鹿島戦~繰り返す同じ失点

2024年5月15日 サンフレッチェ広島 vs 鹿島アントラーズ エディオンピースウィング広島


 大橋、川村が復帰してやっとベストメンバーの組めた試合。強い陽射しが落ちてきてナイトゲームと向かう中、ゴール裏からは今までにない熱量の声援が放たれたのだった。チケット完売、最高の雰囲気で期待感の大きい試合の入りだった。

 マンツーマンでの守備により高い位置からプレッシャーを掛けていく。が、このプレスが嵌まらない。有機的な動きはことごとくサンフレッチェのプレスを掻い潜り前線へと抜けていきシュート。これを佐々木がブロックしたもののCK。ここに高い軌道のアウトスイングボールが入る。そこに当てた植田。荒木、佐々木と2人に競り勝ちゴール隅に押し込んでしまったのだった。決められた。入った。呆気ない失点。前節に続いて開始早々に追う展開になってしまったのだった。

 そしてその出鼻を挫いた勢いそのまま鹿島は怒涛の攻撃を仕掛けてくる。追い回しても追い回しても奪えないボール。いつの間にかバイタルエリアに運ばれてペナルティエリアを横切るドリブル。越道が喰らいつくもシュートフェイントに引っ掛かり倒した。PK。あっという間の展開にまたしても唖然としてしまう。

 ボールをセットした鈴木優磨。以前と違いPKストップの実績をつくったGK大迫には少し期待は持てる。そして放たれたキック。飛ぶ大迫。読みは当たった。が、威力の強いボールは大迫の掌に当たるもそのままゴールに跳ねて行ったのだった。

 2失点目。放心状態になる。この得点力のないチームにとってこの差はもう絶望的だった。同じ負けるにしてもこんなにも早く結果が決まってしまうのはあまりにも興醒めだ。勝つか負けるかという均衡の上にいたのはたったの5分しかなかったことになるのだった。

 いよいよ尻に火がついたかやっとのこと右からボールを持ち上がる。満田が裏へ抜け抉る。真ん中に詰めた選手はいない。そこで角度のないとこからのヤケクソシュート。サイドネットに当たる。さすがにそれは無理があった。だけど味方の上がりがないことで選択が一択しかなくなったのだった。

 ちょっと相手をびっくりさせただけでスコア的には0-2のままハーフタイム。当然ここでメンバー交代が入る。満田、東に代えてマルコス、松本泰志が入った。満田が少し意外な気がしたが実際に点が取れてないのだからしょうがない。ギアを上げていく。まだここからという気炎を吐く。

 相手ボールへのプレスを高める。徐々に相手を押し込めていく。低い位置でのパスでの迂回になる。そしてサイドから中央へのパスになるとそれをマルコスがカット。ゴール前フリー。すると振り抜いた。マルコスのシュートが飛ぶ。GKも跳ぶ。が、コースを狙ったシュートはGKの掌に触れることもなくゴールに入ったのだった。

 決まった、決まった、決まった。これまで打っても打っても入らなかったシュートはマルコスの一振りで決めることができた。恐らく他の選手だったら枠に飛ばなかった。相手のパスを奪った読みもよかったがあそこで決め切るのはやはり技術的に一段上であることの証左だった。

 これにより反撃の狼煙を上げる。追いつける、追いつける。前掛かりになって相手陣地でボールが回る。サイドから越道がクロス。これは跳ね返される。もう一度サイドを抉って上げるとブロックされたがCK。だがこのCKも跳ね返される。鹿島は1回のCKで決め切ったがこちらはいつもの如く決まらない。そして切り札としてピエロスを投入すると前線へターゲットができる。が、ピエロスを狙ったボールに反応はするもことごとく枠を外してしまう。ああ、入らない。入らない、入らない、入らない。もはや鹿島も割り切ってボールを持たせた上で最後だけやらせないという守備をしてくる。もはやどのチームもやってくるこの防戦になす術がなくなってきた。

 すると守備で破綻しない鹿島は突如前へベクトルを向けてくる。鈴木優磨のキープには2人掛かりでも取れない。対するピエロスはちっともボールが収まらない。やっと出てきたボールにトラップが大きくなると佐野に掻っ攫われドリブル。塩谷の前を通過するもスカッと抜かれるとそのままペナルティエリアに侵入。4、5人掛かりでコースを塞ぐもそれをいなすような横パス。それを真正面に入ったチャヴリッチに余裕で決められてしまうのだった。

 終わった。

 1-3。屈辱的スコアだった。しかも5分、15分、85分とやられたのが前節とまるで同じ時間だった。同じことの繰り返し。負けるにしてもそれはないだろという虚無感に襲われる。

 2連敗。2試合連続の3失点。しかも今回は得点も減ってしまったので退化してしまった。点さえ取れれば勝てると思ってたものの頼みの大橋、川村が戻ってきたとこで変わりはしなかった。結局誰が出ても変わらないんだという事実が余計に絶望感を感じるのだった。

 新スタジアムができて浮かれた面はあった。実際にそれにより勢いに乗った部分はあった。だがその効果が薄れてくると露骨に実力の差が現れてきた。これからどうやって勝ち点を重ねるのだろう。点は取れない、失点は重ねる。救世主はマルコス一人。厳しい。この出口のなさに次の試合が恐怖でしかなくなりつつあるのが最も哀しむべきことなのだった。

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