部屋のリフォームしたとき、ドアを決めるために夫婦でショールームに行った。木目調のドアには、縦縞と横縞がある。はたして、縦縞と横縞のどちらがよいか大いに悩んだ。

部屋のドアが縦長だから、やはり縦縞かなと考える。歩いてきた流れとドアの縦縞模様が一致しているからだ。前方向への動きは、縦方向のドアを開けたら、そのまま続いていくように感じる。それに対して横縞は、歩く道を遮断されるように感じる。やはり、縦縞だと思ったのだが、今ひとつ自信がなかった。ドアの模様は、リフォーム後は変えられない。ドアの模様の縦か横かは大問題だ。

「縦縞か横縞かどちらかね」
すると家内は、「横縞よ」とはっきりと言った。

それから横縞模様のドアを見て回った。ドアに向かい歩く時の感覚は、縦縞に軍配を上げていた。しかし、横縞のドアを見ながら歩いていると、動きの流れに調和して横縞も悪くはないと思えた。ヨコシマ、ヨコシマと言い続けていたら、邪（ヨコシマ）を連想させたのか、案内してくれているリフォーム担当の人が笑い出した。

結局、ヨコシマのドアを採用した。完成したわが家の室内に横縞のドアが並んだ。壁紙も横縞基調である。２、３枚のドアの縞模様が連続し、時に大地のヒダのようであり、あるいは、のどかな海の波間を思わせて、これにして良かったと思った。横縞が良いと即答した家内には、脱帽である。