見出し画像

Tokyo Slowly Story #14

江戸東京料理と甘いもん #6

登場人物:
アツコさん
私立大学英文科の講師。2年前に米国人の夫と死別。
実家は神田淡路町の魚屋。浅野温子似の62歳。市谷在住
ダテさん
都立高校の社会科教師。なぜか独身。実家は神田淡路町の酒屋。
サンドウィッチマン伊達みきお似の62歳。神田在住

2023年12月10日日曜日午前11時
上野広小路 ぽん多本家

アツコさん、上野公園散策前に
朝食を抜いて、上野ぽん多の「カツレツ」へ。
昨日、偶然再会したダテくんと
35年前に会食した思い出の味。
米国へ留学する前に
ルミさんと3人での「壮行会」の会食場所。
当時はバブル期。青山や銀座に
フレンチやイタリアンなどの
お店が続々と誕生した頃。
ダテくんが設定したのは
上野広小路の「ぽん多 本家」。
後に友人のルミさんから聞くところによると

壮行会⇒応援⇒カツレツ

という理屈だったらしい。


35年ぶりの「カツレツ」。
その丁寧な美味しさは相変わらず。
むしろ、手間暇かけた美味しさが今だからこそ
より理解できるようになったかもしれない。
昨日、来週土曜日にルミと
予定している忘年会があることは
ダテくんには伝えた。
場所は淡路町。お店は未定。

一見、開けづらそうな重厚な扉。
その先にある至福の美味しさ。

何を暗示しているかは
誰も知らない。


(語り部)緒川 マチヒコ
「人生のやり残し」を集めて紡ぐ。自称・バーター職人(62歳)