シロシロ

国際信州学院大学出版局局長の炎の鷲 妖怪を始めとした怪異やもろもろを、碌に調べもせずに…

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国際信州学院大学出版局局長の炎の鷲 妖怪を始めとした怪異やもろもろを、碌に調べもせずに雑に紹介していくよ(予定)

最近の記事

長々と雑に紹怪 くそたれ女【宮城県

なんともひどいネーミングではありますが、山田野理夫氏の著書にある、宮城県に伝わるとされる怪異譚です。 その内容は次のようなもの。 ある日の夕刻、米屋を営む家に、紙がくしゃくしゃで鼻を垂らした小汚くみすぼらしい女が訪れ、 「握り飯食わしてくれぇ。あ、でも折角なら炊き立てであったかいのがええぞ^^」 と図々しいことを言ってきました。 普通なら早々に追い払うところでしょうが、どうも米屋の親父が気が良い奴で、望みどおりに米を炊いて握り飯をたくさん拵えてやりました。 差し出された握

    • 長々と雑に紹怪 百目

      漫画家・妖怪研究家の水木しげる御大 の妖怪本には、氏の創作とされる妖怪もいくつか見受けられると言われており、今回紹怪する百目もまた、氏のオリジナルと言われる妖怪の一つです。 御大の描かれた百目の図絵は、ユング著「変容の象徴」の挿絵が元であると言われており、これが実写版悪魔くんの作中で「百目妖怪ガンキュー」として登場、さらにこれを妖怪本に採用したのが妖怪百目であると言われています。とはいえ実は「変容の象徴」の挿絵自体が、日本の妖怪画から引っ張ってきたものという話もあり、最終的

      • 長々と雑に紹怪 【白粉婆】

        白粉婆とは 奈良県吉野郡十津川流域に伝わる老婆の妖怪である。 鳥山石燕「古今百鬼拾遺」では、大きな破傘を被り、白装束を纏い、杖と徳利を持って降り積もった雪の中を歩く姿が描かれている。伝承では鏡を引きずってじゃらじゃら音をさせながら現れるとのこと。また、顔には白粉がまだらに厚く塗り立てられ、恐ろしげな風貌を醸し出しているという。 白粉婆の姿と考察 さて、鏡をジャラジャラと音をさせるということは鎖に繋いでいるという事だろうか。雪上ならば地面に鏡が当たる音でもなさそうなので

        • 長々と 雑に紹怪 【一反木綿】

          一反木綿とは現代において妖怪さえ知るのであれば知らぬ人はいないであろう妖怪、一反木綿。ところが、元来一反木綿の出没地域は鹿児島県肝属郡高山町という極めて限定的な、おらが村のご当地妖怪であった。これをここまで有名にしたのは、言わずものがな水木しげる御大、そしてその作品「ゲゲゲの鬼太郎」であることは間違いない。同作品においての初登場は「妖怪大戦争」の回で、実は新聞広告で、報酬の金目当てで募られた妖怪の一体であったことはほぼ忘れられている(子泣き爺、砂かけ婆、塗壁も同様)。 同作に

        長々と雑に紹怪 くそたれ女【宮城県

          長々と雑に紹怪 【釣瓶火】

            釣瓶火とは 鳥山石燕の画図百鬼夜行に描かれた火の妖怪である。別名はつるべおとし(つるべおろし)。つるべおとしは大きな首が落ちてくる妖怪として紹介されてもいるが、本noteでは同名別個の妖怪として扱いたい。尚、江戸時代の怪談本である「古今百物語評判」では「西岡の釣瓶おろし」という怪火が紹介されており、これが釣瓶火の原典であるようだ。この妖怪の特性は、四国、九州地方において、夜間に山道を歩いている際、木の枝からぶら下がり、さながら釣瓶のごとく上がり下がりを繰り返す姿を見る

          長々と雑に紹怪 【釣瓶火】

          長々と雑に紹怪 【刑部姫】

          刑部姫とは 長壁姫とも書き、おさかべひめと読む。 兵庫県の姫路城の天守に住まい、同城の主を自称する妖怪で、時の城主に対し年一回の謁見を許すと称して挨拶を強要する引き篭もりかまってちゃんである。 刑部姫の登場 まず気にかかるのは、天守に居を構えるこの妖怪がいつから現れたか。 そもそも姫路城が天守を備えたのは、戦国期、羽柴秀吉が播磨平定の為に黒田家から譲り受け、改築した際に初めて作られたもの。妖怪刑部姫誕生の鍵となる出来事としてこの時に、姫路城が建てられた姫山に元々あった「刑部

          長々と雑に紹怪 【刑部姫】

          長々と雑に紹怪【袖引き小僧】

          袖引き小僧とは初回は袖引き小僧をテーマに取り上げていこう。 袖引き小僧というのは、夕暮れなどの時間、通りなどを歩いていると後ろから袖を引いてくる妖怪である。 袖を引かれて振り返るがそこには誰もおらず、気のせいかと向きなおすとまた引いてくる。という悪戯めいたことを行ってくるとされる。 水木しげる御大の著書では姿を与えられてはいるものの、現象としての妖怪として捉えてよいものだと思われる。 意外なことに、伝承としてはどこにでもありそうな現象としての妖怪なのだが、「袖引き小僧」とい

          長々と雑に紹怪【袖引き小僧】