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鍼灸刺激と神経(伝達)その②

この記事は、
「はり師・きゅう師・あんま・指圧・マッサージ師のための痛み学習テキスト(第1版)」 , (公社)東洋療法研修試験財団 , 平成27年度 鍼灸等研究課題 「鍼灸師・マッサージ師のための痛み学習システム」の構築 , 研究代表者:伊藤 和憲 を参考文献として書きます。

神経の種類とそれぞれの役割については、その➀でまとめたので今日は伝導路について。
僕たちの体を縦横無尽に張り巡らされている「神経」たち。それらは決まった役割と、伝達経路を持ち、絡まることなく日々身体の状態を監視しコントロールしている。まさに生命の不思議である。

脊髄から脳への伝導路(痛みについて)

痛みを脊髄から脳へ伝える伝導路は脊髄視床路脊髄網様体路の2つあり、それぞれ機能が異なっている。

とまぁ一つひとつの解説に入る前に、脊髄についておさらい。


脊髄は神経が束になったもので、その配置によって経路が決まっている。
特に重要な部位は、側索と後索で、側索には外側皮質脊髄路と呼ばれる運動神経、外側脊髄視床路と呼ばれる痛みを伝える神経が通っているんだな。だから、側索が障害された場合、運動麻痺を起こす危険性がとても高くなるわけや。
んで、末梢から脊髄に入るまでの神経を、1次ニューロンといい
   脊髄に入ってから脳に行くまでを、2次ニューロンという。

① 脊髄視床路 脊髄視床路

1次ニューロンで伝達された興奮は脊髄後角で2次ニューロンに伝えられる。2次ニューロンは脊髄内を交叉し対側の前側索へ向かい、そこから上行し視床に達する。この脊髄から視床に至る経路を脊髄視床路と呼ぶ。
 脊髄視床路はさらに脳幹で外側と内側に分かれる。外側は新脊髄視床路(外側脊髄視床路)とよばれ、視床外側核に達し、その後、大脳皮質に投射される。内側は旧脊髄視床路(内側脊髄視床路)とよばれ、視床内束核に達し、その後、大脳辺縁系に投射される。

簡単に言えば、まず末梢からの情報は、「脊髄後角」にピットイン。
そっから脊髄内でクロスを出して「前側索」へGOして、そのまま上へ!
そのまま『視床』へゴールイン。
そっから2つに分かれる。
古代生物にもあった大脳辺縁系に行くのが、旧脊髄視床路
人間になって出来た新しい大脳皮質に行くのが、新脊髄視床路って感じ。
新脊髄視床路:痛みの位置
旧脊髄視床路:痛みと情動 を担っている。

② 脊髄網様体路

脊髄網様体路は脊髄内の前側索を上行し、脳幹網様体に達する経路である。脳幹網様体で別のニューロンとシナプスを形成し、視床や視床下部に達し、最終的に大脳辺縁系に投射する。

簡単に言えば、脊髄の前側索を昇って、脳幹毛様体で乗り換え、視床や視床下部へイン。
脊髄網様体路では、自律神経、運動、内因性鎮痛反応、否定的感情、不安・恐怖が関連した行動に分類される。

脳での痛みの処理まとめ

 脊髄を上行してきた情報は伝導路によってそれぞれ大脳皮質や大脳辺縁系に投射される。
 新脊髄視床路からは大脳皮質の体性感覚野に投射され、痛みの質や強度などに関与し、旧脊髄視床路からは大脳辺縁系に投射され、痛みの情動的側面に関与する。
 脊髄網様体路を上行した情報は脳幹に到達後、視床内側核や視床下部を経由して大脳辺縁系の島・帯状回・扁桃体に投射し、痛みに関連した恐怖や不安などの感情、痛みの予知など情動的側面に関与する。
 また、脳幹の延髄や中脳には鎮痛機構が存在しており、脊髄網様体路は痛みの抑制にも関与する。



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