見出し画像

ドラマ 「エンジェルフライト」を観て   「死」と向き合う仕事を考える


今回は葬儀に関しての豆知識やSKKの事ではなく
作品紹介のような記事になりますが、

ご遺体の搬送についてを描いたドラマ
「エンジェルフライト 国際霊柩送還士」という作品について
お話しようと思います。

Prime Videoで全6話一挙配信されている、
米倉涼子さん主演のAmazon Originalドラマ。

その豪華なキャスト陣も魅力的なドラマです。



「国際霊柩送還士」という仕事


"国際霊柩送還士" という職業をご存知ですか?

正直なところ、葬祭業界に居ながら
SKKのスタッフも聞いたことのない職業でした。

簡単に言うと、
海外で亡くなった人の遺体を国境を越えて搬送する
という職業だそうですが、

以前「エンバーミング」のお話 の記事でも書いたように、
国際輸送の際には、エンバーミングが搬送の条件という国もあり
また、航空機内でのドライアイスの使用は出来ないため、
ドラマの中でもエンバーミングのシーンが随所に出てきます。

ご遺体の外側も、そして内側も処置を行い、
最後に生前に近い姿に整えていくエンバーミング。

その所作を奇麗に丁寧に描いているのも、
またこのドラマの魅力の一つかもしれません。




様々な事情を抱えるご家族


海外で亡くなる故人様も、様々な事情で亡くなります。
ドラマの中でも、ギャングやテロによって殺害されたり
病気や自殺によって亡くなる故人様が描かれています。

そしてそのご家族たちも様々な事情を抱えていて、
会いたくないというご家族も居れば
どんな状態でも良いから会いたいというご家族もいます。

遠く離れた異国でご家族が突然亡くなり、
その故人様に対して様々な思いや悔いを抱えたまま
二度と話すことができなくなってしまうご家族。

例え関係性が悪かったとしても、
やっぱり最後に一目見てちゃんとお別れができることは
悔いを少しでも軽くする、受け止めてしっかり悲しむことが
出来るんだなと改めて思いました。

そしてこの、ちゃんと悲しむというのは
遺されたご家族にとって本当に大切なんだなとも思います。

突然訪れた大切なご家族の死を受け止め、
そして時間をかけて乗り越えていくために必要な時間。
このドラマは、そんな最期の時間の為に全力を尽くす様子も
丁寧に描かれています。




多岐にわたる仕事内容


前述したエンバーミングご遺体の搬送とひと言で言っても、
その仕事内容は多岐にわたります。

SKKはご遺体搬送も承るのでよく分かりますが、
海外が絡む搬送では大使館との連携も必要になります。

輸送するカーゴ便の手配はもちろんのこと、
何時のどの便で輸送するか、どんな状態かなどを
現地に伝える必要もあります。

海外から受け入れたご遺体は、すぐにエンバーミングの処置を行い、
そしてご家族様と連絡を取りながら
悲しみを堪えて待つご家族の元にまた搬送する

そして海外で大切な人を亡くしたご家族様に寄り添い
心のケアをするのもまた大切な仕事です。

なんとしてでも、最後にご家族に会ってもらう、
お別れの言葉をかけてもらう、
それをとても大切に、時には頭を下げてお願いしてでも
最期のお別れをして貰おうとする姿が描かれています。




ドラマを全和観て思う事


中の人は時間をかけて6話全話を観終えました。
毎回ティッシュを抱えて号泣しながら観るので
なかなか観進められなかったのですが、
観終えてみると、本当に観て良かったなと思います。

もちろん、葬祭業界に携わる者として興味があったのももちろんですが、
「死」を扱う仕事は「生」を扱う仕事だと
改めて襟を正すことができました。

と同時に、2歳児を育てる、年老いた両親を持つ中の人は
自分が当事者になった事も想像しました。

自分の大切な家族が、成長した数年後の愛息子が
もし海外で命を落としたら…

自分が逆の立場になった時に私はどうするだろうか…

"命の大切さ" はもちろん描かれ、亡くなっていたとしても
故人様に最大限の敬意を払う様子が描かれていますが、
同時に今を生きるご家族の大切さも訴えられています。

遺されたご家族の思いや心の揺らぎまで描かれたドラマ。

もし、現在 "死" を考えている人がいたら、
そんな方にも観て貰いたいなと思ったドラマでした。


Amazon Prime が観られる環境の方は
ぜひ観ていただきたいなと思えるドラマです。






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?