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動植物の話4 黒ネコの親子

私は、元来犬好きで、一時期犬を飼っていたことはあるが、ネコには小さい頃から一種の恐怖のようなものを感じていて、好きではなかった。

子どもの頃、親戚の家に遊びに行った時、小屋から外に出していたチャボのヒナが、突然、ネコに襲われて持って行かれてしまった場面を見た。
その時の衝撃は大きかった。

以前、仕事上のある経営者の家に招かれ、夕飯をご馳走になるのだが、家ネコがいて、飲食の最中、私の体にすり寄って来るのでした。
家の人たちは、
「臭いを嗅いでいるんだね~」なんて、呑気なことを言っていたが、当の私は、ネコが嫌いだとも言えず、為されるままの状態でただ平静を保ちつつやり過ごした。
が、あの時は、本当に出された鮨の味も酒の味も何もなかった。

また、十姉妹を飼っていた学生の頃、近くをうろつく野良ネコにやられたこともあった。

中学生のある時、外に出していた十姉妹のカゴから、突然、バタバタと騒ぎ立てる音が聞こえたので、何事かと思い見に行ったら、ちょうど黒ネコが鳥カゴの上に乗っかって、正に中にいる十姉妹に襲いかかっていたのです。

私が急いで新聞紙を持って追い払うべく威嚇したら、ネコはしぶしぶと隣の家のベランダへとするりと飛び移り、ご馳走を食べ損ねたという悔しい表情をして私を見た。とてもふてぶてしい表情に見て取れた。

この時は、成鳥になったばかりの十姉妹が三羽犠牲になったが、カゴの内側での出来事なので、ネコに食べられることはなかった。

数日して、勝手口の外に生ごみを出そうとして扉を開けたら、そこには例の黒ネコがいて残飯をあさっていた。
私を見るや否や、すぐに裏の細い道を歩き出して逃げて行ったが、そのあとを四匹の子ネコたちが連なって歩いていた。あの黒ネコは子ネコを産んでいた。四匹の子ネコが順番をなして歩いていくのを、私は少しの間見ていた。

黒ネコは子ネコを養っていく母ネコだった。
私はハッとした。

ジョウビタキのオス

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