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法人(会社)で生命保険に入る必要はあるのか?法人で生命保険に加入する意味

こんにちは。SKPです。
一般的には生命保険は個人で入るものですが、法律上の人格を持つ「法人=会社」でも加入することができます。

先回の「課税の繰延」で少し述べましたが、法人で加入した場合、支払う保険料は一定要件のもと会社の「損金=経費」となります。個人の場合は『生命保険料控除』で年末調整や確定申告での所得控除の対象になるんでしたね。

これまで約200社ほどの法人決算書・財務諸表を見たことがありますが、そのほとんどの法人が保険に加入しています。ただ「これって何のために??」と思ったことも数知れず…。

今回は法人が加入する保険に対する私の考え方をご紹介します。

本来の目的は「将来へのリスクヘッジ」

保険は「将来のお金にまつわるリスクに対して備えるもの」です。この「保険の本質」そのものは、法人であろうが個人であろうが変わりません。

つまり、何かしら「資金面」で備える必要があるから保険に加入するのです。資金余力が潤沢にあり、資金面で備える必要がないのであれば本来保険に入る必要はありません。

法人の「将来のお金にまつわるリスク」の最たるものは「代表者の死亡」です。これは中小企業。特に経営や営業の主体が「代表者」に集中している企業ほど、このリスクは大きくなります。

代表者に主体が集中しているということは、代表者が亡くなった際、会社そのものが回らなくなる。そのまま廃業・解散をする可能性が高いということです。

借入金や仕入代金などの支払が残っている場合は、代表者が亡くなっても残った代表者遺族・従業員でそれを弁済しなければなりません。法人が加入する生命保険は「この部分を担保する」というのが、本質的な考え方です。

組織だった法人運営ができていれば「本質」部分での保険は不要

既に後継者が確立されていたり、組織だった運営ができており「代表者の死亡」という要因がそこまで実業に影響を与えない場合、「生命保険が必要か?」と言われると、そこまで必要だとは思いません。

それは既に「組織の構築」という手法を通して、生命保険によって担保するはずだった「代表者不在による経営の滞りから生じる資金不足」というリスクを解消しているからです。

しかし、多くの法人ではこの状態であっても生命保険に加入しています。この時、最も多い理由は「退職金のための積立」や「保険による資金の外部運用」となります。

ただ「課税の繰延」で述べた通り、保険の運用は「資金面だけ」で言ってしまえば損をする可能性を含んでいます。となると、わざわざ保険でそういった積立・運用を行う必要があるのか?と言われると、本質的には不要と言わざるを得ません。

もちろん「積立と保障の両立ができる」のは生命保険だけとなりますので、メリットは当然ありますし、「やり方によっては有効活用できる」ことは知っています。しかし、多くの場合この「やり方」を知らず有効活用できていないと思えます。

特に多いのは「何のための積立なのか」「何故その金額の保障としているのか」を把握せずに保険に加入している。もしくは、状況が変わり「加入当初の意味を失った保険」のため、どう活用したらいいのかわからない、というものです。

目的が分からなければ、どのように活用・対策をしたらいいのかが判断できなくなります。個人の場合と同じく、法人であっても「何のために・何を担保するために保険に加入するのか」は明確にしておくことが大切です。

法人で加入する医療保険の意味

個人的に医療保険を法人で加入する「意味はない」と思っています。医療保険を法人で加入した場合、被保険者は「代表者」もしくは「役員」となっていることが多いです。

医療保険は「被保険者」が入院等をした場合に給付金がおりますが、この給付金の入金先は「法人」です。つまり入院した本人の医療費の直接的な補填にはなりません。

※ 入金先=受取人を個人にも設定できますが、その場合「保険料が給与(役員報酬)扱いとなり、その個人の所得税の課税対象となります。また「役員」の場合、定期同額給与から外れると損金不算入(法人税法上で経費に入れられない)という場合もあります。

法人が給付金の入金を受けて、法人から入院している個人へ「見舞金」を出すことはできます。しかし、わざわざ「見舞金」を出すためだけに、医療保険の保険料を法人が支払うのは適切なのでしょうか?

代表者や役員などが「入院等によって業務ができない」という状況の時に、法人として担保しなければならないのは「入院によって減少するであろう売上高」です。

役員報酬は労働の対価ではないため、不支給の決議をしない限り入院中であっても支給されるため、役員個人の収入を補填するというのは意味合い的にもおかしいですしね。

そうした時、医療保険の保障「入院日額や通院日額」で、売上の補填は足りるでしょうか?加入時に保障額を上げれば足りるかもしれませんが、保険料と比較して、その保障は見合うでしょうか?


今回、個人的な主観から「法人の保険」について述べましたが、ではどのくらいの保障を保険で考えればいいのか。その保障額を決めるための考え方、というのも今後ご紹介させていただきます。

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