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巨大水たまりに張った氷と格闘〜親子でずぶ濡れの訳

ロックダウン中のイギリス。息苦しい生活を強いられているが、子どもたちの喜びは至ってシンプルだ。この寒い季節のもっぱらの楽しみは水たまりの「氷を割ること」。

晴れた日曜日、大きな公園まで足を伸ばして散歩した。そこで見つけたのが大きな水たまり。しかも、凍っている。かなり厚みのある氷で、全く割れない。下の娘は、氷の破片を家に持ち帰るのを習慣にしていて、日々厚い氷を採取することに挑戦している。

この日も、いかにして氷を採取しようかと、枝で叩いてみたり、かかとで蹴ってみたりしていたが、氷はびくともしない。でも、次第にヒビが入っていたのだろう、突然ストンと片足が落ちた。しかも、意外と深い。娘の足が膝下まで水に浸かっている。長靴からも水が入り始めている。さらに、脱出を試みるも、転倒。もう体全体が水浸しだ。救助に向かった私も、水没。後に転倒。水浸しである。悲鳴と大笑いする声が入り乱れた。

自称プロの氷コレクターの娘は、氷を死守したい気持ちが強いようで、濡れることもいとわず、なんとか20センチ四方、厚さ2センチの、氷の採取に成功した。

最もまともな上の娘は、傍観を決め込み、冬の寒空の下、水浸しになった妹と母を見て大笑い。早速、留守番中の父親に電話してこの惨状を言いつけた。旦那からは「silly(ばかだねー)」のお言葉。そんなことは、言われなくてもわかっている。誰が、こんな寒い日に進んで、ずぶ濡れになるか?

苦戦の末に獲得した氷は、格別に貴重で、持ち帰る手が凍えて感覚を失おうとしても、絶対に手放なそうとしない。そんな娘の姿は、なんだかとても勇敢で自信に溢れた冒険家のようだった。

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