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「上手であれ」という声に抑圧されていた過去の自分を癒すための場づくりをしたら、忙しい大人たちの笑顔があふれた話

突然ですが、あなたは最近、何かに没頭しましたか?

作業に夢中になって、気がついたら夜だったり、ひとりでニヤニヤ夢中になったり。体の内側が興奮するような感覚を、あなたはいつ味わったか思い出せますか?

仕事のメールや電話、Slackの返信に追われる大人のみなさんに、仕事もSNSも他人からの評価さえも、すっかり忘れて「2cm角の小さな塊を彫ることだけ」に集中してほしい。そんな思いから大人が没頭する場所として、ワークショップをつくりました。

このnoteは、それがどういう場所か、なぜこの場をつくることに至ったかのプロセスをまとめた文章です。

この場を知って参加いただき、仕事に溢れて潤いが減ってきたと感じる方や、マルチタスクに追われる日々を送る方の生活に、変化が生まれるとうれしいですし、これからワークショップをつくる皆さんの参考になりましたら幸いです。

大人が没頭する場所「彫金ワークショップ」とは?

このワークショップは、コーチング×彫金という2つの方法を組み合わせた対話と制作の場です。

まず、ワークショップの全体像を説明します。

①想像する

ワークショップ前日までに、コーチングまたはセルフワークシートを通して、大切にしている想いや今の気持ちを少し言語化しておきます。

当日は、書き出したものと参加者同士の対話でうまれた気づきを折り混ぜながら、作品のイメージを膨らませます。

②描く

頭の中で浮き彫りになったイメージを絵にします。きっちりしたデザイン画にする必要はありません。作りながら変わるかもしれないので、直感と感覚を信じて、まず描いてみます。

③彫る

”ブロックワックス”というむらさき色の2cm角の材料で「原型」を作ります。いくつかの工具を使って、心と体と頭で描いた「こんな感じ」を彫り出します。”今この瞬間に感じること”を味わいながら、正解のないかたちを彫っていきます。

約3時間ちょっと。ワークショップは終わりを向かえ、完成した作品はお預かりして、「鋳造」と呼ばれる金属加工します。

目の前に没頭して生まれた作品は、ワークショップ当日から約1ヶ月後、真鍮やシルバーになってご自宅にお届けします。

このような内容で、2022年の6月から始めた「彫金ワークショップ」が好評だったため、「没頭する場」という日本語をもじってBotovaボトーバ!」として、「大人が没頭する場所」というコンセプトで、2023年4月末にギャラリーサイトをリリースしました。

Botova!彫金ワークショップ ギャラリーサイト

このワークショップは、上手に作ることが目的ではありません

Botovaボトーバ!彫金ワークショップ」には、今日はこれ作りますという見本や、先生のお手本がありません。わたしが「先生」になって参加者さんを「生徒」として、じょうずな作り方を教えることもありません。

金属ヤスリやスパチュラという、きっとみなさんが初めて触る工具のヒヤリとした感覚や、イメージ通りに彫れないというもどかしさ、思ってたより良いかんじになってきたなという悦びを、没頭することで感じるでしょう。

こうやってうまれた作品は、「手が器用だ」とか「じょうずな絵が描けた」とか「となりの人と比べてあんまり上手くない」とか、そんな思いはどこかに吹き飛んで、あの時間だから作れたオンリーワンだ!と、歓びで溢れる作品になるでしょう。

こうやって生まれた愛おしい作品たちを、たくさんの方に見てほしい、見せたいというの思いから、ギャラリーサイトの中に、みなさんの作品をきれいに展示するページをつくりました。

ー絵が苦手なんです
ー手先は器用じゃなくて

自己紹介でそうおっしゃっていた方々が作った、個性豊かな作品をどうぞゆっくり眺めてください。

そもそも没頭って何でしょうか?

ここまで何度も繰り返して「没頭」という言葉を使いましたが、そもそも没頭とはなんでしょう?

没頭(ぼっとう)
他の事を顧みず、一つの事に熱中すること。

国語辞典オンライン

「ちょっと集中している」というレベルを超えて、いまの自分を客観的に分析できないほど、なにかにのめりこんでいる状態です。他人が見て「今、あの人は没頭しているね」と言ったり、過去を振り返り「あの頃は没頭していたな」というような、渦中では気づかない何かにのめり込んでいることを没頭といいます。

我を忘れるような、熱狂を伴うような没入感です。「フロー状態」とか「ゾーンに入る」ともいうでしょう。

フロー状態とは、チクセントミハイ(Mihaly Csikszentmihalyi)という研究者のことばで、「時を忘れるくらい、完全に集中して対象に入り込んでいる精神的な状態」とされています。

ちなみに参考までに、この状態は単に気分がいいことに加えて、さまざまなメリットがあると言われています。

フロー状態とは
・自分の感情と調和し、感情をコントロールしているような感覚が得られる
・フロー状態で生み出すものは自分への報酬になりやすく、高い満足感が得られる
・仕事へのエンゲージメントが高まる
・フロー状態の間は自意識が薄れるため、創造性が高まる
・自分のやっていることに集中できる
・自分が取り組んでいることは達成可能だという自信がわく

asana 仕事でフロー状態を活用する 6 つのコツ

こんな魅力的なフロー状態を大人に体験してほしい。ワークショップの回を重ねるごとに、そんな願いが生まれてきたので、「Botovaボトーバという「大人が没頭する場所」が生まれました。

わたしのフロー状態でゾーンに没入した体の感覚

わたしが最近、フロー状態を体験したときの話です。今年の3月から2ヶ月間、デザフェス準備のために彫金作業をしていました。

深夜2時半まで夜ふかしすることもなくなり、朝5時過ぎに制作したくて目が覚めます。

あっという間に数時間が経ち、数十分が一瞬のように過ぎ去って、時間が溶けていくような感覚でした。その時間は、目の前に集中しているので”幸福感”は感じませんが、そのあとに、なんとも説明しずらい充足感や満足感が急激に押し寄せてきます。あれは、紛れもなく「没頭」でしたし、フロー状態だったといえるでしょう。少しふわっとしたような、自意識がうすれて、よく手が動き、イマジネーションが湧いてきます。今この瞬間に集中していて、満たされたような幸福を感じる濃密な体感覚です。

さらに、この制作している間に想像することは、不思議と「どうせできない、きっと難しい」より「わたしならできる気がする、こうやれば実現する気がする」というイメージが脳内にジュワッと広がるのです。

このようなフロー状態の幸福感と、なんでもできる気がするという達成可能なイメージのひろがりを「彫金ワークショップ」という形で、さまざまな人に体験してほしいと思っています。

上手という呪いから抜け出したい

このワークショップの設計に関わる、わたしの強い願いであり、長年のコンプレックスなのであえて触れておきますが、私は、美術の時間が嫌いでした。

「本物をしっかりみて、まるで本物のように上手な絵を描いてね。」
「工作は、細かいところまで繊細に、器用に上手に作ってね。」
「でも、独創的に、自由に、個性を出してね。」

この「上手に」という呪いに苦しんできました。

「上手ってなんですか?」
「でも個性を出すってなんですか?」
「意味わかんないよ!ぶち壊したいよ!こんな呪い!」

私の中の抑圧してきた幼心が暴発するとき、そんな言葉がこぼれそうになります。

こんなふうに、美術が苦手で嫌いだった私のような大人にも、ためらいなく没頭する体験を提供したい。

没頭を通じて、何を感じ、どんなことを思い、それが本人の自己変容にどんな変化を生じさせるのかを見つめていきたい。

そして何より、没頭体験のあとに訪れる充足感・満足感による幸せを多くの方に届けたい。

私は、この「Botova!ボトーバ」を通して、参加者のみなさんとそんな探究していきたいです。体験したい方、定期的に開催しています。ぜひ、あっという間にすぎる時間に驚きにきてください。

Botova!彫金ワークショップのご案内

ここまで熱く語ってきたワークショップのもう少し詳しい内容をおつたえします。

□開催方法は?
今のところ、リアルな場所
□どんな場所?
渋谷、代々木上原、日暮里など工作室など
□ワークショップ参加費は?
15,000円(税込)〜
いろんなコースがあります。
□制作する物は?
真鍮やシルバーのチャームや指輪など
□時間は?
①半日コースの3時間半 
②ランチを挟む終日コース6時間半
□1回だけ参加可能?
もちろん!ワークショップ当日のみ参加OK
□コーチングもあるの?
ご希望の方には、制作する物に意味や意図をもたせるために、ワークショップ前後に30〜60分のコーチングセッションも可能です

詳しくはこちらから

ワークショップの内容はこちらから

こんな方に特におすすめしたい

・日々のことに忙しく心が置き去りになっている方
目の前の小さなブロックワックスに集中すると、夢中になることや、想いを形にする楽しさを思い出します。気持ちが散乱している気がする方は、集中することで心が研ぎ澄まされて、本当に大切なことは何か?に意識が向きスッキリした感覚を味わうと思います。

・人生の変革期にいる自覚があり、この状態を何か形に残るものにしたいと思う方
気持ちの赴くままに形をつくっているうちに、自分の想いはこの形でいいのか?という迷いが出てきたり、これだ!とピンときたら一気に削り出したり、色々な試行錯誤をすることで、気持ちがまとまっていく感覚が起こるでしょう。目で見るだけではなく手で触って確かめて、頭で考えすぎずにひたすら手を動かすことで、今しか作れないものが誕生します。

「自分が大切にしたいBeingといつでも繋がれるお守り」を作りたい方
まだ言葉になっていない感覚を味わいながら、手を動かして作る作品は、世界に一つしか存在しないので、お守りになります。他の誰でもない自分が作ったからこそ、パワフルなラッキーアイテムになります。

彫金ワークショップは、毎月1回、東京都内のどこかで開催しています。没頭しながら、制作する場所へ、タイミングが合う時にぜひお越しください。

数字で見える応援が、日々の励みとなります。一瞬でも、あなたの人生に何かハッピーをお届けできたらこれほど嬉しいことはありません。