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冬になると思い出す事

わたしは、雪が降り始めると思い出すことがあります。
過去最大にパニックになった出来事です。

あの時何歳だったか正確には覚えていませんが、小学校高学年くらいだったと思います。

再婚した母が祖母との同居に物凄いストレスを感じていた時期でした。
毎日始まる祖母の素行を巡る、母と養父の喧嘩。
当時の養父は、自分の母親にかなりに執着していました。
母が姑の不満を口にするたび、怒りを爆発させて怒鳴る、最終的には母を殴る蹴るの暴力を振るうのです。

当時、わたしから見ても祖母の行動はとても奇妙で気味の悪いものでした。
毎日お化粧をしては落とさずに、翌朝その上からまたお化粧をしたり、子どもたち用にと買ってある菓子パンなどをこっそり持ち出して、押入れの布団の間に隠して忘れて腐らせたり・・・。
血縁関係のないわたしや弟に対して「お前たちはかわいくない」などとよく言い、嫌なことをされることもありました。

わたしは、両親が喧嘩するとそそくさとトイレに逃げ込む祖母に何度も強い怒りを感じていました。

父は生まれつきのろう者の為、発語がとても苦手で、怒鳴ると独特の高い声を上げるのです。声も聞こえないからかなり大きくて、耳をふさいでもつんざくようにわたしの耳に届くのです。
いつも弟と二階にある一階をのぞき込むことができる場所で、様子を窺いながら隠れていました。

そんなある日、我慢の限界を超えた母がわたしたちの前で包丁を持ち出してきたのです。

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