公共事業に大きく依存しないために

1.最近、兵庫県北部でも交通誘導警備関連の警備料金が上がってきた。

おそらく仕事数に対する警備員の数が足りないことが原因だと思われる。

でも数ヶ月前はその逆だった。人手不足の状況でも仕事数が減るとそれがすぐに相場に反映され、価格競争が始まってしまう。

1年を通して増減の激しい仕事数。結局、交通誘導警備との関わりの深い公共事業の仕事(国の予算と連動しているスポット仕事)の性質によるからなのだろう。

こういった仕事といかにうまくつき合っていくべきかを考えることは有益なことである。

2.そこでその一環として公共事業について考えてみようと思う。

(1) 安倍政権は自らの経済政策についてデフレを脱却するための3本の矢と称して金融政策・財政政策・成長戦略を掲げているが、公共事業はそのうち財政政策に属する。

財政政策とは政府が歳入・歳出を増減させることによって国の総需要の調整を図ろうとする政策のこと。その代表的なものが公共事業に象徴される公共投資である。

(2) 公共投資には一般に乗数効果があるといわれる。

乗数効果とは例えば公共事業といった政府支出(有効需要)を増加させた場合にその増加額以上にGDPが増加する現象のこと。

例えば、公共事業の仕事を建築業者が500万円で受注したとする。

そのうち大体450万円くらいが建築素材の購入や作業員への給与支払、ウチらみたいな下請業者への外注費や本社の事務員への給与支払に充てられるものと思われる。

その後上記450万円を受け取った建築素材を扱う業者や作業員や下請の警備会社などが取引業者との接待等で地元の飲食店に支払ったり、作業員の子供の塾代に充てられる等でそのうち350万円を使われるとする。

そしてその350万を受け取った飲食店や塾などの業者は…という具合に当初の500万円がどんどんかけ合わさるように増えていき、例えば上記の例だけでも1300万円の経済効果が生まれるといった具合になる。

これが公共投資による乗数効果。景気を良くする効果があると言われている。

3. ウチも警備業者ということもあり、先代の頃は相当その恩恵にあずかってきた。

もちろん、公共事業関連の仕事で潤ってきた歴史があるので、今後も関わっていきたいとは思う。

しかし,それは冒頭に述べたように短期の仕事メインなので,1年を通して仕事量のムラが激しく、売上管理はもちろん、労務管理の点からしてもこの人手不足の時代にそれをメインにすることは正直厳しいものがある。

現に施設希望は採用戦略が効いたのか、相当数の応募があるのだが、交通誘導警備に関してはここ1年以上応募者が一人もいない。お金の問題もあるだろうが、仕事の大変さも原因としてあるだろう。

道路に立っているだけじゃないかという人もいるけど結構キツいんですよ、見た目と違って。

そしてなにより不安定な仕事に大きく依存してしまうことは資金繰りの観点からしてもリスキー。

なので、他の例えば施設の仕事をメインにしてそこから人が入る状況を作った上で、そのうちの希望者をサブの交通誘導の仕事に振り分けていく必要があると思う。

となるとどうやってその希望者を募るかだが、それはお金を施設よりも弾んであげたり、施設警備とは違った給与体系を考える必要があると思う。

とはいえ、それも状況によって変えていく必要があると思う。例えば施設の仕事に全く旨味がなくなり交通誘導警備の条件が良くなった場合などは…。


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