週末なのでパーティーがしたかった。パーティーと言っても、おめかしして出かけるとか派手な場所に行くとかそういうことではない。おうちでひたすら食べたいものや飲みたいものを好きなだけ、ガッツリとハッピー気分で楽しむ会だ。
週末だけはダイエットなんて気にしないぜ、と週末限定のご褒美にはしているが、意気込んで必要以上にフードファイターと化すので、平日の頑張りがずいぶん無意味になっている。

今日は日曜日。昨日も土曜日で週末だったから、もちろん”PIZZA AND PASTA”パーティーをテイクアウトにて開催した。最高だった。
今日は何を食べよう。昨日とは違うテイストのもので、なおかつ、いっぱい食べて嬉しいもの。

「いくら食べても太らないようにしてあげるから、何食べたい？ 好きなだけ食べや」と神様に言われたら、絶対にコレ！ という答えはずいぶん昔から用意してある。私は夢を叶えることにした。餃子だ。餃子は私の好きな食べものベスト３にランクインする。何も気にせずたらふく食べてやる。もちろん特大の米付きで。

市販のものでもよかったけれど、せっかくのパーティーなので手作り餃子に初トライしてみようという気持ちになった。餡の作り方や必要な皮の枚数などをネットで検索して、家から歩いて５分のスーパーへ。
あ、大好きな春菊が売り切れてる。ノーマル餡と春菊メイン餡の２種類を作ろうと思ったのに。春菊の独特な風味を想像しただけで悔しさが倍増した。
諦められない。ここから歩いて10分のスーパーもハシゴしよう。歩け、私。行け行け、私。冬の大人気商品、春菊。ここに来てまでもいろんなご家庭との争奪戦に敗北し、泣く泣く大葉を買って帰った。

シャキシャキ食感のキャベツか、馴染みのいい白菜か。とネットに書いてあったので、なんとなく中華料理によく出てくる白菜にした。ザクッザクッ、トントントン、こねこねこね。餡の仕込みは順調です。さて、ここから包み始めます。水をつけた人差し指を、皮の円に沿ってぐるりとなぞり、半分に折ったらはしっこからギュッギュッとヒダをつけながら詰めていく。欲張って餡を入れすぎたり、ヒダの幅が均等に取れなかったりでなかなかうまくいかない。５個くらい作ったところで少しずつコツをつかみ始めた。
ふう、疲れた。と思ったタイミングで数を数えると、まだ18個しか出来上がってなかった。私、２種類作ろうとしているため皮を60枚買ってきたアルヨ。

全部包み終わった〜、と時計を見たころには22時半をまわっていた。パーティーはまだだま始まらない。

ネットで焼き方を研究した結果、油をひいて１分ほど焼き、熱湯をまわしかけて５分間くらい蒸し焼きにするらしい。そのようにして出来上がったのは、お焦げがパリッッといい感じの餃子ではなく、一度やる気を出して燃え盛ったものの、力尽きてくたびれたような、ぺちょん……とした水分含みすぎの団子みたいなものだった。ちがう、そうじゃない。

残りの餃子を焼いても仕上がりは同じだった。かわいそうな姿の餃子たち。焼き餃子にも水餃子にもなりきれてないなんて。
ひとまずビール片手にいってみよう！ 23時だなんてことは気にするな！ と、ついにパーティーは始まった。お箸でひとつ取ろうとすると、餃子同士がくっつき合っていて皮がぺろん。さらにかわいそうな姿の餃子たち。お皿の上でとっ散らかってる。でもね、口にポイッと入れてみたら全然かわいそうなんかじゃなかった。とーっても美味しかった。生まれてきてくれてありがとう〜！ という感じだった。餃子ベイビーを１つ、２つ、３つと次々に頬張れば、はふうぅっ……と言葉にならない感嘆のため息が出る。眉間にしわが寄り、目が細くなって垂れる。自分の手で作ったものに、愛着が湧いてきた。不格好も愛嬌。

”酢醤油×ラー油”、”お酢×黒胡椒”、中東の辛味ペースト”ハリッサ”、エスニックソース”ラブパク”など、いろんな調味料で味変をして楽しんだ。春菊の代役で登場した大葉も、とんでもなくいい仕事をしてくれた。予想以上の個性派っぷりを見せつけてくれて、代役なんてとんでもない、パーティーの主役はキミだ！

そんなふうにしてたんまり堪能し、私は思い切り週末を楽しんだ。時刻は０時をとうに過ぎていて、平日へと切り替わっていた。こうしてパーティーは無事終焉を迎えた。

と思っていたのに、「いくら食べても太らないようにしてあげるから、好きなだけ食べや」という神様の言葉は敵わず、翌日の体重が、パ！パ！パ！パ！パーティータイム！ と盛り上がりを見せていたことは言うまでもない。

#餃子がすき