では40歳から何をするんだ? 36歳のわたしが地元を離れると決めた理由

日本のモータースポーツのトップカテゴリーであるSUPER GTで活躍した、レーシングドライバーのジェームス・ロシターは、36歳で、日本を去り、フォーミュラEのチームに加わった。

詳しくはこの記事を参考にしてほしい。

日本に別れを告げ、新たなステップへ。ロシターがヨーロッパに戻った理由を明かす

「もう2、3年日本にとどまることはできたかもしれないけど、そうなると40歳だ。では40歳から何をするんだ? そういったことを考えての意識的な選択だったんだ」

わたしも今年(2020年)で36歳である。
いたく、共感し、それでいて、公開されてからずっとずっと胸に刺さっていた、この問。

「40歳からなにをするんだ??」

ロシターは、レーシングドライバーとしての次のステップのために日本を去った。レーシングドライバーでなくても、なにがしのキャリアを積んでいて次のステップにいくには、もう最後になる年齢かも知れない。

わたしは、ロシターと違う。画業・Webやデザインの仕事をしているけれど、積み上げてきたものはロシターと比べ物にならない。

そしてもう恋愛や結婚、子育てをしようという年齢でもなくなってきている。ライフステージのなかで残っているので考えられるのは、親の介護?

★★★

件のロシターの記事が公開されてしばらく経つ。
某ウイルスが日本にも本格的にやってきて、渦巻く先の見えない不安と、自粛の同調圧力に屈し、うつ状態になってしまった。

ゴールデンウイークを含む、10日以上寝込んだ。
寝込むことにとにかく集中し、辛いときは誰かに遠慮なく甘えた。

自分を守れなかった。
週3回通っていたバイトも辞めることになり、もういま抱えている案件がおわると、もう仕事は来ない気がしていた。

一回自分がバラバラに壊れたらいい。
年始に友人に悩み相談をしたときにそんなことを言われたことを思い出す。
寝込んで、バラバラに壊れたというよりは、自分がゼロにリセットされたような感覚になった。

うつ状態から少し回復したときに次の一歩をどう踏み出すか、昨年の7月に個展をさせてもらったソラトイロさんの店長に相談をした。

「自分が、日々、健やかでごきげんでいられること。
そして、自分の中でいらないものは手放しなさい」

★★★

気づいたら、私は「だいすきな琵琶湖の近くに住む」と言いふらしまくった。

わたしは遠くを観るのがすきなのだ。
見ていて気の遠くなる風景が好きだし、そういう絵が描きたいのだ。

海の近くでも良かったがちょっと違う気がして、滋賀に住みたいとは言っていたがそれは単なるドリームプランに過ぎず、一旦挫折した。

これは2012年に開催した個展で発表した、琵琶湖の絵である。私が書いた中でいちばんの大作(F100号)。

画像1

なにがしの仕事をして、ほそぼそと毎日琵琶湖の絵を描いていたい。
このF100号を超える作品を描きたい。

うつ状態を引きずりながら、若干の焦りも伴いながら、滋賀に移住するためのリサーチやら準備を始める。ふと、職安に行った帰りに、ロシターのことを思い出した。

「40歳からなにをするんだ??」

★★★

件の記事を再読して泣いてしまった。

先程も触れたが、ロシターは自分のキャリアの次のステップのために日本を去った。ではわたしはなんのために滋賀に行くのだろうかと考えた。まあまあすぐに答えが出た。

親元を離れ、自由になりたい。

離れないと自分がだめになると思った。

発達障害を持って生まれて、物心ついたときから親から言われていた「あなたは真人間(健常者のこと)になりなさい」という呪縛。
そこからくる、自分自身にむけられた差別意識に、30年以上も苦しめられ、それに気づいたいまも障害がなかったら…と思ってしまうことがある。
※発達障害がわかったのは25歳の時。

いまの環境は、親元で暮らしているのとほとんど変わらない。
親とおなじ市に一緒にいる限り、わたしは真人間でならなければいう焦りが生まれ、実家に帰っても居心地が悪くなってしまう。
とくにフリーランスになって尚更そう感じる。結婚した妹に睨まれながら絵を描くのは御免だ。

★★★

ほそぼそと琵琶湖の絵を描いていたいと言う通り、画業以外のものは手放すことにした。
デザインは、仕事をするにあたって必要であれば続けるけれど、それがすべてではない。そうでなければ定職につけないから。

そして、滋賀に住めば、いまの友達になかなか会えなくなると思う。サーキットでの現地観戦も難しくなる。フラフラと大阪に行けない。

「40歳からなにをするんだ??」

たぶんそれは、滋賀での暮らしをはじめて、あとから付いてきたらいいと思ってるし、ないならないで、自分の暮らしを守ることにする。

36歳で、だれも得をしない、ささやかでも大きな、自分のための望みを、自分で叶えたいと決めた。

わたしの誕生日は1月なので、今年中に。
有言不実行の可能性があっても言わないと叶わない。そしてわたしは目標や行動指針を琵琶湖のためにすることにしている。

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