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「ググればいいじゃん」を乗り越えることは難しい

Google for Education認定トレーナー/コーチの笠原です。

一人一台端末を持つようになると、生徒が手軽に自分たちで色々なものを検索できるようになっています。

授業の様子を見ていると、分からない言葉などがあったときにすぐに検索窓にその言葉を打ち込んで調べる…という様子があります。

分からないものを放置しないで、その場で解決しようとするのはよいことなのですが、問題は検索しても必ずしも信頼できる情報に出会えるかということです。

そのため、大人としては信頼できるデータベースや辞書サービスを準備して子どもたちに紹介をするのですが……残念ながらそういうサービスを意識して使うようになるためにはかなりのハードルがあります。

少なくとも「これを使ってやりなさい」という指示を出すだけでは、適切なツールを使うという意識はなかなか芽生えてこないという実感があります。

一手間の差が大きい

なぜ、教員が準備する信頼できるツールを積極的に使おうとしないのか。その点については、子どもたちが反発しているかというよりは、単に手間の問題が大きいのだろうと思います。

信頼できるデータベースを開くためには、ブックマークを開いたり教員から送られてきたリンクを探して開いたりと、いくつかの手間がかかってしまうのです。

それに対して一般的な検索については、今はアドレスバーに打ち込むだけでよいので、作業にかかる負担感は全く違うわけです。

情報の信頼性…というような抽象的なことを繰り返して言っても、習慣としては身につかないだろうということは想像に難くありません。

単純な語句の意味程度であれば、日本語であれ英語であれ、必要十分に正しい情報が表示されてしまいますから、なかなかオンラインの辞書やデータベースを使いなさいという指示は定着しないわけです。

知的生産の体験を増やしていく

お手軽な検索で充分であるという態度につながってしまっているのは、根本的には「信頼できるデータベース」を必要としないような文脈で学習に取り組んでいることが大きいのだろうと思います。

そのため、普段から信頼できるデータベースを利用して欲しいと願うのであれば、日常的な課題においても信頼できる情報を絶対に必要とするような文脈の設定が重要になってくるのでしょう。

そのような文脈として、どのようなことを設定できるかについては、なかなか難しさがあるところですが、一つ言えることとしては学校の外部の目を積極的に取り入れていくことなのだろうと思います。

自分の知的な成果物を仕上げようとするときに、信頼できないものを使いたいかということを子どもたちと一緒に考えてみることが重要になるのでしょう。

意図的に何度も使わせる

やや力業にはなりますが、信頼できるデータベースの良さを体験して、納得してもらうためには、大人が授業の中で何度も使わせることも重要なのだろうと思います。

しっかりと何度も使って、特徴をつかんだ上で、それぞれの文脈や場面で、どのツールを使えば良いかを判断していくように促していくのがよいのだろうと思います。

日常のちょっとした語句調べであれば、専門のツールを使わなくてもググるだけでよいかもしれません(本当は辞書を引いた方が…という気持ちも無いわけではない国語科教員)。先を読みたいのに手間をかけて止まってしまうのは苦痛ですから。

一方で何かをまとめたり、誰かに伝えたりする時には信頼できるものを使うようにしようという判断が出来ればよいのかもしれません。

意外と大人もちゃんとツールの使い分けをせずに、子どもにだけデータベースを使いなさいと言いがちだったりもします。ぜひ、大人も普段から色々なデータ検索のツールを使って、どういうタイミングでどういう使い方をしたら理想的なのかというイメージを持つところからはじめてみるとよいのではないでしょうか。


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