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パリトライアスロンに出た話

2022年6月、人生初めてのトライアスロンに参加しました。
Garmin Triathlon Parisという大会です。

2022年の新年の抱負を考えていた1月1日に、健康増進を目的に、トライアスロンの大会に出てみたいなと急に思い立って、その日のうちに申込しました。

1.5kmスイム→40kmバイク→10kmランという、合計51.5kmを移動するオリンピックディスタンスでの出場です。

日常的にスイミングプールで1.5km~2.5kmダイエット目的で泳いでいたし、40kmのバイクは経験が無かったものの自転車をこぎ続けるだけなら楽勝だと思ったし、更に10kmのランは超スローペースでもなんとかなると思ったので、初めてのトライアスロンと言えど、そこそこの練習で、目標である完走は余裕なんじゃないかと思っていました。

パリトライアスロンのコース。パリ市内にある公園(La Villette)を中心に開催されますが、40kmのバイクではエッフェル塔、凱旋門、ルーブル美術館付近を通るパリ満喫コースです


申込をした1月1日から大会当日の6月末まで、水泳は趣味程度に続け、バイクも休日にパリ市内を10-20km程度趣味程度に乗って、気分がのればジョギングもしていました。

….….つまり、トライアスロンに向けた本格的な練習は特にせず、ただ漫然と日常を送っていました。

そして迎えた大会前日。
チェックイン目的で、La Villette公園まで自転車を持っていき、ナンバーが書かれた紙をもらい受け、説明を聞く必要があります。アパートから公園までは距離として20km程度あり、普通にそれだけチャリに乗っていくだけで疲れましたし、足もつりました。当日が不安になりました。

チェックイン会場。自転車を設置します。

基本的にトライアスロンに参加する人はロードバイクを使用することが多いと思いますが、舐めていた私はお洒落自転車であるcannondaleのBad Boyを会場に持ち込みました。
ロードバイク率の高さに少し不安になりましたが、どう見てもママチャリでチェックインしている人もいたため、まぁなんとかなるだろうと思うようにしました。

チェックイン

チェックインをして自転車を預けてから、会場となるLa Villette公園の散策をしました。川の水が濁っており、またゴミも浮いていて、「明日こんな汚いところで泳がないといけないのか…」と思うとお腹が痛くなりました。
川の水を触ってみると、幸いにも30℃程度はありそうで、水温という意味では問題なさそうでした。

トライアスロンの水泳会場となる川


そして迎えた本番当日。6時前に起床しアパートから会場となる公園まで電車を使って移動しました。公園には7時半頃に到着しました。すでに多くの人が到着して準備体操をしていました。
そして異変に気付きます。
みんな「それっぽいウェットスーツ」を着ている。

それっぽいウェットスーツ


当の私は、上野のアメ横にあるテキトーな店で買った使い古して生地も薄くなってきたスイムウェア(短パン)に、上は近所のスポーツ用品店で買った安いラッシュガードを申し訳程度に着るという舐めっぷり。
先行きが急に不安になった。

多くの人は上下くっついた良い感じの服を着ている

8時にスタート。まずは1.5kmを泳ぐスイムから始まります。私が今回のトライアスロンで一番得意だと思っていたパートです。1.5kmは、プールであればゆっくり普通に泳いでも30分程度だったので、大会である本日は20-25分程度で泳ぎたい気持ちでした。

汚い川をみんなで泳ぐ。人と人との距離が近く何度もぶつかる

入水すると、
・水が濁っていてゴーグルをしていても前が全く見えない
・足がつかないオープンウォータースイムの恐怖感
・周りの人がぶつかってくる
・川底に藻が生い茂っていて足に絡み付き水中に引きずられそうになる
というプール水泳とは全く違う感覚に恐怖感を抱きました。
ここに長く居てはいけない。早く泳ぎ切って陸に上がらなくては…という焦りが、余計に気持ちを焦らせ、息が上手く吸えない。

そんな気持ちで200m程泳いだところ、酸素が体に廻らない感覚と、体がだんだん沈んでいく感覚を覚えて、溺れそうになり、死にかけた。そんな私を気遣うでもなく、次々と後続のスイマーが私にぶつかって・掴んでくる。
川底に沈められそうになりました。

それでも諦めず、レースを放棄することなく泳ぎ続けたのは、この大会の参加費として170ユーロ(25,000円程度)という高額を支払っていたから以外の何物でもありませんでした。
大金を払ったんだからここで途中棄権するわけにはいかない…なんとしても元を取らなくては…という気持ちで泳ぎ続けました。

両足をつりながらもなんとか1.5kmを泳ぎ切り、陸に上がりました。
目を疑った。なんと1時間5分も経過している。同時にウォッチの水泳記録を見ると、2.7km泳いだことになっている。
……どうやら、川が緩やかに逆流していたようで、我々はその流れに逆らって泳いでいた故、2.7km、1時間の思いがけない長距離スイムになっていたようでした。


陸にあがり、チェックイン時に預けていた自転車に乗り込んで、40kmのバイクの旅に出ました。
正直バイク中の記憶は全くありません。ルーブル、エッフェル塔、凱旋門、、、などパリの観光名所を見ながら楽しむ余裕等なく、時速20kmでひたすらチャリをこぎ続けました。その間、ロードバイクの集団に何度も抜かされ(彼らは体感、時速30km程度で悠々と私を抜き去って行った)、ロードバイクで参加しなかったことを激しく後悔しました。


2時間かけた40kmのバイクが終わりチェックインポイントに戻ってきたころには、既に多くの人が10kmのランから帰ってきて、"Finisher"と書かれたメダルを手に、互いに勝利を称え合っていました。私はそれを横目に、10kmのジョグ(散歩)に出発しました。
正直この時点で脚は何度つったか覚えておらず、まともに前に進む力も残っていませんでした。

穏やかな6月末の気候を楽しみながら、ただただ前を向いて、時には近くを走って(歩いて)いる他の参加者と「頑張ろう」と鼓舞しながら、ゴールに向かって進んでいきました。

9km走りきり、残り1kmとなった地点。もはやタイムなどどうでもよく、写真を撮ってリラックスしていました

なんとか10kmのジョグを終えて帰ってきた時には、会場に人の姿はほとんど残っていませんでした。どうやら、ワースト100位くらいのゴールだったようで、他の参加者はそうそうに帰路についたようでした。

なにはともあれ、4時間半もかかってしまいましたが、なんとか目標としていた完走を果たしました。

支給されたドリンクやバナナを味わいながら、今回のトライアスロンを振り返りました。練習の少なさ、備品のレベル、全面的に完全に舐めていた。

次回参加する時にはもう少し対策・準備しようと思いました。

この後、アパートまでの25km、自転車にのって帰ったのが一番きつかったです。

(終)





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