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心臓捧げるより酒杯を捧げましょう

昨今のウクライナ情勢を見ていて「あ、ようやく飲み込めた」ってことがありまして。
それは「進撃の巨人の終わり方」について。

この記事、ウクライナ情勢についての個人的な見方と進撃の巨人のネタバレがあります。

■進撃の巨人のテーマとは

アニメの方をオンタイムで追ってないので今どの辺か知らないんですがまあ原作が本誌で最終回を迎えた時もコミックで大幅な加筆があった時もそれなりにネットを騒がせていたんでなんとなく予想外というか奇妙というか謎な終わり方をしたんだなというのは未読でも察しがつくかと思います。

個人的には別に謎でもなんでもないし歴史は繰り返す(かもしれない)という不穏な終わり方は他の作品でも結構あると思います。みんなが不満なのか煮えきらないのはあんなにみんなが必死に戦ったのに願ったようなハッピーエンドではなかったからでしょう。知らんけど。全滅エンドよりはマシだとは思いますが。

俺の中でも正直なんでこんな終わり方にしたんだろう。ひょっとして作者自身が落とし所がわかんなくなったのかなって思ったりしてました。だって時を超えて未来まで見えちゃう能力とか収集つかんでしょっていう。

ただ、ライナーたちが最初の襲撃してきた巨人だったことがわかった頃から、この物語は巨人を駆逐する物語ではなく人間vs人間であるって明らかになった頃から匂わされていたのは「復讐の仕合いで憎悪に呪われた戦争」っていう、つまり我々の世界にもあるものじゃないかっていう。

例えば日本と韓国は「今生きてる俺たちがしたわけではない、したのかどうかも定かではない、誰が本当のことを言っているのか、いや、もはやそれさえどうでもいいくらいとにかく憎い」というほとんど感情論で憎しみあっています。もはや憎悪を正当化するために歴史が存在するみたいな逆転現象になっているくらい。

案の定、そこからずっと後の現在アニメでやっている頃ですかね、ガビがまさにそういう経験をします。人ではなく血を憎み、同じ姿形で同じ言葉を喋る相手に悪魔と言い、平気で人を殺して、そして、その結果、生命の恩人に殺されそうになるという。

そしてガビ個人が経験した憎しみの連鎖による殺し合いを民族単位でやっているのがあの世界のお話だったと。そして、それを終わらせる方法として主人公が選択するのが「地鳴らし」による人類の滅亡という。わけではなく、そんなエレンを仲間のミカサやアルミンが討ち取ることで他の国々がエルディア人を「許す」ことを狙ったっぽいけど、結局、パラディ島はその後軍拡をしているという。

そしてコミックでは遠い未来に再びミカサの子孫らしき少年が始祖ユミルが光る謎の生物に寄生された木に似た場所に辿り着くという。なんなら、あの虫はあの木に人の「憎悪」が集まってちょっとずつ育つ存在なのかもと思ったり。まあそこはどうでもよくて。

結局何も解決してないようなって感じが残るんすよね。

だから、作者自身が落とし所がわかんなくなったのかなって思ったんすけど、最近ふと思ったのが恐らくエンディングは決まった上で描かれた漫画だと思っていたから作者がふらついたってことはないと思うんですね。

だから、誰もが納得いく結末に導けなかったのはエレンでありあの世界の人物たち、つまり「憎悪が消えない」という結末を選んでしまった物語、あるいはそれこそが「真理」なのだと諫山先生は説いたのかもしれない。主人公であるエレンが憎悪の連鎖を消せない理由はそもそもの原点にまで遡れる能力ではないから。だから自身が一身に背負うという選択をしたんでしょう。

でも俺が思うのは「この物語を読んだ上で、あなたたちは憎しみあいを続けますか」と我々の左胸をトンと叩くお話だったんじゃないかと。

みんな読んでて考えたと思うんですよね。エレンの選択はそれは正しいのかって。

「道」のように全ての人にエレンが見た歴史を見せて憎しみを捨てることを選ばせることができればよかったかもしれないけど道はエルディア人にしか使えない。だからエルディア人同士の戦いをマーレ人に見せるという。

でも読者である我々は全ての経緯を知ったわけです。憎悪の連鎖による悲劇の始まりから結末まで。「じゃあ、現実世界の人類、あなたの選択は?」その問いかけがこの物語なんじゃないですかね。

しかし残念ながらネット見てるとなんかコミックラストのあれはミカサなのか、とかジャンなのかとか、そういうお話ばっかりで物語のテーマについて考えてる人いなそうって感じしました。

■正しさとは、愚かさとは

さて、現実を見てみましょう。日韓の話を出しましたが、この世界、ありとあらゆるところにナショナリズムに基づく今生きてる世代には原因がない紛争があり、毎日毎日人が死んでます。

ウクライナでは8年間ずっと人が死んでもう1万4千に達していたとか。まるで今始まったように世界が騒いでますけどね。

インドと中国、アフガニスタン、ナゴルノ=カラバフ、リビア、イエメン、マラウィ、ガザetcetcetcetc.......

人類めっちゃ殺し合いしてますからね。ずっと。

日本はほんとたまたま運良く弾がそれてますけど、今やってるロシア・ウクライナの戦争でむしろロシアが弱体化すると日本の立場は非常にやばくなると俺は思ってます。今、この世界は米、露、中の3極バランスでかろうじて破局を免れてますけどロシアが落ちて米vs中の2極化になると台湾が途端に危機に陥って当然、米軍基地のある日本も戦局に組み込まれるだろうなっていう。なので今の戦争は全く他人事じゃないんじゃないかなって。

ウクライナに侵攻したロシアの練度が低いみたいなアホなネット情報ありますけど8年ずっと紛争してた国に何言ってんだろっていう。その意味でつい最近インドとドンパチしてる中国もいつでも撃てます状態なんだろなって。

何より俺がネット見てて呆れるのは

「プーチンは悪党」

っていう。政治において悪とか正義とか言い始めたら、まず言った本人を疑うべきというのが古の教えにもあった気がしますが悪も正義もないんですよ。弾撃って命奪ってるのがお互い様なら悪も正義もお互い様だし「プーチンが先に」とか言ってる人は世界史ってものをちらっとでも知れば遡ればどっちが先だかわかんねぇやこれってなるから。これはずっと続いてる民族紛争なんですよ。でも遡ればどっちも同じとこから枝分かれしてるはずなのに国というものを作ってナショナリズムを煽った結果がこれです。

ウクライナのゼレンスキー大統領を英雄みたいに持ち上げてる風潮にも違和感があります。

戦争っていうのは「外交」の最後の手段、というか外交の失敗の結果に起きるものです。

なのでまずゼレンスキーは外交で失敗した人なんです。その結果、国民と国土に甚大な被害をもたらしたんです。真の有能な政治家は戦争を回避して国民と国土を守るんです。戦争が起きてから他国にネット演説してなんでそれがスタンディングオベーションなのか申し訳ないけど鼻で笑うしそりゃあくびする人もでますよ。

あと、もう一個驚くのが、この世界の国の一番上の人が話し合って戦争だのなんだとのが決まると思ってる人が多いっていう。おたくの会社、毎度社長同士が決めたことを処理してますん?

大体、我々日本国民こそが「太平洋戦争は戦わざるを得ない状況に追い込まれたむしろ被害者」っていう説を散々聞かされてるはずでは?それが正しいかどうかはともかくとして、日本人こそ第二次大戦において日本が悪か正義かみたいな論争の不毛さを思い知ってるはずですよ。最後に残ったはずの「真理」は「戦争は悪」ってことだけのはず。始めたやつが悪なら迎え撃ったのも悪ですよ俺に言わせれば。

逃げれば虐殺されるだけとかいう人もいますが、その虐殺をみすみすゆるす世界を許すんですかっていう。

悪というなら武器を提供したり訓練つけたりしながらもNATOにいれず、戦争を傍観して軍需産業で潤うある国が俺には一番の悪に見えますけどね。戦争をけしかけたのもむしろその傍観者であるという。中間選挙大変なんですってねっていう。その国は食料もエネルギーも自給自足できるんですよ。自給自足できない日本や欧州は流されてないで本気で「正しい行い」をして欲しいですけどね。

■盲目の"目には目を"

そういやネットミームに「ガンジーでも助走つけて殴るレベル」なんてあってみんな気軽にいじってますが

非暴力を唱え続けたことで有名なマハトマ・ガンディーさん。マハトマって「偉大なる魂」っていう意味の尊称なんですね。ずっと名前だと思ってたけど。

彼の言葉の中に

狂気染みた破壊が、全体主義の名のもとで行われるか、自由と民主主義の聖なる名のもとで行われるかが、死にゆく人々や孤児や浮浪者に対して、一体何の違いをもたらすのであろうか

というものがあります。

自分がどっちの側にいようが鉄砲の弾で撃たれて死ぬのと、生まれ育った土地を捨ててもとりあえず生きて飯が食えるなら、そっちの方がいいし、死んで灰になってる祖先のために死ぬとか俺には理解できません。

今、ロシア・ウクライナ 戦争において日本人は西側の民主主義としてロシアという全体主義(いちおう共和制のはずなんだけどw)みたいな形でまー悪者としてぶっ叩いてますね。すごいなプロパガンダって感じですが。

正直、この世界の上の方の人たちが

「やーめた」

って言って、経済システム統一して国境なくしてくれれば世界は混沌とはしても大規模な戦争なんて起きようがないんですよね。

オリンピックの開会式で2大会連続でイマジン流したのはこのためか〜さすがだな〜。

てか今、知りましたが進撃の巨人のOPに使われているヒグチアイの悪魔の子の歌詞がそのまんま今回のお話ですね。


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