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印刷すること

以前、少しの間だけ印刷会社に勤めていました。時が流れて、また印刷に関わるようになったので、その時のことを書いておこうと思います。

その印刷会社では、オフセット印刷を経験させてもらいました。紙を準備して、インキを練り、色を合わせ、印刷機で刷る。初歩からのスタートでした。短い間でしたがおもしろい仕事だなと感じていました。

とくに印象に残っているのは、最終的に使っていたドイツ製の小型印刷機を担当したことです。大型の機械とは違い、同時に何色も印刷できません。2色以上になるとインキを替えて、色の数だけ繰り返し同じ紙を通します。インキも見本に合わせて色をつくることが多い。色合わせは、慣れるまでなかなか思い通りにならない。でも、楽しかった。手間がかかる分、愛着を感じるようになっていました。

その時、経験したオフセット印刷。それが印刷そのものだと思っていました。印刷に携わっていながら、活版印刷について興味も意識することもなかったです。知らなかったんですね。昔は当たり前だったのに。それだけ技術は移り変わったんだなとも思います。

印刷技術はいろいろありますが、目的や用途によって選ぶのが一番。オフセットでも活版でも使い分けて、よい作品や製品をつくり出すことが大切です。

と言いながら、巡り巡って活版印刷をしています。廃れた、消えかけた技術とよく言われます。そのことは間違いではありません。でも、価値を見出してきた、見出し続けている人たちがいるのも事実。

「印刷すること」をしながら浮かんだ、記憶と考え事でした。

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