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作文の授業の参考に

本職は国語科教員のGoogle for Education認定トレーナーの笠原です。

本日は珍しく国語科教育の話題を書きます。noteに少しずつ国語科の話題も書きたいなとは思っています。ただ、授業のことを直接書くのは色々と条件があって難しいので後手に回っています。

本日は授業の参考になるような話題を紹介します。

作文の実践的な訓練のために

明治図書のブックストアには「復刊投票」というサービスがあります。明治図書から発売された教育書のうち、既に絶版となってしまっている本について、ある程度の得票数が集まると再版してもらえるというサービスです。

そこで今、復刊となっている本があります。そして、その本がまさに伝説的名著!ともいうべき一冊なのです。

ヘレニズム期に完成したレトリックの訓練法を作文教育に生かす。
本書は西洋でプロギュムナスマタ(予備練習)と呼ばれた作文・話し方教育のための訓練方法を現代の作文教育に利用可能なように作り直したもの。特に本書は議論文(意見文)の作成に限定し、実践可能の範囲にとどめた。

https://www.meijitosho.co.jp/detail/4-18-522416-8より。2022/02/26確認

香西秀信先生と中嶋香緒里先生による、レトリックの訓練を作文教育への応用を活かすための実践の提案です。

引用した説明部分のようにプロギュムナスマタという訓練方法を国語の授業に上手く応用するための方法が述べられています。

実際に先生方の授業を受講していた学生たちの作品例も掲載されており、具体的にどのような作文が行われるのかというイメージを持つことも出来ます。理論と実践の両輪が述べられ、どのような授業が可能なのかということが描き出されています。

論理国語と文学国語の架け橋に

この本を今、このタイミングで見直したい理由の一つが高校の学習指導要領の改訂にあります。

周知の通り、次年度からの高校の学習指導要領で国語は大幅な改編があります。その結果、周囲からは文学軽視という主張が強く行われています(個人的にはその限りではないと思いますが)。

一人の国語の教員として、高校の教室で文学に触れる機会が減ってしまうことには危機感がありますが、だからといってただ教員の解説の時間を増やすことだけでは意味が無いと感じています。

とはいえ、4単位科目という縛りの影響で「論理国語」と「文学国語」の両方をカリキュラムに取り入れにくく、さらに「論理国語」が選択としては増える可能性が高い状況においては文学の扱い方は真剣に考えなければいけないと思います。

そのような状況の中で、プロギュムナスマタを活用した作文の方法は、少しでも文学のよさや意義を触れるためには役に立つのではないかと感じるのです。

この「レトリック式作文練習法」を読んでもらえれば分かりますが、文学的な側面をとても大切にしています。その文学的な側面と論理が接続していく点に非常に可能性を感じるのです。

ぜひ、このチャンスにこの本を手に入れていただきたいです。

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