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トラウマケアの3段階

こんにちは。しんしん心理研究所の心理師Shingoです。今日はトラウマケアのプロセスについて書いてみようと思います。
トラウマケアは、トラウマ体験者が安全で健康的な回復を目指すためのプロセスです。アメリカの精神科医、ジュディス・ハーマン(Judith Lewis Herman、MD,)はトラウマからの回復には3つの段階があると提唱しました。(トラウマからの三段階モデル:ハーマン,1994)
三つの段階はそれぞれどのようなものか、見ていきましょう。

第1段階:安全確保と安定化

トラウマケアの最初の段階は、安全確保と安定化です。この段階では、トラウマ体験者が安全な環境で自分自身を守り、心身の安定を取り戻すための基盤を築きます。

安全な環境の確保
トラウマ体験者が再度危険や脅威にさらされないよう、安全な環境が整えられます。必要に応じて、身体的な安全や心理的な安全を確保するための対策が講じられます。

  • 身体的な安全
    トラウマ体験者が身体的な危険から守られるよう、安全な場所やシェルターの提供、身体的な保護措置の実施が行われます。

  • 心理的な安全
    トラウマ体験者が心理的な安全を感じるために、信頼できる支援者やカウンセラーの存在、トラウマの理解と認知の促進が重要です。

安定化の促進
安定化の過程では、トラウマ体験者が自分の感情や身体的な反応を認識し、管理する能力を向上させます。

  • 感情の認識と管理
    恐怖や不安、怒りなどの感情を認識し、適切に対処するためのスキルを身につけます。リラックス法や深呼吸などのテクニックを学びます。

  • 身体的な安定
    身体的な反応を理解し、緊張緩和やリラックスを促進する方法を学びます。運動やヨガ、マインドフルネスなどの活動が支援されます。

第2段階:トラウマ体験の処理と統合

第2段階では、トラウマ体験を処理し、その経験を統合するための作業が行われます。トラウマ体験者は、過去の出来事に対する理解を深め、新たな意味を見出すことで、回復の道を歩みます。

トラウマの理解と認識
トラウマ体験者は、トラウマの原因や影響について理解を深めます。トラウマ体験を振り返り、その出来事がどのように自分に影響を与えたのかを認識します。

  • トラウマの記憶の処理
    トラウマ体験を安全な環境で振り返り、その出来事に関連する感情や思考を探求します。これにより、トラウマの記憶が処理され、感情的な解放が促進されます。

新たな意味の構築
トラウマ体験者は、過去のトラウマを乗り越え、新たな意味や価値観を構築します。トラウマが人生に与えた影響を受け入れ、成長や強さを見出します。

  • ポジティブな変容の探求
    トラウマ体験者は、自己成長やポジティブな変容を見出すためのプロセスに取り組みます。自己受容や自己発見が促進されます。

第3段階:新しい自己像の確立と展開

最終段階では、トラウマ体験者は新しい自己像を確立し、健康的で意味のある人生を構築していきます。

新しい自己像の確立
トラウマ体験者は、過去のトラウマに縛られることなく、自己像を再構築します。新しい自己像は、自己受容や自己価値感を基盤としています。

  • 自己受容と自己価値感の強化
    トラウマ体験者は、過去のトラウマに関する負の自己イメージを乗り越え、自己受容と自己価値感を強化します。

健康的な人間関係の構築
トラウマ体験者は、健康的な人間関係を築き、サポートシステムを構築していきます。信頼できる関係性が、回復と成長を促進します。

  • サポートシステムの活用: トラウマ体験者は、友人や家族、専門家などのサポートシステムを活用し、安定した支援を受けることが重要です。

まとめ

このように、トラウマケアの3段階は、トラウマ体験者が安全で健康的な回復を達成するためのガイドラインとなります。安全確保と安定化、トラウマの処理と統合、新しい自己像の確立と展開のプロセスを通じて、トラウマ体験者は前向きな変容を遂げ、健康的な人生を再構築していくことが可能です。またトラウマと向き合うことは非常に困難なことです。信頼できる専門家のサポートを受けることがとても大切です。
しんしん心理研究所ではクライアントに寄り添いトラウマと向き合う一歩を踏み出すサポートを行なっていますので、まずは相談してみてください。

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