見出し画像

発達性トラウマとは:心と身体に及ぼす影響と適切な対処法

こんにちは。しんしん心理研究所の心理師Shingoです。今回はまだ一般的にあまり聞き慣れない「発達性トラウマ」について書いてみたいと思います。
トラウマは心と身体に深刻な影響を及ぼしますが、中でも「発達性トラウマ」は、幼少期や思春期といった発達段階でのトラウマ的出来事によって引き起こされるものです。発達性トラウマは、個人の成長や人格形成に重要な時期に生じるため、その影響は特に長期的かつ深刻なものとなります。この記事では、発達性トラウマの定義や症状、その影響、そして適切な対処法について、一般的にわかりやすく解説します。

発達性トラウマの定義

発達性トラウマは、幼少期や思春期などの成長過程で生じるトラウマ的出来事によって引き起こされるトラウマの一種です。この時期に経験するトラウマ的出来事は、通常のトラウマよりも長期的かつ深刻な影響を及ぼすことが知られています。発達性トラウマの原因として、家庭内での虐待やネグレクト、いじめ、暴力などのトラウマ的な経験が挙げられます。

発達性トラウマの症状

発達性トラウマの症状は多岐にわたります。以下のような特徴的な症状が現れることがあります。

  • 感情の調整の困難
    発達性トラウマを経験した人は、感情の調整が難しくなることがあります。怒りや悲しみ、不安などの感情が制御しにくくなることがあります。

  • 自己イメージの問題
    自己肯定感の低下や自己批判的な思考が見られることがあります。自分に対する否定的な見方が強まり、自己価値感が低下することがあります。

  • 人間関係の問題
    他者との信頼関係を築くのが難しくなり、対人関係に問題を抱えることがあります。孤立感や不信感を抱え、他者とのコミュニケーションに困難を感じることがあります。

  • 身体的症状
    発達性トラウマは、身体的な症状を引き起こすこともあります。例えば、頭痛や胃腸障害、睡眠障害などが含まれます。

  • 解離症状
    トラウマ的な経験からくる苦痛から逃れるために、現実感や自己の感覚が薄れる「解離」症状が見られることがあります。

発達性トラウマの影響

発達性トラウマは、個人の心身の健康や社会生活に深刻な影響を及ぼします。以下に、発達性トラウマが及ぼす影響をいくつか挙げます。

  • 成長や発達の遅れ
    幼少期や思春期に経験する発達性トラウマは、成長や発達に遅れや問題を引き起こすことがあります。学業や社会的なスキルの発達に影響を及ぼす可能性があります。

  • 精神的な問題
    発達性トラウマは、うつ病や不安障害、PTSD(心的外傷後ストレス障害)などの精神的な問題を引き起こすリスクを高めることがあります。

  • 人間関係の問題
    発達性トラウマを経験した人は、他者との信頼関係を築くのが難しくなることがあります。その結果、人間関係に問題を抱え、孤立感や社会的な孤独を感じることがあります。

  • 自己破壊的な行動
    自己破壊的な行動や依存症などの問題を引き起こす可能性があります。過剰な飲酒や薬物使用、リスクの高い行動などが見られることがあります。

発達性トラウマへの対処法

発達性トラウマへの対処には、専門的な支援や治療が必要です。以下に、発達性トラウマへの対処法をいくつか紹介します。

  • 心理療法
    認知行動療法(CBT)やEMDR(眼球運動による脱感作と再処理)、弁証法的行動療法(DBT)などの心理療法は、トラウマに有効な治療法であり、感情の調整やトラウマ体験の処理をサポートします。

  • サポートシステムの活用
    家族や友人、専門家とのコミュニケーションを通じて、サポートを受けることで回復を促進します。支援を求める勇気を持ち、孤立しないようにしましょう。

  • セルフケア
    健康的な生活習慣を維持し、セルフケアを心掛けることで、心身の健康を保ちやすくなります。適度な運動やバランスの取れた食事、十分な睡眠を心掛けましょう。

  • 教育と情報提供
    発達性トラウマについての知識を持つことは、自己理解と自己受容に繋がります。教育や情報提供を通じて、発達性トラウマに関する理解を深めましょう。

まとめ

発達性トラウマは、幼少期や思春期に経験するトラウマ的出来事によって引き起こされるトラウマの一種です。その影響は心身の健康や社会生活に及ぶため、適切なケアとサポートが不可欠です。専門家のサポートや心理療法、サポートシステムの活用、セルフケアなどを通じて、発達性トラウマへの対処法を見つけましょう。心の傷を癒し、健康的で充実した生活を取り戻すために、一歩一歩前進していきましょう。
しんしん心理研究所ではトラウマケアに特化した心理カウンセリングを通じてクライアントに寄り添い伴走するパートナーとして皆さんのお役に立てるように努めています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?