。