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私を鼓舞するもの

今月の初旬に一枚の葉書が届いた。

「寒中お見舞い申し上げます。
日に日に寒さが厳しくなりました。 
ご無沙汰しておりますが、
お変わりありませんか。
動きにくい日々が続いておりましたが
いかがお過ごしか
お伺いの便りをしたためた次第です。
私は大した変わりもなく
日々を送っております。
お時間、ご都合よろしければ、
お元気なご様子を拝見したく、
突然、失礼いたしました。」

万年筆でしたためられた文字。
彼だと直ぐにわかった。
かつて僕に万年筆の素晴らしさを
教えてくれた、同じ歳の御仁。
仕事で知り合って20年になる。

彼の達筆から立ち上がる、まごころ。
僕は直ぐに連絡、先週、会えた。
2年ぶりの笑顔。
近況を語り合い、食事が盛り上がった。


お互い会社では中間管理職で
読書と音楽好きなことも同じで
話題は尽きない。

僅かな1時間。あっという間の刻。
この一期一会が僕の年末の疲れを癒し
勇気と活力を彼から貰った。

その帰り道、僕は覚った。
彼はきっと感じ取っていた。
僕の最近の迷いや疲れを。
だから懸命に語りかけてくれたのだ。

はたと、強くそう感じ、
その勢いで、文具店へ向かった。
迷わず一本の万年筆を買った。
ずっと気になっていた、PARKER51。

僕にとって3本目のPARKER。
伝統の逸品。
今このときこそ、買う価値がある。
万年筆の世界に僕をいざなった
彼との会食の記念であり、
この日彼から貰った勇気の印として。
そして彼への感謝の記憶を刻むために。

謙虚に感謝し、
人の意見に耳を傾けながらも、
最後は自分を信じること。
ときに迷うし、たじろぐこともあるが
結局は自分を信じることでしか
次の一歩は踏み出せない。

自分が自分を信じてあげられなくて、
誰が信じてくれるのかと。

この万年筆。
僕を奮い立たせるアイテムが
またひとつ加わった。

皆さんを鼓舞するものはなんですか。
この一年、僕の文章、心の旅路に
ご同行くださり、ありがとうございます。
皆さまの来年がひときわ煌めくことを祈り、
今年の筆を置きます。 


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