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詩 まとめ

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詩や、詩に親しい文章をまとめています。
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記事一覧

ピースオブケイク【詩】

 もっと愛すべきだった  かなしみの波がすべて  やさしくさらっていく  ピースオブケイクに  ロウソク一本立てて  吹き消した笑顔が  いつまでも残ってるんだ  もっと壊すべきだった  ぼくらを捕まえていること  喜びを溢れるままに  受け入れることができたのに  ピースオブケイクに  ロウソク一本立てて  吹き消す前に笑った  あの笑顔を忘れない  忘れない

休むべき時【詩】

 何もできないほど  落ち込んでるのに  がんばるなんて  無理があるよ  それはきっと  休むべき時で  休めばきっと  良くなるよ  まるで天から降ってきた  ことばみたいで恐縮だけど  そっと手の裾をつかんで  「休んで」って言うよ  大丈夫。  がんばれるようになるから  そうしたらまた  がんばればいいんだから

四角い世界【詩】

 世界がこれ以上  四角くなる前に  ぼくは出掛けた  何処へともなく  出掛けることが  たいせつだった  何を見ても良かった  何を耳にしても  感じることで  四角い世界から  解き放たれていった  帰り道  このことを誰にも  話さないと決めた  さくらが  ひとひら  ぼくの目の前を  横切っていった

『冬よ』 冬よ 行かないで 私に春は 騒がし過ぎる 冬よ 行かないで 私に春は 煩わし過ぎる ああ 冬よ 冬よ 私を置いて 去ってしまう 冬よ

『ぼくの帽子』【詩】

 ぼくの帽子が飛んでいく  風にさらわれ飛んでいく  悲しくなんかないけれど  少しおでこがひやっとするなあ  ぼくの帽子が飛んでいく  風にさらわれ飛んでいく  寂しくなんかないけれど  頭のうしろがさわさわするなあ  ぼくの帽子が飛んでいく  風にさらわれ飛んでいく  切なくなんかないけれど  なぜだかどうにも後ろめたいなあ

夢模様【詩】

悲しいことなんて何もないのに 眠り続けてしまうのは何故だろう 長く使っていたマグカップに ひびが入っているのを見つけて お別れが近いと思った まだ使い続けるけれど 今朝は食洗機を三回まわした (一度に回せる数は  思ったほど多くはない) 悲しいことなんて何もないなんて もしかしたらそんな事ないのかも 眠りたいだけ眠ったら 起きても夢模様 みれるかな みれるかな

やすらか【詩】

横になって 無理をせず からだの力を抜いてゆく そうして息を なるたけ深く持って うすく見つめ続ける 今日の思い出と明日の予定が まじわり とけあい ふわりとした綿雪のようなものが まぶたに積もる やすらかに やすらかにあれ そう願って 祈って ゆく

月夜【詩】

背を丸めて 呟くように 言葉を 本当に 今 言うべき言葉など でも 今夜も月は綺麗で それだけは 口にしてもいいと思えた 月よ ふりそそげ その美よ 瞬く間に 心をなべて 安らかに 平らかにして どうかこの一夜限りでも 安らかに 過ごし 眠れますように

朝 朝 豆腐屋のそばを通ると ぬくもりそのもののような匂いがして それがとても好きだ

散策【詩】

騒がしいくらいの音で 耳に蓋をして歩いていく どうなっても構わない そんな気持ちで ぜんぶ自分のためにある そんな気持ちで 今にも泣き出しそうな そんな気持ちで あなたの気持ちも知らないで 寄りかかってばかりだったな 足取りが重くなりそうなのを ぐっと堪えて きっと何も見つからない それで良い 風とふれあえて嬉しい

夜【詩】

夜には いろいろと 去来するもの すごいハート 持てたらいいな 持てたなら よかったのにな 真夜中には そこかしこが 渦巻くもの 息の仕方さえ 絡めとられてしまう ああ 眠りたいのに 水が飲みたい 眠りたいのと同じくらい 水が飲みたくてたまらない 負けたように 水を飲んだら その分だけ満たされて 正しいことをしたんだと知る 正しいことって何だろう 唱えた数をかぞえながら 明け方 すうっと 吸い込まれるように 眠る

日の終わり【詩】

誰からも 手紙の届かない日のように 清らかな静けさが 漂う一日だった と そう締めくくろうとしたその時に 手紙というものは届くのだ 陽の匂いのする かすかな熱を帯びた 封筒に入って 私の家のポストを かたん、と鳴らす 遠ざかるバイクの音 星のない空の下 私はこそこそと身を小さくして ポストから手紙を取ってくる こんな風にして 一日の終わりというのは延びる どこまでも そうどこまでも

金曜日【詩】

嬉しい 明日が休みで あきらかに機嫌が良い 笑い出したくなっちゃう

明日【詩】

じっとしていても やってくる やってきてくれる そう思いたい 明日のことを