沈鬱の戯れ

体が動かない。頭の中は恐ろしいくらい騒がしく、必要以上に光を取り入れているにも関わらず、私の肉の体が内包している私の中身がぐじゅぐじゅになってしまっているのだ。分かっている。こうなってしまうと私は駄目なのだ。机に頭を押し付ける。もはや溜息をつくことさえ億劫なのである。どうしてこんなことになってしまうのだろうか。孤独感。嫉妬。疲労。焦燥。不安。あとなんかあったっけ。ああもうなんだっていい。とにかく私は疲れてしまったのだ。腕が机からだらりと落ちる。

「もういっか」そんな独り言に何処からか「にゃあ」と返事が聞こえた。不思議と口が動いた。

「疲れたよ」
「にゃあ」
「君はいいよね。いつも寝てばかりで」
「にゃあ」
「私も次は猫になろうかな」
「にゃあ」
「あはは。そればっかり」
「にゃあ」

やっと動いた手で猫の頭を撫でようとすると、するりと避けて尻尾を左右にゆらゆらと揺らしながら何処かに行ってしまった。きっと暖かいところに行ったのだろう。

だいじょうぶ、まだなんとか生きていける。
私は態勢を整えて、ディスプレイに向き直った。

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